No.10 沖縄

 辻調グループ校が沖縄サミットの料理を担当するにあたり、料理とともに材料の試行錯誤も始まりました。さまざまなものを試した結果、今回使用した材料に決定した訳です。そこで、今回のサミットで使用された材料たちを食材豆辞典に加えました。

 沖縄では亜熱帯気候を利用してトロピカルフルーツと呼ばれるマンゴやパイナップルなどのさまざまなフルーツが栽培されています。そして、国内流通の強みを利用して、輸入物と差別化した完熟での提供が始まった訳です。ですから、同じフルーツでも「おいしさ」という付加価値が添えられているのです。(今回使用したのは、マンゴパイナップルパッションフルーツ

 地理的な近さから、中国や東南アジアで見られる作物も多く栽培されています。未熟な青いパパイヤを野菜として食べるという習慣があり、うこんの栽培にも適しているようです。

 エサとなる作物が一年中栽培できる気候を利用して石垣牛が生産され、30℃を超える日が何日も続くことから高温性の野菜であるゴーヤが栽培されています。

 中国との交流により伝わったとされるものも多くあります。大豆発酵製品(腐乳)が、沖縄の焼酎(泡盛)を利用した豆腐ようとなって現在に至っています。また、さとうきびやさつまいもの栽培が農業の中心となっており、さとうきびは黒砂糖に加工され(→黒糖蜜)、さつまいもでは色の珍しさから紅芋が注目され特産物の一つとなっています。

 美しい海に囲まれていることで海産物にも恵まれ、種々の海藻が育っています。その中から今回は、海ぶどうアーサーを使用しました。また一方では、珊瑚礁に囲まれていることが逆に不利となってなかなか漁業が発展しにくく、漁獲量がなかなかまとまらないという現実があります。そうゆう状況の中、ハタ科の高級魚アカジンミーバイを使用しました。

 沖縄といえば豚。深く関わってきた分、無駄にはしないというところで、余すことなく利用されます。その豚肉の中からは、スーチカ(塩漬け)と、チラガーと呼ばれる顔、それから豚の耳を使用しました。現在の沖縄の豚は、他の地域と同様の三元交配で作られたものがほとんどで、かつての黒豚は「あぐー」の名でわずかに残るのみとなっているようです。

 村おこし的な要素をもつものに、黒米があります。今回使用した玉城村(タマグスク)の黒米は、稲作発祥の地とされることに関連させて、村おこしの為に15年ほど前から販売されているものです。

 以上、主だった使用材料を上げてみました。この他にも沖縄には結構くせになりそうなものがたくさんあるようです。一度お試しあれ。

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