フランスの中部、リムーザン地方の家庭で古くから作られているお菓子です。フレッシュチェリーを使うのがオリジナルですが、缶詰でも十分おいしくできます。また、リンゴや桃など他のフルーツに置き換えてもいいでしょう。
かしまし娘の<クラフティよもやま話>
O:今回はクラフティなんやけど、ブラックチェリーを使うのは決まり?
M:もともとブラックチェリーを使ったものをクラフティと呼んでたみたい。ブラックチェリーがクラフティに合うのはもちろんなんやけど、クラフティが作られたのがダークチェリーがよく採れる地方やったから。今ではいろんなフルーツに置き換え作ってるみたい。
O:その発祥の地方ってどこになるの?
M:フランスのリムーザン地方。
K:器で有名なリモージュのある地方やんね。ワールドカップで話題になった、トゥールーズとナントの真ん中ぐらいといえばわかりやすいかな。実際にそこで食べたことある?
M:う〜ん、このお菓子ってお店で食べるというよりも、お母さんが食後のデザートとして作るっていう感じのものやから、あんまり店では見かけないよね。
O:そういえば、どの先生やったかなー?フランスに研修に行っているときに地元のお宅によばれて、そこのおばあちゃんが作ってくれたっていう話を聞いたことがある。その作り方が豪快で、「お菓子食べるか〜?」っていって、砂糖と小麦粉を手掴みでバン、バン、とボウルの中にほりこんで、卵と牛乳を入れてガチャガチャって混ぜて、チェリーをダァって入れて、器にジャッと流して焼いてくれて・・・。分量はなくって、おばあちゃんの手加減。でも、すっごいおいしかったって。その話を聞いて、クラフティってそんなお菓子なんやって思った。
M:あ〜、おいしそう!
クラフティはクレープ生地を使ってるんだけど、そういえばクレープも屋台や専門店はあるけど、お菓子屋さんではあまり見かけない、家庭でおやつ的に食べるお菓子やね。
K:じゃあ、クレープの生地が余った時に、クラフティって作れるんかなぁ?
M:ちょっと配合が違うけど大丈夫。作れるよ。今回は作った時期の関係で、缶詰のブラックチェリーを使ってるんやけど、ホントはフレッシュのアメリカンチェリーでやってほしいなぁ。6月ごろから店先に並んでるから。今年はちょっと高いけど、間違っても日本のさくらんぼを入れないように。もったいないから。まぁ、それでもできるけど・・・。
O:え〜!ちょっと味が違うよね。おいしくなさそう・・・。
K:うん、甘さが全然違うやんね。
M:ブラックチェリーがいちばんおいしいのは6月ごろ。アメリカンチェリーが6月頃から輸入されるし。今年はエルニーニョ現象の関係か、早く採れたみたいで、輸入される時期もいつもより早かったよね。
O:でも、早く育ったせいか、今年のチェリーは水っぽくてあんまりおいしくない・・・。
M:缶詰だとその点安定してるからいいかもね。年がら年中つくれるし。
K:缶詰は種も抜いてあるし、軸もとれてるし、便利。
O:でも、シロップで炊いてあるからちょっと水っぽいやんね。種を抜いたところにシロップが溜まってたりするから、噛んだときフレッシュのものは弾力があるけど、缶詰のはグチャって感じ。
M:チェリー以外やったら、白桃とか、洋梨、リンゴとか、ぶどうとかが合いそう。ぶどうはもちろん皮付きのままね。
O:ヨーロッパの人は、ぶどうは皮付きのまま食べるよね。種も一緒にバリバリと。
K:このクラフティは、わりと失敗の少ないお菓子やんね。家で配合を変えても失敗せずできると思う。
M:ボウルひとつで簡単につくれるし、耐熱の器やったら、グラタン皿でも構わない。一人前ずつ焼いてもいいしね。
K:そういう意味じゃすっごい手軽なお菓子。そのわりにはお菓子作りの本にあんまり出てこないけど。
O:家庭のお菓子ということで、見た目がハデじゃなくて、シンプルだからかな。私も働き始めてから知ったもんね。簡単でおいしいのに。
K:うん、おいしくて、大好き。
M:おうちでぱっと作るのにぴったりのお菓子なので、ぜひ作ってみてください。アイスクリームを添えて食べるとおいしいと思う。飲み物はコーヒーよりも紅茶が合うかな。ミルクティーよりもストレートティーでね。