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連載コラム 独逸見聞録
これから度々話の舞台となるのはオッフェンブルク(Offenburg)。ドイツの西南部のバーデン・ヴュルテンベルク州でも西の端、ライン河とシュヴァルツヴァルト(黒い森)の中間に位置する街です。この街に在住している辻調グループ校の卒業生(そして元職員)が、独断と偏見(?)を時に交えながら、食文化を中心とした情報をお届けします。
アルコール飲料
分量を示す目盛り(Eichstrich : アイヒシュトリッヒ)

  ドイツの飲食店では、品書き(Speisekarte:シュパイゼカルテ)に、飲み物の価格だけでなく、その分量も明記されている。ビン(Flasche:フラッシェ)ではなく、グラス(Glas:グラス)単位でサービスする際には、アイヒシュトリッヒ(Eichstrich)と呼ばれる目盛りの付いた容器の使用が義務付けられている。ワインやジュースなどは勿論、ビールの液体と泡の境界もこのラインを超えていなければならない。


アルコール飲料(Alkoholische Getränke : アルコホーリッシェ・ゲトレンケ)

  今回は、飲食店で提供される飲み物の中から、ビールやワイン、蒸留酒など「アルコール飲料」について紹介する。


◆ビール(Bier : ビーァ)

  ビールの原材料は、1516年に制定された「ビール純粋令(Reinheitsgebot:ラインハイツゲボート)」という法律によって厳しく定められている。
ビールの液体と泡の境界は、
アイヒシュトリッヒよりも上

ビールの液体と泡の境界は、
アイヒシュトリッヒよりも上


それによると水、ホップ、大麦のモルトの使用だけが認められている。勿論、その昔は知られていなかっただけで、酵母無しにアルコールを語ることができないのは当然なのだが・・。後に例外として認められているのは、ヴァイスビーァ(Weißbier)もしくはヴァイツェンビーァ(Weizenbier)と呼ばれるビールを造るための小麦のモルトだけである。
  同じ原材料を使っても、地方や醸造所(ドイツ全土には約1300あるとか)によってかなり個性が出てくる。ビールの種類に合わせて、それぞれ形や大きさの違うグラスがある。
  カフェやレストランに置いてあるのはその土地のビールで、店の看板や日除けのためのパラソルに製造元の名前が入っている。
ピルスナー(Pilsner) ピルスナーという種類のビールをグラスで注文すると、水滴が垂れるのを防ぐために、薄い紙(ビール醸造所の広告付き)が、グラスの足の部分に添えられている。この紙の正式名称は、Pilsdeckchen(ピルスデックヒェン)という。

ピルスナー(Pilsner)
ピルスナーという種類のビールをグラスで注文すると、水滴が垂れるのを防ぐために、薄い紙(ビール醸造所の広告付き)が、グラスの足の部分に添えられている。この紙の正式名称は、Pilsdeckchen(ピルスデックヒェン)という。

ビンで出てくる場合もあるが、大抵は樽(Fass:ファス)と繋がっているコック(Zapfhahn:ツァップフハーン)から、グラスやジョッキに注がれる。
  他の飲み物と同時に注文しても、ビールが運ばれてくるのは最後である。少しずつ注ぎ足しては待ち、また更に泡を盛り上げる様に注ぐために、時間が掛かるからである。この際必ず、アイヒシュトリッヒ(Eichstrich)という目盛りの付いたグラスを使用する。品書きにも、0,3リットルや0,5リットルなどと分量が表示してあり、「大・中ジョッキ」の様な曖昧な表現はしない。そしてビールの泡は、必ずこの線を越えていなければならない。ドイツにはこれをコントロールする役所がある。
ビールの注ぎ口
手前のグラスはラートラー(Radler)

ビールの注ぎ口
手前のグラスはラートラー(Radler)


  ビールをレモネード(Limonade:リモナーデ)で割ったラートラー(Radler)は、北部ではアルスターヴァッサー(Alsterwasser)とも呼ばれる。因みにアルスターとは港町ハンブルクの湖の名前である。喉の渇きを潤す低アルコールの清涼飲料として、特に夏場に注文数が増える。レモネードの替わりに、ミネラルウォーター(Mineralwasser:ミネラルヴァッサー)で割ると、ラートラー・ザウアー(Radler sauer)となる。
  コーラで割ったビールはColabier(コーラビーァ)、またその色からDiesel(ディーゼル)と呼ばれる。

◆ワイン(Wein : ヴァイン)

  赤(Rot:ロート)、白(Weiß:ヴァイス)、ロゼ(Rosé:ロゼー もしくは南部で Weißherbst:ヴァイスヘルプスト)の中で、圧倒的に多いのが白ワインで、全体の約85%である。日本に輸入されているドイツワインには甘口が多いが、ブドウの種類や産地、製法によって味は様々である。辛口(trocken:トロッケン)、中辛(halbtrocken:ハルプトロッケン)、やや甘口(mild:ミルト)、甘口(lieblich:リープリッヒ)などがある。
白ワイン(Weiswein)
グラスとヴァインクルーク

