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連載コラム 独逸見聞録
これから度々話の舞台となるのはオッフェンブルク(Offenburg)。ドイツの西南部のバーデン・ヴュルテンベルク州でも西の端、ライン河とシュヴァルツヴァルト(黒い森)の中間に位置する街です。この街に在住している辻調グループ校の卒業生(そして元職員)が、独断と偏見(?)を時に交えながら、食文化を中心とした情報をお届けします。
肉屋 〜食料品の買い物(其の四)〜
付加価値税 (Mehrwertsteuer : メーァヴェァトシュトイァー)

 日本の消費税に当たるドイツの間接税は、「付加価値税(Mehrwertsteuer:メーァヴェァトシュトイァー)」である。あらゆる品物やサービスの売り上げに対して課されていて、一般消費者に対しては内税表示されている。一部の例外を除いた殆どの食料品、書籍や新聞に課される税率は7%、その他は16%(2007年から19%に税率アップの予定)である。  
  持ち帰りできる食品の税率は7%だが、レストランなどでの飲食には16%課税されている。


ポスター (Plakat : プラカート)

 専門店の店先で見掛ける大型のポスターは、独特の字体で書かれている。これは販売員による手書きで、「特売品(Sonderangebot:ゾンダーアンゲボート)」が変わる度に張り替えられる。
 ドイツでは職人だけではなく、肉屋やパン・菓子屋の販売員も、見習いをしながら職業訓練学校に通い、専門の知識や技術を身に付けることができる(必須という訳ではない)。この学校でポスターの書き方も学ぶ。


肉屋 (Fleischerei / Metzgerei : フライシェライ/メツゲライ)

 地域によって、「肉屋(Fleischerei:フライシェライ)」の呼称は異なる。例えば、北部(Schlachterei:シュラハテライ)や西部・南部(Metzgerei:メツゲライ)など。どの単語も「屠殺・畜殺」という意味があり、食肉製造・販売業を指している。
 精肉(Fleisch:フライシュ)は勿論のこと、ソーセージ(Wurst:ヴルスト)、ハム(Schinken:シンケン)やベーコン(Speck:シュペック)などの肉加工品も多数扱っている。販売の形態は、カウンターを挟んだ「対面販売」で、肉類と肉加工品は別のカウンターに分けられている。
 日本の精肉店と比べると扱っている商品が格段に多く、肉料理に必要な品物は殆ど揃う。例えば、卵やパン粉、香辛料、マスタードやホースラディッシュなどの調味料、インスタントのソースやスープ、パスタやピクルスなどが、店内の棚や冷蔵カウンターの上に並んでいる。
 ドイツの肉屋の守備範囲は本当に広く、「ケータリング(Partyservice:パーティーサーヴィス)」を兼業している店が多い。日本の魚屋が「仕出屋」を兼ねている場合があるのと似ている。

 一般的な精肉の種類は、豚(Schwein:シュヴァイン)、牛(Rind:リント)、仔牛(Kalb:カルプ)、七面鳥(Pute:プーテ)、鶏(Hahnchen:ヘーンヒェン)など。挽肉(Hackfleisch:ハックフライシュ)やレバー(Leber:レーバー)も定番。七面鳥の肉は日本ではあまり馴染みがないが、ドイツでは鶏肉よりも多く消費されている。
「七面鳥の肉は、日本の肉屋では殆ど見掛けない。」と言うと、ドイツ人達は目を丸くして驚く。
 各調理法に合わせて、既にカットされている場合もあるが、大きな塊の肉から、好みの大きさや厚さに切り分けて貰うこともできる。
 少し特殊な肉としては仔羊、猪、鹿、兎、鵞鳥や家鴨などがある。
 精肉のコーナーには、半調理製品や下味付きの肉類も一緒に並んでいる。後は揚げるだけの状態に下準備されたカツレツ、煮込むだけのロールキャベツやオーブンに入れるだけのラザニアなど。

