FRANCE

Flair(フレール)

フランス校 食べ歩き日記

2015.02.05

皆様こんにちは。
今回私が紹介するお店は学校から1番近い都市であるリヨンの2区。
TGV(フランスでいう新幹線)ペラーシュ駅から歩いて5分程の路地裏にこのお店があります。
お店の名前は「Flair」(フレール)。


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入ってすぐにはバーカウンターが


フランス語で「嗅覚」「直感力」などを意味する言葉を冠しているこのお店は、日本人でありオーナーシェフの
渡邊博幸さんがパートナーと共に3年ほど前にオープンされた今注目のお店です。


渡邊シェフは東京のオテル・ドゥ・ミクニで働かれ、今から10年前にスイスに渡り、そこからサヴォワ、パリ、ロワールと
フランス各地を回ったのち、リヨンに落ち着いたそうです。きっかけとしてはリヨンという町の大きさが丁度良かったのが
大きいとおっしゃっていました。


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店内には2階席もあり、かなりの余裕が


私がこの店を知ることになったのはフランス校のディレクター、ベアール先生のお勧めによってでした。
フランス人が褒める日本人シェフが作るフレンチを味わってみたいと思い、伺わせていただきました。


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店のテーマカラーであるオレンジのメニュー表


今回頂いたコースCarte blanche(シェフのお任せメニュー)は、アミューズ、前菜、魚、肉、デザートで
42ユーロととてもお得な設定です。
前菜、魚、肉にそれぞれ1杯ずつワインが付くコースもあり、そちらも55ユーロとこちらが心配になるほど
抑え目な価格となっています。
他にも平日昼限定のビジネスランチ(前菜、メイン、デザート)19ユーロや、店の名前を冠した"Menu FLAIR''
(アミューズ、前菜、メイン、デザート)も29ユーロと気軽に伺いやすい価格設定になっています。
ワインリストもグラスワインが5~8ユーロ、ボトルが25~80と良心的です。


<料理写真>
~ウェルカムサービス~
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Creme de radis rose
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着席してほどなくこちらが提供された。
熱々で濃厚なラディッシュのポタージュは冷えた体にとても美味しく、嬉しく感じられた。
このホスピタリティに今からのレストランでの食事を期待させられる。


~アミューズ~
Flan de volaille "TYAWANMUSHI''
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卵を鶏の出し汁で伸ばし蒸したもので、かすかに昆布とかつおぶしの風味が感じられた。
供された時の説明で、フランス人のサーヴィスが「チャワンムシデス」と言っていたのも微笑ましかった。


~パン~
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パンは雑穀入り


~前菜~
Foie gras poile,royale d'epinard
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両面を綺麗にポワレしたフォワグラの周りには、濃度があるほうれん草のクリーム。
これをサラマンドルで少し焼き膜を作ることでロワイヤルを表現しているのではないだろうか。
付け合せには食感を残し仕上げたさやいんげん、濃厚な子豚のソースがかけられている。
前菜に合わせるワインはMinervoisの「CHATEAU CABEZAC les capitelles 2012」
軽やかだが少しコクがあり、フォワグラをよくサポートしつつ脂を流してくれた。


~魚料理~
Dos de cabillaud roti,vinaigrette japonaise,boulgour a la creme
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ふんわりと焼き上げた鱈の下には砕き麦のクリーム煮が敷かれコクを、上にはすりおろした人参とポン酢のソースが
かけられ酸味と旨みを与えている。マリネした紫人参のほどよい食感も料理を引き立てていた。
魚料理に合わせるワインはSancerreの「Domaine Eric LOUIS Sancerre Blanc」。
Sancerreのミネラルと酸味が、人参とポン酢のソースによく合っていた。お互いの良いところを消さずに優しく昇っていく
ようなマリア―ジュを感じた。


~肉料理~
Combinaison de cochon
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2種類の子豚の合い盛り。左にはヒレ肉のソテ、上から西洋ごぼうのチップスが振りかけられており、右にはじゃがいもの
ピュレの上に柔らかく煮込んでからソースでラッケしたもも肉のカラメリゼが乗せてあり、周りには季節の野菜とハーブ
ソースが添えられている。
王道のヒレ肉と、少し中華風の味付けのモモ肉の対比が印象的だった。
最後に赤ワイン、Grignan LES ADHEMARの「ALYSSAS Tissu DE SYRAH」。
名前のTissuとは織物の事、その名の通りシラー独特の香りがあるものの、滑らかな味わいで、個性の強すぎない
ヒレ肉とも、逆に個性的なモモ肉ともうまく調和していた。


~デザート~
Gateau de chocolait passion
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柔らかいジェノワーズの上にはクネルに抜いたチョコレートムース、ブルーベリー、チュイルが
調和よく盛り付けられていて、横にはパッションフルーツのクリーム、ヴァニラアイスが添えられている。
チョコレートの濃厚さとブルーベリー、パッションの酸味が相まって最後まで楽しむことが出来た。


~コーヒー紅茶、小菓子~


紅茶                           アンフュージョン
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コーヒーはエスプレッソ、紅茶は色々な種類が用意されていてサーヴィスが持ってきてくれたものを選ぶことが出来る。
横にチョコレートのマドレーヌが添えてあるのも嬉しい。


壁掛け
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渡辺氏 シェフの渡邊氏、気さくな笑顔が印象的な方でした
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実はこのお店を訪れるのは今回で2回目。
前回も今回もまずは価格に驚き、さらに40席という店内がほぼ満席の中、厨房2人、サーヴィス2人のみで提供される
料理、サーヴィスのクオリティを目の当たりにし、楽しく、美味しい時間を過ごさせていただきました。


料理のいたるところに日本のエッセンスを感じる事が出来ますが、そのアクセントが主張しつつもお皿として
フランス料理からまったくはみ出さずにいることにシェフのバランス感覚を感じ取ることができます。
それは店内に目をやるとフランス人のお客様が多いことでも証明されているでしょう。


リヨンには洗練されたガストロノミー(高級美食)のお店も沢山ありますが、日本人シェフが織りなす気取らない、
優しいビストロノミ―(ガストロノミーとビストロを合わせた造語)を是非皆様も味わってみてはいかがでしょうか。
その時あなたが過ごされた時間がガストロノミーと同様に最上のものであることを願っています。


Restaurant Bistronomique flair
84, rue de la Charite 69002 Lyon FRANCE
TEL: 04.72.56.06.31
営業日:火曜~土曜
http://www.restaurantflair.com/infos.html