辻調理師専門学校 辻製菓専門学校 通信教育部 ブログ

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第1課 パンの製法(1) ストレート法/第2課 食事パン(1) ストレート法を使って

通信教育講座受講レポート

宮本さんの受講日記 フードジャーナリスト、料理研究家 宮本さやか製パン技術講座


製パン技術講座を体験中の宮本さやかです。イタリアのトリノに暮らしていますが、辻製菓専門学校にいるかのような中身の濃い授業が受けられること、教材がとてもわかりやすくて楽しく続けられることに惹かれて、数年前に日本料理の講座を履修したことから始まり、次に製菓、今回の製パンと通信にはまっています! フードジャーナリストという仕事をする私にとって、たくさんの料理人や業界のプロの方達を取材する時に、ここで得る専門的な知識はとても役に立ちます。そして在住日本人の奥様方にイタリア料理を、イタリア人に日本料理を教える仕事もしていますが、その時にもここで得た専門知識が頭の中にあることで、自信を持って仕事ができています。

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今回のテーマは...

第1課 パン製法①ストレート法


第2課 パン製法①ストレート法を使って

小麦パンとバゲット


 私のパン作りは、作業台を作ることから始まった。こう書くと「作業台も持っていないんじゃ、パンは全くの初めてなのね、このヒト」と思われるかもしれないが、実は私はなかなかおいしいパンを焼く。自分でいうのもなんなのだが、私のパンを食べたいろいろな人が「とても美味しい」と言ってくれる。お世辞もあるのはわかっているが、私が焼いたと知らずに「このパン美味しい~」と言う人もたくさんいる。ミラノ在住のグルメな料理写真家は、とてもおいしいから定期的に焼いて僕に売って欲しい、とまで言ってくれたほどだ。

 でもこのパンは偶然の産物である。たまたま知人から天然酵母の種をもらったので、レシピを探して適当にアレンジしてみたら、なんとなくうまくいってしまっただけなのだ。硬質小麦の全粒粉とマニトバ小麦をミックスし、カボチャの種と亜麻の実を加えてミキシングマシーンに放り込んでグルグル混ぜるだけだ。だから製パン技術講座を始めることになって、とても嬉しかった。偶然で何となく美味しくできている物を、どうして美味しくでき上がるのか理解し、コンスタントに作れる様になり、レシピも広がる。何より、私はパンが作れます、と胸を張って言える様になりそうだから。

製パン というわけで、作業台である。前に持っていた物が割れてしまったので、今回は自分で作ってみることにした。DIYセンターでポプラの1cmほどの厚さの板と、押さえにする棒状の板を買ってきた。それを釘で打ち付けて、周囲を紙ヤスリで削ったらできあがりだ。とても安上がりだし、既製品よりも大きいので作業がしやすく、軽いから手入れをするのも楽チン。

 材料集めにはちょっと苦労した。フランス粉という物はイタリアには売っていないので、普段ピザやパン作りに使っている「硬質小麦粉」(タンパク質の含有量が高く、日本の強力粉の原材料となる)を8割、ケーキや手打ちパスタに使う「軟質小麦粉」(同じく、薄力粉の原材料)を2割という配合で試してみることにする。「スキムミルク」も見つからないので牛乳で代用し、水の量を調整するという方法で解決することにした。先生の焼いたパンを食べてみることができないので、味がどれぐらい違ってくるのかはわからない。日本に住んでいればスクーリングの時にこの問題は解決できるのに、それだけが残念。

 製パンさて、いよいよ生地作り開始。普段は愛用のミキシングマシーンで気軽に生地をこねている私だが、「水を先に入れ、粉類を後で」というのにまずびっくり! でもやってみると、本当だ! あっという間にきれいにすべての材料がよく混ざりあった。今までは粉の中に水を入れていたけれど、そうすると粉があっという間に水の一部分を吸収してしまい、全体が均一に混ざり合うのが難しい。なーんだ! 水に粉を入れるってすごいなあ、と感激しながら回るハンドルに見入っていたら、ついまわしすぎてしまった。いけない! 1~2分の間に水の量、固さを決めるんだったのに! とりわけてあった調整水を入れるのを忘れたので、ちょっと固めの生地にしあがってしまったが、まあ、今回は試しということでこのままいくことにした。