 様々な種類のハムやベーコン、ソーセージが冷蔵カウンターの中に並んでいて、数え上げると本当に限がない。
 その中でも最も種類が多いのが「ソーセージ」で、大きさや形によって呼び名(総称)が変化する。日本で一般的に「ソーセージ」と呼ばれている小型・細めのタイプは「Warstchen:ヴュルストヒェン」。大型・太めで、薄切りにするタイプは「Wurst:ヴルスト」と呼ばれる。
 製法による分類では、生の牛肉や豚肉、脂肪から作られる「Rohwurst:ローヴルスト」、ケーシング充填後に加熱する「Brahwurst:ブリューヴルスト」、火の通った材料を使用する「Kochwurst:コッホヴルスト」の3種に大別される。
ローヴルスト:更に2種類に大別される。「メットヴルスト:Mettwurst」や「テーヴルスト:Teewurst」は塗ることができる軟らかなタイプで、これらはあまり日持ちしない。もうひとつは「ザラーミ:Salami」や「ラントイェガー:Landjager」などで、乾燥・燻煙によって保存食として加工されている。「ダウァーヴルスト:Dauerwurst」とも呼ばれる。
ブリューヴルスト:ソーセージの種(Brat:ブレート)を挽き混ぜる際の温度上昇を防ぐために、氷または氷水が加えられている。「フランクフルター:Frankfurter」や「ヴィーナー:Wiener」は細長いタイプのソーセージで、購入の際の基本単位は2本1組(ein Paar:アイン・パール)である。
 直径10p前後の大型ソーセージの代表は「リオナー:Lyoner」で、ハムやナッツ、野菜を加えた製品もある。通常は100g単位で注文するが、枚数を指定することも可能である。「アウフシュニット:Aufschnitt」と呼ばれる方法で注文すると、幾種類かの中から数枚ずつスライスして取り合わせて貰える。
コッホヴルスト:火の通った材料(肝臓、内臓、舌)から作られ、血やゼリーで固められている。これに属するのは、「レーバーヴルスト:Leberwurst」や「ブルートヴルスト:Blutwurst」、「ジュルツ:Salz」などである。


 「ハム」は、生ハム(Rohschinken:ローシンケン)とクックドハム(Kochschinken:コッホシンケン)に大別される。黒い森地方では、強く燻煙を効かせた生ハムの「シュヴァルツヴェルダー・シンケン:Schwarzwalder Schinken」が有名である。
 ドイツの「ベーコン」は赤黒く引き締まったタイプが主流である。

 小さな村や街には、チーズ(Kase:ケーゼ)だけを扱う専門店は殆どない。スーパーマーケットや、週に何度か開かれる市場でも購入可能だが、肉屋でもチーズの計り売りを行っている場合が多い。

  雄牛の唇のサラダ(Ochsenmaulsalat:オクセンマウルザラート)やソーセージのサラダ(Wurstsalat:ヴルストザラート)の他、ジャガイモ、パスタなど数種のサラダも計り売りされている。既に小さな容器に詰められている場合もある。

 この他、調理済みのハンバーグや鶏腿肉のグリルなどが、午前中の休憩や昼食時間に合わせて、温かい状態で提供されている。勿論、サンドイッチの注文も可能である。パンの種類は少ないが、好みのハムやソーセージを選ぶことができる。

 冷蔵カウンター内の品揃えは、季節によって若干変化する。春から秋のバーベキュー(Grill:グリル)のシーズンには、焼きソーセージやステーキの類、夏にはソーセージのサラダ用としてリオナーの細切りの需要が増える。秋から春先までは、ザウワークラウト(Sauerkraut:ザウァークラウト)を使った煮込み料理、またはオイルフォンデュ(alfondue:エールフォンデュ)の材料の割合が増える。

 小さな子供連れで買い物をしている場合、大人が「このソーセージを100gと・・。」などと注文している側で待っている子供達が、ソーセージの切れ端を齧っていることがある。未だ歯が生え揃っていない様な小さな子供も、ソーセージを片手にニッコリと微笑んでいる。これは肉屋で良く見掛ける光景で、店からの小さなプレゼントである。

Metzgerei Burg【撮影協力(肉屋):Metzgerei Burg
(Hauptstr.27 Offenburg) 】


コラム担当

Kimiko Kochs
人物 キミコ・コッホス
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