総料理長
竹入博人 たけいり・ひろと

 1965年、長野県生まれ。1985年、辻調理師専門学校卒業後、辻グループ校職員として勤務。'89年から東京銀座にある「福臨門酒家」を経て、文京区の「天外天」へ。天外天は赤坂の四川飯店(中華の鉄人、陳健一氏でおなじみ)に長くいた中川氏の店。'93年には念願の香港修業に出発。最初は現地の大規模レストランである「酒楼」に入り、後にハイアットリージェンシーに移店。そして'94年、ハイアットリージェンシーが大阪・南港にオープンするのに伴って帰国。香港から南港へと職場を移す。

 憧れた本場香港での日々はどうだったのだろう。なんでも最初に入った店では未だガスコンロではなく、重油を使ったコンロを使っていたのだとか。「すごいですよ。火を点けるのもひと苦労で。そしてツマミはいつも全開。鍋の方を近づけたり遠ざけたりして火加減を調節するんです」。う〜ん、ダイナミック!そして、このダイナミックさこそが、中国料理の醍醐味だと竹入氏は言う。「もともと私が中国料理を志したのも、小学生の頃にテレビで見たそのダイナミックさやスピード感に惹かれたから。当時の片田舎では、中国料理といっても天津飯や中華丼くらいしか食べたこともなく、“本物の中国料理はスゴイな”と子供心に感心したのを今も覚えています」。

 そんな香港で過ごした1年半。日本との一番大きな違いは何だろう?「やはり火や鍋さばきなどの操作。そして安くて新鮮で豊富な食材。でも何より違うのは、その全体的なレベルの高さでしょうか。レストランの数も多いし、調理師の数も多い。そして特筆すべきは、それを食べる側のレベルも非常に高いということです」。素人でも実によく素材を知っている。見分ける。だから気も抜けない。作る方も食べる方も”おいしさに対して実に貪欲”なのだと言う。そう、まさに毎日が真剣勝負なのである。

 そうして武者修行を積んだ竹入氏は、'95年10月、大阪はミナミのど真ん中に誕生した『ホテルメトロThe21』の総料理長として招かれることになる。現在、このホテルのメインダイニングである「乾隆亭」の調理場には14名のスタッフがおり、さらにバーやティーラウンジ、宴会の料理までを統括する多忙な日。「まだ知名度も低く、料理にも個性を出せていない」など課題は多いと言うが、「子供の頃から憧れていた中国料理人としてやってきて、中華がますます好きになりました。火を操って料理をしていると躍動感があって楽しい。楽しくて仕方ないんです」と、話しぶりにも中国料理への愛情がにじみ出る竹入氏。「乾隆亭」のこれからが楽しみである。



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