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【フランスの誇る鶏】調理外来講習 M. Cyril DEGLUAIRE(シリル・デギュルエール氏) Comité Interprofessionel de la volaille de Bresse (コミテ・アンテルプロフェッショネル・ドゥ・ラ・ヴォライユ・ド・ブレス) ブレス鶏生産者組合

フランス校教壇から

2026.08.06

今回は、フランスが世界に誇るブランド鶏である『ブレス鶏』についての講習です。
講師はブレス鶏生産者組合からシリル・デギュルエール氏にお越しいただきました。

まず、フランスで生産される食物の品質管理の制度、ブレス鶏の飼育方法、どのようにブランドを守っているのかという説明をしていただきました。

フランスでは、1935年にA.O.C.(アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)という、フランスの農業製品、ワイン、チーズ等に対して厳しい基準をクリアした製品に与えられる認証であり、日本語では『原産地管理呼称』と呼ばれる制度があります。この基準を満たしていなければ、A.O.C.で規制された名称で製造・販売をすることは違法となってしまいます。
現在では、ヨーロッパ統一の制度となり、A.O.P.(アペラシオン・ドリジーヌ・プロテジェ)『原産地保護呼称』と整えられました。今回学ぶブレス鶏は、1957年にA.O.C.に、1996年にA.O.P.に認定されたとても歴史のあるものになります。

ブレス鶏の見た目の特徴は全体の羽毛は白く、足は青く、トサカは真っ赤に色づいています。

そして、本物のブレス鶏を証明する印が3つあります。
①左足の金具:生産者情報などが記載されている。
②首から掛けられたメダル:色別で鶏の種類が分かる。
③首の金具:生産者組合から認められた印。屠殺者の名前が書かれている。


これらの証明を得るための品質管理として、飼育する施設の設備、飼育期間や食事の種類、肥育のための期間や食事内容までも厳格に決められています。設備であれば、鶏1羽あたり最低15㎡の牧草地、1㎡あたり最大12羽の飼育が出来る鶏舎が必要です。食事については、生後36日まではケージの中で穀物と乳製品を食べて育てられます。その後48日間は牧草地で放し飼いにされますが、あまり過保護にせず最低限のみを与え、食物のうち1/3を牧草地の中から自分で探して食べる必要があり、この期間で骨格の形成が行われます。その後種類に応じて肥育期間が設けられます。ケージの中だけでなく放牧するなどの広大な土地が必要となり、時間がかかる分の餌も必要となるため、ブレス鶏は高品質であり高価なわけです。

ブレス鶏の価値を高め続けるためにブレスの養鶏家が一堂に会して行われる、コンクールがあります。毎年クリスマス前に4つの町で開催されるこのコンクールでは、実際の鶏の成長具合と、鶏を布で巻いて包むことで鶏をより良い状態にする加工(ルーラージュ)についても競われます。
ルーラージュする事の利点としては、
①ラグビーボールの形に整え均一に見せる。
②中の空気を抜き、真空状態にすることで保存期間が長くなる。
③皮下脂肪が鶏全体に広がり、皮が均一に白くなる。
といった事が挙げられます。
コンクールの審査には、様々なレストランのシェフや、フランス校のナレ先生も審査員として参加しています。
こちらは、養鶏家のシリル・デギュルエール氏に、実際のルーラージュを見せていただきました。

デギュルエール氏は今までの品評会で12度の優勝経験があり、最高の技術を持った生産者の1人です。ルーラージュの作業を目の前で見ることができるのは非常に貴重な機会なので研究生は興味津々の様子でした。このようにして空気を抜けば、通常2週間のところが約3週間の保存が可能となります。

ルーラージュで使用する器具も専用のものを使います。
元々は獣医さんが使っていたこの針を見て、この形の針を使おうと考えたみたいです。デギュルエール氏にとってはこの針のほうが縫いやすいみたいですが、他の人は普通の針を使ったりもするそうです。木の棒は糸をしっかり締めるために用います。ブレス鶏を包む布はデギュルエール氏が熟練の技術者なので、専用の名前入りの布を用意してもらっていて、ルーラージュされた鶏を一目見ただけでデギュルエール氏が手掛けたものと分かるようになっています。

クリスマス前の忙しい時期は7人体制で1日80羽を仕上げるそうですが、コンクールに出すものとなればより慎重に扱うため、その半分の40羽になるそうです。
デギュルエール氏は、お父様も養鶏家をされており、小さなころからルーラージュの方法を見ていた為、「自分もやりたい!コンクールで優勝したい!」と思うようになり、この仕事に就かれたそうです。今では、ブレス鶏生産者組合の責任者もされており、ブレス地方を盛り上げ、ブレス鶏の知名度向上の為にブレス鶏を使った料理コンクールも主催されています。

今回は講習とは別に、2026年3月末に行われたブレス鶏のクリームソース世界選手権に出場し、見事優勝を果たした本校の川畑先生のトロフィー授与式も行われ、コンクールの責任者の一人でもあるデギュルエール氏に名前の刻印入りのトロフィーを授与していただきました。改めて川畑先生おめでとうございます!

そして、こちらが布で包まれたものと約1週間後に包みを開けたものです。


包んだ後の方が全体的に白く均一できれいな状態に整っている様子が伺えます。

今回の授業は、料理をするために必要な食材について、良い品質を保ちブランドを守り続けることについての生産者の方の熱意がとてもよくわかる内容でした。研究生も普段使っている食材について、より深く知ることが出来た機会になったと思います。

最後に全員で記念写真を撮りました!