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連載コラム 和のおいしいことば玉手箱
日本には、昔から言い伝えられてきた「おばあちゃんの知恵袋」のような、食に関する言葉がたくさんあります。これらの言葉は、科学的にもきちんとした根拠があり、道理にかなっているということがほとんどです。ここでは、これらの食に関すること わざや格言などからおいしさを再発見してみます。
瓜(うり)の皮は大名にむかせよ、柿の皮は乞食にむかせよ
瓜(うり)の皮は大名にむかせよ、柿の皮は乞食にむかせよ 瓜(うり)の皮は大名にむかせよ、柿の皮は乞食にむかせよ
解説

「瓜(うり)の皮は大名にむかせよ、柿の皮は乞食にむかせよ」
瓜は皮の近くはおいしくないので厚くむく方がよく、柿は皮に近いほうに甘味があるので薄くむくほうがよい、という意味。
 瓜の仲間には、だれもが知っているきゅうり(胡瓜)、すいか(西瓜)、なんきん(南瓜)などのほか、とうがん(冬瓜)、にがうり、まくわうり、かんぴょうの材料である夕顔、奈良漬の材料になる白うりなど多くの種類があり、いずれも夏の代表的な食べ物である。中でも、古くは「まくわうり」を特に瓜と呼んでいた。瓜の語源は、よく熟したものが美味しいことから熟実(うるみ)の意味とか、潤(うる)に通じるからとか、口の乾きを潤(うるお)すから生じた言葉だとか言われている。
 今の若い人の中には、まくわうりを知らない人もいるかもしれない。これはメロンのような甘い瓜で、我々が子供のころには夏に欠かせない果物であった。そのころは、現在のようにコンビニや自動販売機もなく、ジュースや清涼飲料水は特別な日にしか口にすることができなかったが、夏になると、すいかやまくわうりが必ず井戸の中に漬けてあったり、氷の冷蔵庫に入れて冷やされてあった。かぶと虫や蝉を採るために山の中を駆けずり回った後は、すいかやまくわうりにむしゃぶりついて、のどの渇きを潤したものである。現在メジャーな「夕張メロン」や「マスクメロン」も、我々には、まくわうりの仲間としか考えられないのである。

 さて、瓜の仲間は夏の食べ物だと言ったが、中には冬でも食べるものがある。例えば、今回の料理に使った冬瓜は、丸のまま保管すると冬まで使えるので冬瓜という名がついたといわれるほど、長期保存が可能な野菜である。また、カンボジアから伝わったという南瓜も、以前「冬至かぼちゃに年を取らせるな」にも記した通り、冬まで保存が出来、貴重な栄養源であった。 冬瓜の原産地は東南アジアで、ジャワ島の平地には現在も自生している。中国には3世紀に伝わり、その後中国から日本へ伝わったとされている。野菜として利用するのは主に日本と中国で、特に中国では様々な料理に用いられている。皮にできるろう質の粉を雪に見立てて冬瓜と呼ぶという説もあるが、この粉が全体に均一についていて、しわがなく、ずっしり重い物を選ぶようにする。いくら保存性がよいとはいえ、切ったものは保存が利かないので、家庭では小さくカットされたものを購入するとよいだろう。 冬瓜はほとんどが水分なので、昔からの民間療法では、身体を冷やし、利尿効果に優れているといわれ、解熱や毒消しにもよいとされてきた。最近では、低カロリーのダイエット食としても注目されている 。

 普通は皮を厚くむき、中の種とわたを取ってから調理するが、夏場の皮があまり硬くないものは、皮の青い色を少し残すように薄くむくと仕上がりが美しい。皮に格子状に切り込みを入れ、色鮮やかに柔らかくゆでるために、塩と重曹を同量ずつ混ぜ合わせて皮にこすりつけ、そのままゆでる。柔らかくなったら水に取り、冷ましてから、水気を切って煮含める。生のまま薄切りにしてゆで、椀物の青みに使うことも多い。独自の味を持たないきわめて淡泊な野菜なので、だし汁に干し海老や鰹節、鶏の皮などを加えて旨味を濃くして煮含めたり、あんかけにしたりする。暑い時期には、今回紹介したように、煮含めてから冷たく冷やすのもよい。また、普通料理に使う冬瓜だが、以前、在タイ大使公邸に出向していた時に、冬瓜を日本酒とシロップで蜜煮にしてメロンリキュールで風味付けし、デザートとしてお出ししたことがある。メロンのコンポートと思われたお客様が多く、意外性が話題になり、おもしろかったと大使夫人にお褒めいただいた。夏の暑い盛りには、このようなデザートも一興だろう。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 冷やし冬瓜

タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
人物 小谷 良孝
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