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■『シェ・ブラン』、好評開店中。 ●このところ、たて続けに3ツ星シェフたちがブラスリーやビストロ事業を展開しているが、どの店も、客の心を見事につかんでいるのだから、フランス人シェフたちの柔軟なアイデアには本当に脱帽だ。 昨年末、ここでもご紹介したジョルジュ・ブラン氏の新ビストロもその例外ではなく、どうやら予想以上に評判が良いようだ。少し前、『ロテルリー』紙にその後の記事を見かけたので、まとめてみた。
「このあたりには、この手の店が不足していると思うんだ」。 しかしながら、町の中心地という立地ゆえの問題点もいくつかあった。店の隣にある16世紀に建造されたノートル・ダム教会が歴史的建造物に登録されていたために、広場に面して夏はオープンエア、冬は屋根付きとなるテラス席の建設に、記念物を管理している機関の許可が必要だったからだ。しかしそれもクリアし、店はそのテラス席のおかげで、160席ものキャパシティを得た。椅子や板張りを明るい色に塗り直し、床は新しく貼り替え、テラス席の床下には暖房を設置した。器や小物も上品に揃えられている。そして、そこにサーヴィスと料理がさらに調和するのだから、ブレスの人々が『シェ・ブラン』をお気に入りのお店にしてしまうのに時間はかからなかった。 「確かに、新しいというだけでも効果はあると思う。だけど、我々は毎日200名近い客を回転させている。すでに常連の客も現れたし、彼らは昼の12時15分に入れば1時半にはコーヒーが出るという我々の迅速なサーヴィスのスピードが決め手だと感じているんだ。日曜なんか昼だけで140名も入るんだ」と語るマルセル・ペリネ氏。ブラン氏との共同事業の好調な滑り出しを見守るのは、『サン・ローラン』に続いて、今回も彼の役目となった。 「この店は年中無休で営業し、地元特有の生活時間帯に合わせているんだ。サン・ローランでは、最終のTGVがマコンに着くのが22時半なので、23時にラストオーダーを設定した。ここでも同じように、夜遅く活動する人のために23時までオーダーを取っている。また、これは賭けだったが、日曜の昼も営業しているんだ。それは地元の習慣ではないからやめたほうがいいと言った同業者もいた。でも、私はときにはそれを覆すことも知るべきだと思うんだ。今回、我々が需要をつくったということは明らかなのだから」と引き続きマルセル・ペリネ氏は説明した。 ブラン氏のヴォナやサン・ローランにある店舗で修業をつんだこの『シェ・ブラン』のチーム(約15名、ヴァンサン・ラグランジュ氏が調理場を、フィリップ・テジェリナ氏とヤニック・ベルナルダン氏がホールを取り仕切っている)が、この地にぴったりのリズムをつかむのに時間はかからなかった。 「彼らには確かな実力があるので、責任感を与えることが大事だったんだ。とても興味深い経験だった。我々は若いスタッフたちが「食らいついた」のを感じたし、彼らは仕事をつらいと思わなくなった。我々は『ランシエンヌ・オーベルジュ』や『サン・ローラン』と同じエスプリのもと、競争を避けるために他店とは違った食材を使っているし、常連客のことを十分考慮して、定期的にメニューも変えるようにしている(1ヶ月半に2回)。また、ポテやブランケットといった毎日固定のメニュー1品に、オードブルかデザートがついて85フランのコースや、オードブルとデザート両方がついて98フランのコースもある」 他のコースには150フランと170フランの「ムニュ・キャルト」、230フランの「アントル・ブレス・エ・ドンブ」、250フランの「サヴール・デテ」があり、平均客単価は240フランにも昇る。 こうしてジョルジュ・ブラン氏は、ブル・カン・ブレス進出のあらゆる面で満足のいく成果をあげた。そして予想通り『シェ・ブラン』は彼の本店発展の推進力となったのである。 「我々は『サン・ローラン』のオープンのとき、それまでヴォナの3ツ星レストランにはほとんど足を運んだことのなかったマコンの客が、ヴォナにも来るようになったことを知った。そして、『シェ・ブラン』開店以来、ブル・カン・ブレスの客もヴォナに来てくれているんだ。今日では、名前とイメージを結びつけることがとても重要なんだ」。
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