No.8 しじみ

 まだまだ寒さの残るこの頃、暖まる食べ物はありがたいものです。さて、湯気の上がる味噌汁の中にはシジミが山のように入っています。みなさんはこの中のシジミの身も残さず食べますか、それとも汁だけ飲んでおしまいでしょうか?

 いままでシジミについて深く考えることなく、汁だけを飲んで、身はめんどうだという理由で残してしまっていました。体にとっても良い食べ物だというイメージはあるけれども、だからといって好んで食べていたとは言い難く、アサリやハマグリに比べると一段劣るなんて失礼なことを思ったりして。

 ところが、シジミについていろいろと調べているうちに、懺悔の気持ちで一杯になってきたのです。そこで、栄養面のことはさまざまに取り上げられているので置いておくとして、その他の話題を取り上げましょう。

 淡水に住み北海道を除く全国で見られるマシジミ、宍道湖七珍(スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミ)の中にも取り上げられているヤマトシジミ、いまや幻となってきた琵琶湖の瀬田シジミと、シジミにも種類があります。

 現在流通しているシジミのほとんどが、ヤマトシジミと外国からの輸入シジミで占められています。早春が旬で味の評価の高い瀬田シジミは、漁獲制限で一般に出回ることはほとんどなく、マシジミも一般の流通に乗ることは少ないようです。

 今、これらのシジミたちからSOSが聞こえてきます。

 シジミにはろ過機能があり、水質を維持するために役だっています。なんとシジミには1コ当たり1Lの汚れた水をろ過する力があるのです。それも1日で。ところが、シジミによって浄化されてきた水がその限界を越えて汚染し、さらに乱獲によってシジミの数が減ることで、ろ過機能を失うという悪循環に陥っているのです。

 本当は人間がシジミたちの助けを借りて健康を維持していくはずが、逆に、川を汚してマシジミが、琵琶湖の汚染と乱獲で瀬田シジミが、汽水域をせき止めて淡水化することでヤマトシジミが、減少の一途を辿っているのです。そんなことで、悲しいかな環境の変化を知る手段としても、シジミが利用されているようです。

 シジミが近くの川で採れる日がふたたび来るのでしょうか?