5話は特別に料理が出てこなかったのですが、
権造パパから純三郎に引き継がれるという
「デミ」、つまり、デミグラスソース話が延々と登場。
でも、写るシーン、写るシーン、どれも鍋の中身は茶色いものばかり。
なにをどうやって、どうすると「デミグラスソース」になるのか、
そもそも、「デミ」って何?という疑問を持った方も多いのでは?
で、今回は、「デミグラス集中講座」ということで
ちょっとアカデミックに?にいってみます。


1話で健一郎さんに勇次郎が出した質問に、
デミグラスソースの語源は?」というのがありましたが、
デミグラス」とは、フランス語で「半分に煮詰める」の
「ドゥミグラス」の意。

デミグラスソース」とも「ドミグラスソース」とも言うのは、
この「ドゥミ」をどう聞き取ったか、という違いですね。
以下、説明には便宜上「デミグラス」を使います。

で、なにを半分に煮詰めたのか、というと、フランス料理の
非常に古典的なソースの一つである
「ソース・エスパニョール」を、です。
あ、もう判りづらくなってきましたか?

 



というわけで、ちょっと寄り道というか、
ルーツに遡って、「ソース」の話。
面倒なら次の項目へどうぞ。

ここからはちょっとフランス料理の話です。
フランス料理では「ソース」は重要な要素の一つです。
一口に「ソース」、といっても、たくさん種類があります。

まず大きく、マヨネーズに代表される冷たいソースと、
今話題にしている「ソース・エスパニョール」
などを含む温かいソースに分類されます。
温かいソースにもさらに種類があって、
小麦粉をバターで炒めたルーで濃度をつけるタイプのもの、
バターと卵を使って作る温かいマヨネーズのような
タイプのもの、トマト風味のもの、
オマール(ロブスター)などの
甲殻類の殻を使ったものなどが
あります。
あ、ソースの種類だけで、この項目終わってしまいましたね


で、本題の「ソース・エスパニョール」
(なかなかデミグラスにたどり着かないですが、
もうちょっと我慢してくださいね)ですが、
これは上記のソースの中では
「小麦粉をバターで炒めたルーで濃度をつけるタイプ」に
分類されます。

このタイプでは、小麦粉をどの程度炒めて色づけるかで、
また分かれます。
(書いていてもちょっと面倒・・・)

日本では「ホワイトソース」と呼ばれる
「ソース・ベシャメル」は、
小麦粉を焦がさずに白く仕上げたもの、
そしてしっかり茶色に色づくように炒めたルーを使ったものが、
「ソース・エスパニョール」というわけです。
(もちろん、細かい部分はもっと違うのですが)

ごくごく大ざっぱにいうと、
「ソース・エスパニョール」は茶色いルーと
茶色いフォン・ド・ヴォーで作ったソースということです。

さてさてゴールはもうちょっと。

前項でこっそり、また聞き慣れないフランス語が
出てきました「フォン・ド・ヴォー」。

レトルトのカレーやシチューの素などに名前が使われて、
「何かちょっと高級そう」な感じで
耳にしたことはあると思いますが
これは、仔牛の骨や肉と香味野菜を
焼いたり炒めたりしてから水と長時間煮込んで
取ったフォンのこと。

フォン、とは簡単に言うと「だし」ですね。
肉の味が強く出て、風味も濃いので、
基本的に肉料理に使われます。

というわけで、肉の味の濃い「フォン・ド・ヴォー」と
バターで茶色く炒めた小麦粉のルーと、又新たに、
牛のすね肉や野菜などを炒めたものを加えて作ったソースが
「ソース・エスパニョール」という訳です。



やっと、「デミグラス」の正体です。
デミグラスソース」はこの「ソース・エスパニョール」を、
更に半分まで煮詰めて濃い味に仕上げたものなのです。

ごくごく簡単に説明してみましたが、どうでしょう。
(これでも充分複雑かも知れませんが・・・)



と、ここまでは理論編。
ここからは実際に「キッチンマカロニ」で 作っている方法です。

 

(1)

ベースとなるフォンを取る。
仔牛の骨や仔牛のすね肉と、香味野菜(たまねぎ、にんじん、セロリ、にんにく、マッシュルームなど)を焼いたり炒めたりしたものを、水、ブーケガルニ、トマトペーストと一緒に長時間(6時間くらい)煮込む。
  (2) 材料から十分うまみが出たところで、焼いたひね鶏と牛のすね肉、ベーコンの塊、香味野菜(たまねぎ、にんじん、セロリ、にんにく、マッシュルームなど)を炒めたもの、トマトペーストなどを足してさらに6時間ほど煮込みます。
  (3) 途中で茶色のルーを加えます。
  (4) 煮上がったものを漉します。
  (5) さらにルー(濃度を調整)と(1)(2)で入れた物と同じ香味野菜を加えて煮詰めます。

(6) 煮詰めてアルコールを飛ばしたマデラ酒を加え、塩・こしょうで味を調える。

参考文献「プロのためのやさしいフランス料理」(柴田書店)

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