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連載コラム 独逸見聞録
これから度々話の舞台となるのはオッフェンブルク(Offenburg)。ドイツの西南部のバーデン・ヴュルテンベルク州でも西の端、ライン河とシュヴァルツヴァルト(黒い森)の中間に位置する街です。この街に在住している辻調グループ校の卒業生(そして元職員)が、独断と偏見(?)を時に交えながら、食文化を中心とした情報をお届けします。
スーパーマーケット 〜食料品の買い物(其の弐)〜
 今回は、営業時間が長くて、何でも一度に揃う「スーパーマーケット(Supermarkt:ズッパーマルクト)」の様子を紹介します。そのシステムについては、他のヨーロッパの国々との共通部分も少なくないようです。ただし、もう随分前から徹底されている「有料の持ち帰り袋」や、ペットボトルや缶まで対象になっている厳しい「デポジット(Pfand:プファント)制」などからは、ドイツらしさが感じられると思います。

スーパーマーケット(Supermarkt : ズッパーマルクト)

買い物用カート置き場
コインを入れて使用
 スーパーマーケットと一口に言っても、人件費や装飾・展示などのサービスを切り詰めて、その分を価格に反映させている店、高級食材なども扱い、専門店並みのサービスを提供している店など、形態は様々である。
 郊外にある規模の大きなスーパーマーケットには、大抵専用の駐車場がある。駐車場と出入り口の間に買い物用カート(Einkaufswagen:アインカウフスヴァーゲン)の置き場があるので、購入した品物を簡単に車まで運ぶことができる。繋がっている鎖を外すためには、1ユーロのコインを入れなければならない(鞄または財布に、常に1ユーロコインを用意しておくと両替の手間が省ける)。使用後、元の位置に返却して鎖を別のカートと繋ぐとコインは戻ってくる。
 小さな店では、日本と同様に入り口付近に、カゴや店内専用のカートが置いてある。

 店内に入ると、日本のスーパーマーケットとは入り口が違うことに気付く。一方通行なのである。扉は(基本的に)一定方向にしか開かない。防犯のためだろうが驚かされる。俗に言う「冷やかし」はできない。レジの側を通らなければ、店の外に出ることができないからである。この写真の扉は手で開閉することができるが、後戻りできないシステムを採用している店もある。
 入り口の近くには、野菜(Gemuse:ゲミューゼ)や果物(Obst:オプスト)のコーナーがある。日本では、既に包装済みだったり、1個当たりの価格が決まったりしている場合が殆どである。ドイツでは、野菜・果物専用の秤が置いてあり、各自が欲しい品を欲しい分量購入できるシステムを採用している店が多い(野菜や果物の種類によっては、既に包装済みの場合もある)。

野菜・果物専用の秤 野菜や果物の並んでいる直ぐ側に、その名前や品種、産地などが表示された札を見つけることができる。1個当たりの価格が決まっている場合や、包装済みの物を除くと、「秤のボタンの番号」や1kg当たりの値段も記載されている。
 品物によっては、先ず備え付けの薄いビニール袋に詰める(キノコ類のために、紙袋を用意している店もある)。秤(Waage:ヴァーゲ)に乗せてボタンを押すと、種類と重量に合った値札が出てくる。シール状になっているので、直接、またはビニール袋の上に貼り付ける。  
 秤のボタンには、番号の他に名前や簡単なイラストが付いている場合もある。

 店内は基本的にセルフサービス(Selbstbedienung:ゼルプストベディーヌング)である。缶・瓶詰類や調味料などは棚から、乳製品などは冷蔵ケースから選び取る。肉(Fleisch:フライシュ)や魚(Fisch:フィッシュ)、チーズ(Kase:ケーゼ)などの売り場では、専門店と同じような対面販売も行っている。カウンターの前で、店員に欲しい品物と分量を告げると、量り売りにしてくれる。それぞれの売り場で、購入する品をひとつにまとめて、値札をホッチキスで留めてくれるが、支払いは出口手前のレジで一括して行うことになっている。
チーズ(左)と肉やソーセージ(右)の対面販売のカウンター

 ドイツの街中で「飲料用自動販売機」を見かけることは殆どない。ジュースやミネラルウォーター、炭酸飲料やアルコール類は、主にGetrankemarkt(ゲトレンケマルクト)と呼ばれる専門店か、スーパーマーケットで購入される。
 エコロジー先進国のドイツでは、携帯や買い物の際に重くて不便であるにもかかわらず、日本と比べるとビン入り飲料が圧倒的に多い。「デポジット制」のシステムが採用されているので、購入時の価格には、ビンやケース代が預かり金(Pfand:プファント)として上乗せされている。空の容器を返却すると同時に、その分は返金される。2003年1月から施行されている「Dosenpfand:ドーゼンプファント」という法令により、ペットボトルや缶も(飲料の種類によっては)「デポジット」の対象に加えられた。

 空きビンやペットボトルの返却システムは、各スーパーマーケットによって、少しずつ異なる。右下の写真は「空ビン自動回収機」で、規模の大きな店を中心に普及中である。上部の丸い穴には空ビンを1本ずつ、下の四角い投入口にはケースを入れる。内部にベルトコンベアーがあり、コンピューターが確認を終えると奥に流れていくシステム。規格外の場合 には受け付けられず、投入口に戻ってくる。最後にボタンを押すと、ビンとケースの預かり金の合計金額が印刷された紙が出てくる。これをレジで精算する際に渡すと、購入分から差し引いて貰える。特に買い物の必要がない場合は、この用紙と引き換えに返金だけを求めることも可能である 。
 街中にタバコ以外の「自動販売機」は殆ど存在しないのに、「空ビン自動回収機」の普及率が高いというのは、何だか皮肉である。

 預かり金を必要としない調味料やワインなどのガラスビンは、街の中に点在しているリサイクル用の「空ビン回収コンテナ」に、白(無色)・緑・茶の3色に色分けをして投入する。ガラスがコンテナの中でぶつかり合って割れる際にかなりの騒音を出すので、投入可能な時間帯が決められている。このコンテナは、周期的にトラックで回収されて、ガラス製品の再生に利用される。

 精算は、出口手前にあるレジ(Kasse:カッセ)で行う。この手前に、ガムやチョコレートバーの類の棚がある。タバコの販売もこの場所と決まっている(未成年に対するコントロールの意味もあるのだろう)。休止中のレジ(通行禁止)とその周辺
 レジの機械の横には、幅30cmで長さ1m程のベルトコンベアーが付いている。その上に、カートやカゴから商品を移すのは、客の役目である(!!)。次の客が待っている場合は、店のロゴなどの入った専用の棒(三角柱か四角柱)で仕切る。会計の係員はレジの操作と金銭の遣り取りをするだけなので、買い物をした本人が、打ち込み(もしくはバーコード操作)の終わった品物から、持参したカゴや袋に入れるというシステムである。因みに、会計が終わっても袋は(只では)貰えないので、精算前に言わなくてはならない。持ち帰り用の袋は、有料だからである。ドイツでは、買い物袋やカゴを持参するのは『常識』である。

Timm-Zinth Edeka Aktiv-Markt【撮影協力(スーパーマーケット) :
 Timm-Zinth Edeka Aktiv-Markt
 ( Bertha-von-Suttner-Str.4 Offenburg )】


コラム担当

Kimiko Kochs
人物 キミコ・コッホス
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