 一方、作業台で手ごねにも挑戦。ボウルの中でざっと混ぜた生地を台におき、先生がやっているように投げつけては折り返し、また投げつけるという作業をやってみる。先生の作業を見ると、まるで生地が生きているみたいにくるりと丸まって行くけど、私のはそうはいかない。「そりゃそうか、そんなに簡単にできるんなら誰も苦労しないよね」と一人で納得しつつ、投げつけ続けていると、生地がだんだんいい感じになってきた。

 ホイロはないので、オーブンを30度に設定し、小さなボウルに水を入れた物を中に入れて、生地を発酵させることにした。いつもは天然酵母を使って室温でゆっくり発酵させているので、こんなふうにするのは初めて。ふーん、うまくいくのかな、と60分後に様子を見てみると、おや、いい具合に発酵がすすんでいるじゃない。指をグッと入れると、指の跡がそのまま残る。この方法は、製菓の通信教育でブリオッシュをやった時に教わったので、私がパン作りで唯一持っている知識。だけど発酵の具合を先生のように手でソフトに触ったり、軽く押したりするだけでわかるようになりたいな。道はまだまだ遠そう。

 ガス抜き作業でもまた驚き。今まではガス抜きなんだからと、力いっぱい生地を押してこねていた。ガス抜きという言葉から、生地の中にたまった空気をぜーんぶ出してしまわないといけないような気がしていたからだ。でも先生はそっと四つに折り畳んだだけ。えー? それだけ? と狐につままれたような気がしたけれど、畳んだ後の生地にそっと触ってみると弾力が戻っているのであった。

 製パン難しかったのは分割と成形だ。先生の手は魔法の手の様に、二つの生地を両手に一つずつ持ってクルクルッと作業台で回転させると、あっという間に丸め作業が終わっていた。私の手は、左手の回転は妙にぎこちなく、台の上で滑って上手く丸まらない。右手はなんとかいけるけど、数回まわすだけではお尻の部分は全然くっつかない。でも長くやっては生地が荒れるという先生の言葉を思い出して、焦り気味に表面だけきれいに仕上げた物は、焼いた後、やっぱりお尻の部分が開いてしまった。

 成形の後のホイロは、オーブンの温度を上げなければ行けないのであきらめ、ラップをかぶせて室温で済ますことにしたが、意外にもホイロと同じぐらいの時間で生地の弾力が弱まったので、ウキウキ、ついにオーブンへ!
 
 あれれ、クープがあまり開いていない。特に、丸形と、コッペパン型に横斜めに入れたクープは、開きが悪い。そういえば先生のカミソリは、スッスッと簡単に切れ込みが入っていたが、我が家で一番よく研いである和包丁でも、製菓用に買ったカッターナイフでも、なかなかきれいには切れ込みがはいらなかった。次はもっと深く入れてみたらどうかな? 先生みたいなカミソリはどこで買えるだろう?
  
 製パン翌日、第2課のバゲットに挑戦。昨日の小麦パンよりは、落ち着いて作業ができ、成形も上手く行った。でもやっぱりクープが上手く開かないのは、切り方が悪いのか、発酵のせいなのか、焼き加減なのかわからない。そういえば、普段焼いているパンも、今ひとつ膨らみが悪い。前に使っていたおんぼろオーブンの時は、パン屋さんで売っているように立派に膨らみ、きれいにクープが盛り上がる時もあったのに、新しいオーブンにしてから期待はずれが続いている。先生に質問してみようっと。

 焼き上がったバゲットは、パリで食べたバゲットのようにバリッとした仕上がりではなかったけれど(当たり前か!)、まあまあのおいしさ。切ってみるとこんな感じ。どうでしょう、先生?

 

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