■帰ってきたピエール・エルメ 今年もやってきたバレンタインデー。チョコレートをはじめ、お菓子を贈ることの多い日本の風習にちなんで、今回はパリの新しいパティスリーをご紹介。といっても、ピエール・エルメ氏のことをすでにご存じの方は多いのではないだろうか。『ルノートル LENOTRE』で修業を積み、25歳にしてパリの名店『フォション FAUCHON』のシェフ・パティシエに就任。その後、パリの老舗『ラデュレ LADUREE』に移り、日本でもおなじみのパティシエとなった彼が、新店舗とともにパリに戻ったという記事が、昨年末の『フィガロ』紙に載っていた。オープンは今年の初めというから、パリに行ったときには本場でエルメ氏のお菓子を味わってみるのもいいかもしれない。パリにはたくさんのおいしいパティスリーやショコラティエ、パン屋さんがあり、辻調グループフランス校の学生もこぞって食べ歩きに出かけている。彼らの食べ歩きマップに、また新しい店舗が追加されることだろう。 ●表舞台から姿を消していた彼が、ようやく帰ってきた。彼が戻った場所はパリ。しかも2カ所で、ボナパルト通りとヴォジラール通りだ。フランス・パティスリー界のリーダー格である彼は、別にどこかで寝むり込んでいたわけではなかったのだ(その間、彼は東京に2件目の店をオープンし、『レストラン・コロヴァ』の開店にも協力している)。この彼の新しい2軒のお店にサロン・ド・テ(カフェ・スペース)がないのは、商業戦略的な理由ではなく、単に十分なスペースがなかったというだけのことらしい。店内には、クラシックなヴィエノワズリーはもちろん、毎年ある一貫した作品を打ち出している彼の最新のお菓子も並ぶ予定だ。中でも、カプチーノから着想を得たという新作のタルト・オ・カフェは、先の“ドゥー・ミル・フイユ deux mille feuilles”、“リスパアン l'Ispahan”、“ル・モンテベッロ le montebello”と並んで、彼の代表作のひとつに加わるかもしれない。ピエール・エルメは、大げさな作品ではなく、日々のお菓子に力を入れようとしている。また、ボナパルト通りの店舗の美術を手掛けるのはデザイナーのヤン・ペノールズ Yann Pennor's 。オープンはどちらも2001年のはじめだそうだ。(フランソワ・シモン筆) ![]()
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