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杉村真由さん 研修先:Pâtisserie REBERT

研修生レポート

2016.07.11

 杉村真由 SUGIMURA Mayu
 北海道・斜里高等学校 卒
 エコール 辻 東京 辻製菓技術マネジメントカレッジ出身
 2015年秋コース レクレール校 製菓研究課程
 研修先:Pâtisserie REBERT

私が研修しているパティスリ・レベールPâtisserie REBERTはアルザス地方の最北端、ウィッセンブール Wissembourgというドイツとの国境の小さな町にあります。徒歩10分でドイツに行ける距離にあるので、ドイツから来てくださるお客様が6割を占めます。そのため、お店の中では、フランス語、ドイツ語、英語が使われていて、臨機応変に行動するヴァンドゥーズ(店頭販売員)を見るたびに尊敬してしまいます。
ウィッセンブールは緑に囲まれた小さな町ですが、平日や休日関係なく常にお客様でにぎわっています。
町でケーキの箱を持っている人を見かけると、〝REBERT″の文字をよく見ます。それほど、町の人々に古くから親しまれているパティスリです。

 

研修が始まってすぐの仕事は、その日お店に出すガトーのフィニッション(仕上げ)や、ガトーに使用されるクリームの仕込みなどをしていました。こんな初日から仕込みをさせてもらえるとは思ってもいなかったので、とても驚きました。
私は決まった固定の仕事がなく、毎日ラボの皆に声をかけて仕事をもらっています。日によって仕事内容はさまざまで、ショコラティエが忙しいときはショコラティエの、トレトゥール(お惣菜)が忙しいときはトレトゥールのお手伝いをしています。
現在はガナッシュや基本のクリームを仕込む種類も増え、ガトーの仕込みもさせてもらえるようになりました。
最近は同僚のドゥニの助手として毎日大量のガトーを仕込むことが多いです。

  

シェフはトレトゥールのラボで働かれているので、一緒に仕事をすることは滅多にありませんが、会うと必ず体調のことや、住居のこと、仕事はうまくいっているか、恋人は元気か等、いつも気にかけてくれるとても優しい人です。冗談でも、「日本に帰らずここに残って働いてもいい、歓迎だよ」と言われたときはたまらなく嬉しくなりました。
2か月たって、やっと冗談がわかるようになってきて、皆と笑うことが増えてきましたが、日常会話になるとさっぱりわからないので、まだまだ言葉の壁を感じています。スーシェフのアランはとても話好きで、語っている姿はまるで落語を見ているようです(笑)。ラボの皆はとても優しく、仲がよく、いつもジョークを言っては皆で笑う、とても明るい職場なので毎日が本当に楽しくで仕方がないです。

(左)右がシェフのルベール氏。左がスーシェフのアラン。本当にやさしい2人です!

ウィッセンブールはアルザス地方の最北端に位置する人口約8000人の小さな町です。歴史深い町並みや豊かな自然を見ながらのんびり散歩している人たちが多くいます。
最近のお気に入りの場所は、教会裏の公園です。休日でも人通りが少なく、緑豊かでとても落ち着きます。
暖かくなってきたので、町でお菓子やパンを買ったときや、仕事帰りの休憩に公園のベンチでまったりしつつ、アルザスの街並みを見ています。

 

休日は、出かけないときはフランス語の勉強と趣味に使うことが多いです。ラボで今まで聞いたことのない単語などメモしておいて、休日に調べています。しかし、一人でフランス語の勉強をしているとわからないことがあまりに多く、フランス校での基礎が以下に大切だったのかを学びました。
友人の研修先へもよく食べ歩きに行きます。同じ地方菓子でも、お店によって違いがありとても面白いです。
研修が始まってひと月がたった頃に、同じくアルザスに研修に来ている学生と集まって自分たちの研修先についてや、住んでいる町について、仕事のやり方、わからないフランス語の共有など、ひと月で感じてきたことを自分たちなりに話し合いました。久しぶりに元気そうな友人たちを見て、元気を分けてもらうとともに、自分も負けていられない!と思える充実した休日となりました。

 

住居は研修先から徒歩10分のアパートです。一人暮らしをしています。シャワーとトイレは共同ですが、キッチンと冷蔵庫は部屋の中にあるので、よく自炊をして生活をしています。住居の近くにスーパーがあるので、買い物にはとても便利です。大家さんはとても優しく、フランス語も私に分かるようにゆっくり繰り返して話してくれます。休日に町を案内してくれたり、ウィッセンブールの農家さんの見学や、大家さんが以前働いていた競馬場に連れて行ってもらったりしました。

 

研修中に勉強になっていることは、スピード、確認、効率のよい仕事のやり方です。すでに学校で習った事もありますが、学校とお店のやり方は違うことがたくさんあります。例えば、一度に作る量の多さです。学校では一度の実習に約100本のエクレールを作りますが、私の研修先では、約400本作ります。マカロンは1日で2000個作るのが日常で、これを短い時間の中で終わらせなくてはならなくて、研修が始まってすぐの頃は作る量の多さに驚きました。短時間で大量に効率よく作るお店のやり方や、学校では見ることができなかった現場で使用されている大型の機械なども勉強になっています。一度に作る量が多ければ多いほど、失敗への恐怖が大きくなるので、私は一つ一つ材料や手順を確認して作業するように心がけています。
研修出発前は自分の拙いフランス語でコミュニケーションが取れるのか、フランス人の中でうまく仕事ができるのかなど不安でいっぱいでした。しかし、シャトーで言われていたように、伝えようと努力すれば、みな理解しようとしてくれて、想像していたよりもうまくいっている気がします。5ケ月間のフランス校生活は本当に研修に必要な大切なものなんだと実感しました。もっと研修を意識して勉強をすればよかったと後悔しています。

 

研修に出てからは、常に笑顔でリアクションを大きくしています。フランス語は理解できることが少ししかないので、話がわからなくても相手が笑っていたらとにかく笑う!!(笑)
言葉がわからない分、かわいがってもらえるように、笑顔とリアクションで乗り切っています。笑顔は作り笑いではなく、この職場の雰囲気のおかげです。また、フランス人の仕事の仕方、考え方、文化などを身近に感じることができる毎日が驚きと発見ばかりでとても楽しいです。

いまは、まずはきちんと研修を修了させることが目標です。もっとたくさん仕事を覚えて、今自分がまかせてもらっている仕事の正確さを上げたり、ある程度の日常会話ができるフランス語能力を身につけ、さらに実りある研修にしたいと考えています。研修に出てからの自分の時間が増え、何かと考えることが多くなりました。自分の時間が持てる今の間に、将来についてや日本に帰ってからのことを決めたいと考えています。