フェルナン・ポワンのレストラン「ピラミッド」は、フランスのローヌ=アルプ地方、イゼール県、ヴィエンヌの町にあった。ヴィエンヌ はパリと南仏を結ぶ主要ルート上(N7)にあり、リヨンからはローヌ川沿いに南へ31km。古代ローマ時代に栄えた町で、丘の上には大きなローマ時代の野外劇場があり、他にも町中にローマ時代の遺跡が多い。そのうちの一つであるピラミッドが店のすぐ側にあり、レストランの庭からも眺めれらたので、店の名前になった。やがてこの名は、フランスでも指折りのレストランとして世界に知られるようになる。1933年、フランスのレストランガイド『ミシュラン』が3段階の評価で星をつけはじめた年に、最高の評価である3つ星を獲得する。 また、この店と遺跡のある通りはピラミッド通りといったが、1955年のフェルナン・ポワンの死後、彼の功績を称えてフェルナン・ポワン通りと改められる。その後さらに約30年間、マダム・ポワンの元でレストラン「ピラミッド」は『ミシュラン』の3つ星レストランの地位を維持し続けた。
そして現在、やはり同じ場所に同名のレストランが存在する。だが、1986年にマダム・ポワンがなくなった後、この店は人手に渡り、建物も新しく建て替えられたため、残念ながら昔のピラミッドの面影はほとんど残っていない。
ほ ピラミッドの外観。左(マダム・ポワン存命中)右(現在)
現在の「ピラミッド」は1989年に再スタートした。シェフは、パトリック・アンリルー。ポワンの弟子であったボキューズやトロワグロの推薦を受けて、当時30歳を過ぎて間もない彼が迎えられた。その後、1990年に『ミシュラン』1つ星、1992年に2つ星に昇格。同氏は以後も、1996年には、フランスのレストランガイド『ゴー=ミヨー』のシェフ・ド・ラネ(今年の料理人:毎年、今後特に活躍が期待される料理人が選ばれる)に選ばれるなど、すばらしい活躍を見せている。1997年の『ミシュラン』では2つ星、『ゴー=ミヨー』では20点満点の18点。フェルナン・ポワンの創案した料理がメニューに残されていたこともあったが、現在のピラミッドのメニューは、彼の独創的な料理で構成されている。 ただ、今もなお店の入り口には、フェルナン・ポワンをしのぶ品々が飾られている。
ほ ピラミッドのメインダイニング。左(マダム・ポワン存命中)右(現在)
ピラミッド Pyramide 住所:14 boulevard Fernand-Point38200 VIENNE,FRANCE 電話: 04 74 53 01 96 FAX : 04 74 85 6973 定休日:水曜、木曜の昼(6月16日〜9月14日までは無休)夜のコースは430から630Fr、昼食は飲み物付きで275Fr ホテル併設
|