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中国料理TOPへ好吃(ハオチー)!中国料理! コラム一覧へ
連載コラム 好吃(ハオチー)!中国料理!
北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。
パイナップルチャーハン
パイナップルチャーハン


パイナップルチャーハン

   
 中国でフルーツを使った料理と言えば酢豚(酢豚)くらいしか知らなかった約30年前の8月、初めて香港に行き、当時の空港、啓徳機場に着き、飛行機から降りた途端になんとも言えない香辛料の香りと、着ていたスーツから湯気の上がるほどの暑さに戸惑いながらも、胸の内はワクワクしていた記憶が今でも鮮明に残っています。初めての海外旅行でした。それから7年後、香港で研修をすることになるとは、その時は夢にも思いませんでした。

料理長(左)と私(右)

料理長(左)と私(右)

 研修先は伝統あるマンダリンホテル。そこでのエピソードをひとつ。ホテルでは午後3時に一旦休憩に入ります。お客さまがまだ食べておられたのですが、調理場の人達はオーダーストップがかかるとさっさとでかけてしまって、残っているのは僕だけ。そこに、サービスの人からフルーツの盛り合わせ(フルーツの盛り合わせ)を8人分と連絡がありました。皿を並べて、何種類ものフルーツを切り分け、盛り付けるのです。
フルーツの盛り合わせ
気持ちは焦っているのですが、何しろ孤軍奮闘、時間がかかります。サービスが「早く、早く」と余りにうるさいので、言い争いになり、思わず楊桃を投げつけてしまいました。仲のよかった人だったのですが、それ以降、全く話しをしなくなりました。一年間の研修では色々な事があります。でも、数年後、彼に偶然出会った時は懐かしさの余り話し込んでしまいました。時が解決してくれることもあるのですね。
 香港の街市を歩いていると日本では見たことのないフルーツが目に飛び込んできます。紅毛丹(ランブータン)、山竹(マンゴスチン)、楊桃(スターフルーツ)、茘枝(ライチー)、龍眼(リュウガン)などあげれば限がありません。以前余り見かけなかった火龍果(ドラゴンフルーツ)は、面白いネーミングと頷きたくなるような外観から最近注目を浴びているようです。
ドリアン、チェリモアなど

ドリアン、チェリモアなど

  厨房の皆にどんなフルーツが好きかと聞いてみると、西瓜、楊桃、竹蔗(サトウキビもフルーツ?)、茘枝、梨などと答えが返ってきました。さっぱりとした味が香港の人は好みのようで、至る所にあるジュース屋でもそういう類のものが売れています。
 今、香港で流行っている飲み物が「火麻仁」と呼ばれるゴマジュースです。炒った白ゴマに控え目の砂糖を加えてミキ サーにかけて冷やしたものですが、日本人の口には合いそうもない(?)ような気がしたのは私だけなのでしょうか。
黒クワイ

黒クワイ

 ジュース屋さんで白い団子のようなものが4〜5個ずつ串に刺して売られている光景をよく見かけ、何だろうと思って近づき、札を見ると馬蹄(黒クワイ)と書いてありました。そういえば、料理長から黒クワイは野菜としてもフルーツとしても取り扱うという話を聞いていたことを思い出しました。日本でよく食べられている慈姑(クワイ)はオモダカ科で、黒クワイはカヤツリグサ科に属しています。火を通した後の食感が全く違っていて、方や芋のようにもちっと、方やレンコンのようにサクサクとしているのです。黒クワイは、その黒い皮を剥きそのまま生で食べることも多く、梨のような甘さがあります。始めは繊維が気になりますが、やみつきになる美味しさです。残念ながら、日本では主に缶詰めが輸入されていて、生はなかなか手にはいりません。

 フルーツはデザートに使用するほか、甘辛い味が大好きな香港人は料理にもたくさん使います。龍帯玉梨香(洋梨と帆立貝の重ね揚げ)、万寿果燉魚翅(パパイヤの蒸しスープ)、椰汁焼鴨(ココナッツとアヒルの煮込み)、桜桃明蝦(チェリーと海老の炒めもの)、錦繍玉鴛鴦(フルーツ各種と焼き物の和えもの)、百花醸茘枝(ライチーと海老すり身の蒸しもの)、メロンと鳩の蒸しスープ(メロンと鳩の蒸しスープ)・・・・・・。
  確かに南国の香港ではフルーツは種類が多く美味しい!だから、色々な素材と合わせても負けません。しかし、料理もデザートも美味しいフルーツを使うことが最大のポイントであることを忘れてはなりません。フルーツの美味しさも然り、使い方の多様性、マッチングには頭が下がる思いです。「香港フルーツパラダイス」に敬礼。

  今回、紹介するパイナップルチャーハンも香港で人気のフルーツを組み合わせた料理です。香港では、日本と違って長粒米が食べられています。中でも、絲苗米はブランド米、日本でいうなら、ささにしき、こしひかりといったところでしょうか。蒸したご飯をジャーに入れておき、温かい状態でチャーハンにします。炒めるだけではなく、パイナップルに詰めて更にオーブンで焼くという演出もいいのですが、焼いた時の甘い香りがチャーハンに移り、旨さを倍増させます。
 最後に、中国の方は飲食をただ美味しいもの、お腹を満たしてくれるものと考えているのではなく、常に体に良いものを摂取することを忘れてはいません。我々も本当に安全で美味しい料理を追求し、日本の食文化を守っていき、また、伝えていきたいと思います。
 

このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ パイナップルチャーハン

マンダリン 河(フォー)
人物 河合鉱造
中文之星
人物 福冨 奈津子
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