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連載コラム 百人一首と和菓子
「『古典』と『和菓子』だって?もう、いや!」と逃げ出さないでください。想像とおいしさとちょっぴり恋の世界を味わって頂きたいだけですから。百人一首の和歌を読んで私たちなりに解釈し、イメージを膨らませて作ったのがここにご紹介するお菓子です。和菓子の世界には、和歌や物語を元にして想像力を働かせ、作品に表現するという楽しさや遊びがあるのです。このページを通して、日本の良さを見直して頂けたらうれしく思います。
秋のお菓子寂しさに
寂しさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋のゆふぐれ 良暹法師
寂しさに
お菓子について
今回のお菓子は、「宿を立ち出て」というところから「宿」を中心にイメージして作りました。この歌から、秋の夕暮れにたたずむ山里の「合掌造りの茅ぶき屋根」を思いました。

「合掌造り」と言えば岐阜県 飛騨 白川郷の合掌造りの集落が有名です。1995年12月にユネスコの世界文化遺産に登録されました。なぜ、登録されたのかそのわけは、文化や伝統、歴史もさることながら1番の理由は「結(ゆい)」だそうです。
合掌造りはおよそ80年に1回、屋根の茅を取り替える(屋根ふき)をしなければなりません。これにはたくさんの人手が必要です。村の人達はもちろん、隣村の人、中高校生をはじめ、全国から300〜400人の人達が無償で茅を替えるその日1日だけに集まります。(業者に頼むと3000万円くらいするそうです。)この集まりを「結(ゆい)」といいます。女性は、お茶や食事でもてなします。助け合いによる「屋根ふき」。人と人とのつながり。助け合いを当然のことと思う村の人達。村がひとつになり、絆を確かめ合う「結の心」。村の人達は「茅ぶき屋根は、自分のものであり、みんなのもの」だといいます。IT化が進む近年、人と人を結ぶコミュニケーションが大切だと思います。
練切生地で、合掌造りの家を写実的に表現しました。小豆練切を張り合わせ、「茅ぶき屋根」をイメージしました。練切生地を手で形作るときのポイントは、素早く仕上げることです。手の熱が生地に伝わって乾燥しやすく、いたみが早くなるからです。

豆辞典
70 良暹法師(りょうぜんほうし)
 生まれた年や亡くなった年は分かっていません。1030〜1060年代頃に活躍した人のようです。母親は、藤原実方(ふじわらのさねかた=51番の歌の作者)の家に仕えていた白菊という人だといわれますが、父親は不詳です。経歴ははっきりしませんが、比叡山の僧で歌人として有名でした。貴族の邸で催される歌合せ(うたあわせ=2つのグループに分かれて一首ずつ歌を詠み、どちらが優れているかを判定する遊び)にもよく呼ばれていたようです。京都の大原に隠棲(いんせい=世の中とのつながりを絶ってひっそりと暮らすこと)していたこともあり、この歌はそういった時期に作られたものではないかと考えられます。

 歌の意味は
 寂しさのあまり住まいから出てあたりを眺め渡すと、どこも同じ寂しさに包まれた秋の夕暮れであった。
 世の中の煩わしさから離れるために山里に暮らしているとはいえ、物悲しい秋の夕暮れ、しんと静まり返った家にひとりでいると、いくら世俗を捨てた出家の身であっても、耐え切れないような不安に襲われることもあるのではないでしょうか。そんなとき、こらえられず外に飛び出してみたけれど、家の周囲もまた静寂に包まれた寂しい景色であったというのです。
 秋の夕暮れというのは、どうしてこうも人を悲しくさせるのでしょう。



このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 寂しさに

和菓子職人
人物 今成 宏
辻調の御言持(みことも)ち
人物 重松 麻希
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