No.9 生姜(しょうが)

 夏の暑さが近づいてきました。「あっさりと冷や奴がいいかな」と、欠かせないのが薬味の生姜。チューブ入りの物がたくさん出回って、確かに便利でいいけれど、たまには生の生姜をすりおろして食べてみる。やっぱり卸したての新鮮さは格別だ。豆腐が引き立つ。てな具合に今回は薬味の中でも生姜をお届けします。

 一般に売られている生姜は、根生姜・ひね生姜・囲い生姜などと呼ばれています。なにげなく売られていますが、国産物と輸入物とがあります。かなりの価格差と品質の差があるようです。価格面では輸入物に譲るものの、香りの面では国産の方が勝るようです。10月から11月にかけて収穫したものを保存して、順次出荷していきます。

 また、「寿司のガリ」の原料にもなる新生姜は、夏を中心に出回ります(上の写真は出荷前の新生姜)。 秋に収穫された根生姜を種にして、早い所では年内に植え込み、4月位から収穫を始めます。根生姜に比べ繊維が柔らかいところから甘酢漬けなどに利用されます。

 料理のつまなどに使われる葉生姜は、様々な別名を持っています。谷中生姜、棒、つばめ、はじかみ生姜など出荷時期や地域によっても呼び名が違うようです。

 生姜の親子の物語。春に植え付けられた親(種)生姜から子供の生姜(新生姜)が育っていきます。すくすくと病気もせずに順調に育った子生姜の親はじっと見守るだけで、一緒に収穫され、ひね生姜として出荷されます。でもこの親生姜の評価は低く、同じ国産のひね生姜の中でも安価に出回ります。ただ、最近はもっと安価な輸入物が増えているため、この出荷も少ないようです。

 一方、病気がちな子生姜の親は成長を助ける為、自分の栄養をどんどん子供に与え続けます。結果、子供が成長した頃には親生姜はやせ衰え、とても出荷できる状態ではなくなります。子を思う親の気持ちは動物の世界と同じで、親子関係の原点を感じさせてくれる物語です(ちょっとオーバー)。




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