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連載コラム 独逸見聞録
これから度々話の舞台となるのはオッフェンブルク(Offenburg)。ドイツの西南部のバーデン・ヴュルテンベルク州でも西の端、ライン河とシュヴァルツヴァルト(黒い森)の中間に位置する街です。この街に在住している辻調グループ校の卒業生(そして元職員)が、独断と偏見(?)を時に交えながら、食文化を中心とした情報をお届けします。
ワイン祭り<50周年記念> 〜ワイン(特別篇)〜
   昨年このコラムで紹介した「オルテナウァー・ヴァインフェスト(Ortenauer Weinfest)」が、今年で50周年を迎えた。
    9月26日(金)から29日(月)までの4日間の開催期間中、この季節にしては珍しく晴天が続いたこともあって、例年以上の人出となった。地元の新聞の報告によると、このワイン祭りを訪れた延べ人数は約60000人と推測され、記録を更新したそうである。
    今回は、日曜日の午後に催された「50周年記念パレード」を中心に、2008年のワイン祭りについて紹介する。

★オルテナウァー・ヴァインプリンツェシン
(Ortenauer Weinprinzessin)


左から2番目の女性が、オルテナウ地区の新ワインプリンセスのKatja Bohnert、彼女の前任者は右端のVeronika Kohler。

左から2番目の女性がオルテナウ地区の
新ワインプリンセスのKatja Bohnert、
彼女の前任者は
右端のVeronika Kohler。

   今年も、ワイン祭り初日の夕方、オルテナウ地区代表のワインプリンセス(Ortenauer Weinprinzessin:オルテナウァー・ヴァインプリンツェシン)の戴冠式が行われた。
   バーデン地方のワインの女王(Badische Weinkönigin:バーディッシェ・ヴァインケーニギン)から王冠を受けた新プリンセスは、ワイン醸造家の娘で、現在はワイン醸造の修行中(18歳)。将来は、ワイン用のブドウの栽培について専攻するつもりだという。

★50周年を迎えたワイン祭り(50. Ortenauer Weinfest)

   今年参加したワイン業者は、昨年を上回る26社で、品種や等級、味のタイプ、収穫年などの異なる200種類以上のワインがこの祭りのために用意された。勿論、「新ワイン(Neuer Wein:ノイヤー・ヴァイン)」や「玉葱のパイ(Zwiebelkuchen:ツヴィーベルク−ヒェン)」も欠かせない。
   ステージも3箇所に増設され、オッフェンブルク周辺の楽団やバンドなど21団体の演奏が、場所や時間帯などによって上手く組み合わされていた。そのため、様々な世代の期待に応えることができたと高く評価された。
   今回は50周年ということで、特大の「誕生日ケーキ(Geburtstagstorte:ゲブーァツタークストルテ)」を販売してその売り上げを寄付したり、大きな「ワイン樽の口開け(Fassanstich:ファスアンシュティッヒ)」などのワインに関する競技を行ったりと、沢山の特別企画がプログラムに盛り込まれた。

★フェストウムツーク(Festumzug)

   50周年記念行事の中でも特に注目されたのが、「ワイン(Wein)」をテーマとした大規模な祝賀パレード(Festumzug)である。日曜日の午後に催されたこともあって、年配の人達や、小さな子供を連れた家族も多く見掛けられた。
   このパレードに参加・協力したのは、ワイン醸造業家(Winzer:ヴィンツァー)やワイン醸造共同組合(Winzergenossenschaft:ヴィンツァーゲノッセンシャフト)、オッフェンブルク周辺の多くの楽団、過去から現在までのワインプリンセスやワインの女王など、合わせて約50の団体である。


 

   ワイン業者の山車は、醸造家の家族や従業員が、その地域のワインの女王やプリンセスと共に、ワイン一般、または自社製品の宣伝をしている場合が多いが、ブドウの栽培や収穫、醸造過程の作業に関する実演もあり、とても興味深い。
   例えば、ブドウの支柱(Rebstecken:レープシュテッケン)には、腐り難い栗の樹(Kastanienbaum:カスターニエンバウム)を使用するので、それを程好い太さや長さに揃える。収穫したブドウの圧搾や、昔ながらの手作業でコルクの栓をする作業などの実演もあった。また、所謂「制服」という訳では無いのだが、青い作業服の着用が目立っていた。


左:栗の樹をブドウ支柱に加工   右:収穫したブドウの圧搾作業

左:栗の樹をブドウ支柱に加工

 

右:収穫したブドウの圧搾作業


   左の写真は、ブドウを収穫する際に、運搬用として使用される背負い籠(または桶)である。
   以前は、柳で編んだものや木製が主流だったが、現在では、亜鉛板やプラスチック製の容器が多い。下部に比べて上部が広がっていて、30〜40kgのブドウを入れられる容積がある。これを背負って傾斜の急なブドウ畑の昇り降りをするのは重労働である。
   この籠は、地方によってButte(ブッテ)、Bütte(ビュッテ)、Hotte(ホッテ)、Legel(レーゲル)やLogel(ローゲル)などの異名を持つ。


   左の男性が手にしているのは、b器(Steingut:シュタイングート)製のワインピッチャー(Weinkrug:ヴァインクルーク)。
   パレードの集団から遅れながら、沿道の観客にサービスして回っている。但し、既にグラスを持っている人だけの特権である。
   このグラスに注がれている白濁した液体は、新ワイン(Neuer Wein:ノイァー・ヴァイン)であるが、白ワインや赤ワイン、ブドウの房(Weintraube:ヴァイントラウベ)を配っているグループもあった。



 

   多くの山車は、「ブルドック(Bulldog)」と呼ばれる小型トラクターに牽引されている。地元のワインプリンセスや女王を乗せ、ブドウの房や葉で飾った山車が多いが、季節柄「秋(Herbst)」や「収穫祭(Erntedankfest)」などをテーマにしたものもある。

 

   こちらはリンゴのワイン(Apfelwein:アプフェルヴァイン)の初代女王。このワイン祭りでは初登場だったためだろうか。

 

   ライン河沿いにワイン醸造の文化が広まった歴史は、古代ローマ時代に遡ることから、ローマ神話の神や、当時の皇帝に扮しているグループも多く登場した。
   酒神バッカス(Bacchus:バッフス)に扮しているのは、地元新聞の記者である。


   オッフェンブルクのツヴィンガーパークという公園にあるギリシャ神話の酒の神:ディオニュソス(Dionysos)の像を真似た張子もパレードに参加した。
   屈強な(?)男性達が4人掛りで担いでいるのは、沢山のブドウの房を集め、繋ぎ合わせて造った巨大なブドウの房である。
   高さ150cm前後、重さ約300kgで、房の一番下の部分には、車輪が取り付けられている。それでも、市内を練り歩くのは、非常に大変だったのではないかと思われる。



 

   クラッシックカーに乗って、パレードの最後に登場したのは、現在のヴァインケーニギンとヴァインプリンツェシン達(写真左)と、半世紀以上前(!)に選ばれたバーデン地方のヴァインプリンツェシン(写真右)。

 

コラム担当

Kimiko Kochs
人物 キミコ・コッホス
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