PITHIVIER(ピティヴィエ)

ピティヴィエの地域(シャルトル)には、たいへん古い伝説がある。この国がまだガリアと呼ばれていたころ、フン族の王アッチラが猛烈な勢いで侵入してきた。シャルトルの市民は巨大なウサギのパテを献上して王の機嫌をとったという。しかし現在、シャルトルのパテをウサギで作ることはないし、シャルトルのパテといえばすでにルイ14世のころから野鳥のパテのことをいう。ヒバリのパテ(PATE D'ALOUETTES)も、ボースのヒバリで作るこの地方の名物だ。特産地と言われている町の名をとってピティヴィエのパテ(PATE DE PITHIVIERS)と呼ばれる。シャルトルのパテと同じように作るが、風味をよくするため中にフォア・グラやトリュフを詰めることもある。生地で覆ったあと中に何が何が入っているかひと目で分かるように、余ったパイ生地でふたにヒバリの絵をあしらったり、切り分けやすいように中に入ったヒバリと同じ数だけの幾何学模様をつけたりする。
(朝日百科/世界の食べもの フランス・-92 より)

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