Mlle Victoria De CARVACHO(ヴィクトリア・デ・カルヴァチョ氏) et M.Cyril Dégluaire(シリル・デギュルエール氏) / Comité Interprofessionel de la volaille de Bresse (コミテ・アンテルプロフェッショネル・ドゥ・ラ・ヴォライユ・ド・ブレス) ブレス鶏生産者組合
今回の調理外来講習は通常の料理講習ではなく、フランスが世界に誇るブランド鶏である『ブレス鶏』についての講習です。講師はブレス鶏生産者組合からヴィクトリア・デ・カルヴァチョ氏にお越しいただきました。
まず、カルヴァチョ氏よりフランスで生産される食物の品質管理の制度と、ブレス鶏の飼育方法、どのようにブランドを守っているのかという説明がありました。
1935年『原産地管理呼称』別名A.O.Cと呼ばれる制度が、1992年にA.O.Pと言われる『原産地保護呼称』が整えられました。どちらの制度とも、農産物や加工品の品質、製造方法、偽造から生産者や生産物を守るためにあり、数多くの基準をクリアしなければなりません。今回学ぶブレス鶏は、1957年にA.O.Cを受け、1996年にA.O.Pを受けました。
ブレス鶏の見た目の特徴は全体の羽毛は白く、足は青く、トサカは真っ赤に色づいています。
次に、本物のブレス鶏を証明する3つのしるしの説明がありました。
①足の金具:生産者情報などが記載されている。
②首から掛けられたメダル:色別で鶏の種類が分かる。
③手羽の金具:生産者組合から認められた印。
これらの証明を得るための品質管理として、飼育する施設の設備、飼育期間や食事の種類、肥育のための期間や食事内容までも厳格に決められています。設備であれば、鶏1羽あたり最低15㎡の牧草地、1㎡あたり最大12羽の飼育が出来る鶏舎が必要です。食事については、生後36日まではケージの中で穀物と乳製品を食べて育てられます。その後48日間は牧草地で放し飼いにされますが、あまり過保護にせず最低限のみを与え、食物のうち1/3を牧草地の中から自分で探して食べる必要があり、この期間で骨格の形成が行われます。その後種類に応じて肥育期間が設けられます。ケージの中だけでなく放牧するなどの広大な土地が必要となり、時間がかかる分餌も必要となるため、ブレス鶏は高品質であり高価なのです。
続いて、ブレス鶏の価値を高め続けるためにブレスの養鶏家が一堂に会して行われる、コンクールについての紹介をしていただきました。毎年クリスマス前に4つの町で開催されるこのコンクールでは、実際の鶏の成長具合と、鶏を布で巻いて包むことで鶏をより良い状態にする加工(ルーラージュ)についても競われます。ルーラージュする事の利点として、以下が挙げられます。
①ラグビーボウルの形に整え均一に見せる。
②中の空気を抜き、真空状態にすることで保存期間が長くなる。
③皮下脂肪が鶏全体に広がり、皮が均一に白くなる。
コンクールの審査には、様々なレストランのシェフや、フランス校のナレ先生も審査員として参加しています。
今回、養鶏家のシリル・デギュルエール氏にお越しいただき、実際のルーラージュを見せていただきました。
デギュルエール氏は今までの品評会で何度も優勝経験があり、最高の技術を持った生産者の1人です。ルーラージュ済みの鶏は市場で見たことはありますが、目の前で実際の工程を見ることが出来て研究生は興味津々の様子でした。このようにして空気を抜けば、およそ3週間の保存が可能となります。
布で包まれたものと約1週間後に包みを開けたものです。包んだ後の方が全体的に白く均一できれいな状態に整っている様子がうかがえます。
今回の授業では、料理をするために必要な食材について、良い品質を保ちブランドを守り続けることについての生産者の方の熱意がとてもよくわかる内容でした。研究生も普段使っている食材について、より深く知ることが出来た機会になったと思います。
最後にみんなで記念写真を撮りました!