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中国料理TOPへ好吃(ハオチー)!中国料理! コラム一覧へ
連載コラム 好吃(ハオチー)!中国料理!
北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。
豆乳豆腐の翡翠ソースかけ
翡翠豆腐


豆乳豆腐の翡翠ソースかけ

   
  北京ならではの食べ物と言うと、前回のコラムでとりあげた北京ダックと、今回紹介する羊肉のシャブシャブと水餃子じゃないだろうか。
  寒い冬には鍋ものがよく合う。羊肉のシャブシャブは北京の冬の風物詩となっている。宋代の『山家清供』という本に、たまたま手に入った一羽のウサギを薄くそぎ、湯につけてゆすり、好みのタレにつけて食べるという話が書かれていて、これがシャブシャブの始まりという人もいる。
  2002年12月、滞在したホテルの噴水が凍ってしまうほど寒い北京で、本場の
「金生隆」の看板
「金生隆」の看板
シャブシャブを味わった。ここ「金生隆」は1894年にオープンした、回教徒のための料理、清真菜のレストラン。北京には回教徒が多いため、彼らのためのレストランも数多くある。500席からなる広い店内では、どのテーブルでもシャブシャブが賑やかに食べられていた。我々もすぐにシャブシャブと羊の内臓の炒め物を注文する。
麻豆腐
炒麻豆腐
三代目になる老板(ご主人)の話では「羊四様(羊の内臓4種)、臭豆腐、豆汁」を三つの変な食べ物と言う。勧められるままに豆汁(麻豆腐を作る時にできる緑豆の絞り汁、発酵した臭いと酸味がある)、炒麻豆腐(緑豆の絞りカスを発酵させ、炒めたもの)、糖捲果(サトイモの飴煮)、焼餅夾肉(羊肉のハンバーガー)、炸抹肉(湯葉の羊挽肉挟み揚げ)、焦圏(リング状の揚げパン)もいただくことにした。
  さて、話を羊のシャブシャブに戻そう。羊のシャブシャブはイスラム教徒である
羊肉を切る
羊肉を切る
回族が清朝末期に広めたと老板は話を続ける。内蒙古で飼育した羊を生きたまま北京に持ち込み、解体して腱子(スネ肉)、大三叉(尻の上の肉)、上脳(肩肉)、筋肉(バラ肉)、里肌(ヒレ肉)、磨襠(尻の下の肉)等の各部位に分け、細長い包丁で薄切りにする。好みの部位を注文し、数枚を箸で挟み、中央に煙突がついた銅製の火鍋に入れ、湯の中ですすぐようにして火を通しタレにつけて食べる。肉には食べる順番があり、脂肪の多い肉から赤身の肉に移っていく。このようにすると、肉からほどよく脂が溶けて湯に旨みが加わり、美味しく味わえるとのことであった。一切冷凍していない新鮮な肉なので臭みは全くなく、肉本来の味が楽しめる。タレはゴマダレ
シャブシャブ
シャブシャブ
で、芝麻醤(当たりゴマ)、スープ、ニラ花の塩漬けのペースト、醤油、黒酢、腐乳に秘製自家製スパイスをプラスしたものである。この自家製スパイスがミソで、作り方は企業秘密らしい。好みで唐辛子、香菜、葱のみじん切りを加える。肉を食べ終え一息ついてから、春雨、白菜、豆腐などを鍋に入れ、いただくとさっぱりと後口がよい。
  さすが、北京の庶民の食べ物、羊肉のシャブシャブはシ ンプルで美味であった。北京ダック同様、正しく北京の味。食べて飲んでお腹一杯になって払った金額は10人で750元(日本円で約11250円)。しばし老北京の気分を満喫した一夜だった。

  翌日に訪れた愉園餃子館は、3卓しかなく、12人も入れば一杯になる小さなお店
愉園餃子館の外観
愉園餃子館の外観
で、ご主人は脱サラをして、自己流ではあるが水餃子の作り方を研究してお店をオープンしたと言っていた。研究の結果、皮は河北省大名県の強力粉が一番で、皮はプリッと歯ごたえがあって美味しかった。印象に残ったのは、豚肉とウイキョウの餃子、豚肉とセロリの餃子、豚肉と中国パセリの餃子、羊肉とネギの餃子、卵とニラと干しエビの餃子。他にエビと豚と野菜の餃子など約20種類あった。値段は一斤(500g)15元〜30元と大変リーズナブルだった。
豚肉とウイキョウの餃子
豚肉とウイキョウの餃子
また、前菜として食べたロバ肉の香料煮のロバ肉は初体験であったが、思ったほどクセはなく、とても印象に残った。最後に、餃子はオーダーが通ってからしか包まないとご主人は言っていた。当たり前のようなご主人のこだわりではあるが、美味しい餃子を作る原点のように
愉園餃子館の外観
愉園餃子館の外観
思った。また、助手に付いていたのは女性であった。北京の人はみんな餃子作りが上手い。これも当たり前のことのように思うが、手際よく作る作業を見る限り、それはたとえお手伝いでも訓練されないとできないと思った。



  さて、今回ご紹介する料理は、中国の方が牛乳感覚で飲んだり、料理に使用する豆乳を使ったものです。「金生隆」で食べた炒麻豆腐、豆汁は緑豆から作る製品の副産物で、正しく北京の庶民の食べ物である。また、私が台湾で料理の研修をしていた約7ケ月間、朝食は決まって居留していたホテルの前にあった屋台で緑豆ではないが、大豆から作った鹹豆漿(甘くない豆乳)か甜豆漿(甘い豆乳)を飲み、油条(中国風揚げパン)を食べたものである。昨今日本においても健康ブームで豆乳を使った料理が数多く紹介されているが、今日は豆乳とにがりを使ってコクのある真っ白な豆腐を作り、ホウレンソウから作った濃い緑の翡翠ソースをかけ、野菜はその美しい色と形を生かして盛り付けてみた。色のコントラストと歯ざわり、味のバランスがよく、身体にも良い一品。是非お試しください。
 

このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 豆乳豆腐の翡翠ソースかけ

辻調の異烹人
人物 中村真
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