白ワイン(Weißwein)
グラスとヴァインクルーク

ヴァインクルークには0,25リットルの「目盛り」

ヴァインクルークには
0,25リットルの「目盛り」


  大衆食堂やカフェでは、そんなに多くの種類を扱っていないので、手頃な値段の物が殆どである。レストランでは、普通の品書きとは別に「ワインリスト(Weinliste:ヴァインリステ)」が用意されていることが多い。勿論ボトルでも注文できるが、オッフェナー・ヴァイン(offener Wein)だと、グラスかピッチャーで供される。250mlのワインを注文する場合は1/4(ein viertel:アイン・フィァテル)、500mlならば1/2(halb:ハルプ)という。一般的に、ドイツでワインを注文する際の最小単位は250mlなので、1/8リットル(125ml)を扱う店は稀である。
  ボトル単位の場合は問題無いが、グラスワインを注文する場合には、ビールと同様に「目盛り」を提示することが義務付けられている。目盛りの入ったグラスに注がれてくる場合(250mlまで)と、普通のワイングラスとピッチャー(Weinkrug:ヴァインクルーク)のセットで運ばれてくる場合がある。このピッチャーはガラスもしくは陶製で、分量を示す目盛りが付いている。
  赤ワインの場合には、テーブルクロスを汚さないように、受け皿やコースターが付いてくる場合もある。
赤ワイン(Rotwein)
ピッチャーの下に受け皿

赤ワイン(Rotwein)
ピッチャーの下に受け皿


  ワインをミネラルウォーターで割ったヴァインショルレ(Weinschorle)も品書きに載っている。手頃な値段でワインを楽しむことが難しい日本では、勿体無くてなかなか実行に移し難いと思うが・・・。白ワインの水割りであれば、ヴァイスヴァインショルレ(Weißweinschorle)、赤ワインの場合はロートヴァインショルレ(Rotweinschorle)と呼ぶ。また、普通の炭酸水で割った物はザウアー(sauer)、レモネードの様に甘味の付いた物はジュース(süß)と分類される。
  ワインの産地であれば、秋の収穫祭の頃に新ワイン(Neuer Wein:ノイヤー・ヴァインもしくは Federweißer:フェーダーヴァイサー)を飲むことができる。これは、ブドウ果汁を発酵させてワインを製造する途中(かなり初期)の段階の飲み物である。少量の炭酸を含み、澄み切ってなくて甘酸っぱい。玉葱とベーコンのパイ(Zwiebelkuchen:ツヴィーベルクーヒェン)との組み合わせが有名である。
  また寒い時期には、グリューヴァイン(Glühwein)という、香辛料入りのホットワインを置いていることもある。多くの場合赤ワインで作られ、クリスマスマーケットやスキー場などでも良く見掛ける。

◆発泡ワイン(Schaumwein : シャウムヴァイン)

ゼクト(Sekt)

ゼクト(Sekt)


  誕生日や記念日、結婚式や大晦日から新年に掛けてのパーティーなど、祝いの席に欠かせないのが発泡ワイン。「Zum Wohl !:ツム・ヴォール(健康を祈って乾杯!)」と囁きながら、静かにグラスを合わせる。
  また食事の際には、食前酒(Aperitif:アペリティーフ)としても好まれる。
  日本では厳格な決まりがないために、その呼称が「発泡ワイン」の総称として使われる場合が多いが、シャンパン(Champagner:シャンパーニャー)と名乗ることができるのは、フランスのシャンパーニュ地方産で、原産地呼称統制の規格に則って製造された発泡ワインのみである。
  ドイツ産のブドウを使用し、ドイツ国内で醸造された発泡ワインはゼクト(Sekt)である。最低でも10%のアルコールを含み、3,5気圧(20℃)以上の炭酸ガスを含有することが規定されている。
  シャウムヴァイン(Schaumwein)は、発泡性のワインの総称でもあるが、品質・等級を表す場合には、最低でも9,5%のアルコール、3気圧以上の炭酸ガスを含有することが条件となっている。
  含有する炭酸が1〜2,5気圧と微炭酸(弱発泡性)の物は、ペーァルヴァイン(Perlwein)と呼ばれる。

◆焼 酎(Schnaps : シュナップス)

食後酒のビンが並ぶ

食後酒のビンが並ぶ


  火酒(かしゅ)とも呼ばれるアルコール分の高い酒で、食後酒(Digestif:ディジェスティフ)として飲まれることが多い(消化を促進すると信じられている)。ドイツ北部では、ビールとシュナップスを同時に注文して、交互に飲む習慣があると聞くが、南部では見掛けたことがない。
  蒸留酒の製法は、主に3種類に分けられる。名前に「Brand:ブラント」と付くのは、ワインなど既に完成したアルコール製品を蒸留した物で、例えばWeinbrand(ヴァインブラント)やCognac(コニャック)など。
シュナップス(Schnaps)

シュナップス(Schnaps)


  同様に「Wasser:ヴァッサー」が付くのは、Maisch(マイシュ)と呼ばれる原汁を発酵させた後に蒸留した物である。代表的なのはサクランボから造るKirschwasser(キルシュヴァッサー)で、黒い森が有名な産地。菓子の香り付けにも利用されている。
  「Geist:ガイスト」というのは、ベリー類など糖分が少なめで発酵に向かないタイプの果物を、アルコール漬けにして芳香成分を移した後に蒸留した物である。代表的なのは、木イチゴから造られるHimbeergeist(ヒムベーアガイスト)やBrombeergeist(ブロムベーアガイスト)など。
  その他に、穀物(Korn:コルン)、菊芋(Topinambur:トピナムプーァ)、ミラベル(Mirabelle:ミラベレ)や数種の果物を合わせた果実酒(Obstler:オプストラー)などがある。その地方独特の物もあり、数え上げると限が無い。
  2cl(20ml)〜3cl(30ml)の専用のグラスに注がれる。種類によって、常温または冷たい状態でサービスされる。

【撮影協力】:
Restaurant Ferdinand (Festhallenstr.16 Offenburg)


コラム担当

Kimiko Kochs
人物 キミコ・コッホス
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