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連載コラム 独逸見聞録
これから度々話の舞台となるのはオッフェンブルク(Offenburg)。ドイツの西南部のバーデン・ヴュルテンベルク州でも西の端、ライン河とシュヴァルツヴァルト(黒い森)の中間に位置する街です。この街に在住している辻調グループ校の卒業生(そして元職員)が、独断と偏見(?)を時に交えながら、食文化を中心とした情報をお届けします。
ワインの等級と産地 〜ワイン(其の壱)〜

   ドイツの主なワインの産地は、ライン河(Rhein)を中心に、その支流のモーゼル(Mosel)やネッカー(Necker)、マイン(Main)の周辺に広がっている。また、旧東ドイツ地区のエルベ河(Elbe)流域のザクセンやザーレ・ウンストルートも栽培地域に指定されている。
   今回は、細かく定められているワインの等級分類について紹介する。


★ワインの種類
(Unterschiedliche Weinarten : ウンターシートリッヒェ・ヴァインアーテン)

   ブドウの種類と製造方法によって、4種類に分類することができる。

◆ヴァイスヴァイン(Weißwein)
   淡色の果皮のブドウを原料とし、発酵には果汁のみを使用。ドイツワインの大半を占めるのがこの白ワイン。

◆ロートヴァイン(Rotwein)
   主として黒ブドウや赤ブドウを原料とし、果実を丸ごとアルコール発酵させる。この発酵の過程で、果皮に含まれる色素やタンニンが抽出される。
赤ワインの代表格シュペートブルグンダー  

赤ワインの代表格
シュペートブルグンダー
(Spätburgunder)


◆ロゼーヴァイン(Roséwein)
   赤ワイン用のブドウを破砕した後、直ぐに搾った果汁から造られた、赤みを帯びた淡い色調のロゼワイン。
   ヴァイスヘルプスト(Weißherbst)は、単一の赤ワイン用のブドウを使用し、皮を取り除いて色を付けずに圧搾作業を行ったロゼワイン。上級ワイン以上の品質のワインのみ、この呼称を使用できる。複数の品種を混ぜることは禁じられている。

◆ロートリンク(Rotling)
   赤ワイン用ブドウと白ワイン用ブドウを混合圧搾して造ったワイン。
   シラーヴァイン(Schillerwein)は、ロートリンクの一種で、ヴュルテンベルク地域の上級ワイン以上のクラスに属する。
   また、バーディッシュ・ロートゴールド(Badisch Rotgold)もロートリンクの一種で、バーデン地域の上級ワイン以上のクラス。グラウブルグンダー(Grauburgunder)とシュペートブルグンダー(Spätburgunder)を使用する。


★品質等級(Güteklassen : ギューテクラッセン)
   ドイツワインはその品質によって、大きく4つのグループに分類されている。

◆ドイチャー・タ−フェルヴァイン(Deutscher Tafelwein)
   主に地元で消費される日常用のテーブルワイン。ドイツ国内で栽培されたブドウのみを使用する。他国と比較すると、このランクのワインの生産量は少ない。補糖によってアルコール度数を上げることが許されている。

◆ドイチャー・ラントヴァイン(Deutscher Landwein)
   上記のタ−フェルヴァインよりも良質の、地域特性の高いワインで、必ず辛口(trocken:トロッケン)か半辛口(halbtrocken:ハルプトロッケン)に仕上げられる。ドイツ国内にはラントヴァインの指定栽培地域が19箇所あり、ラベルに何処の土地のどの種類のブドウを使用したのかを記載する義務がある。補糖が許可されている。
日当たりの良い斜面を利用したブドウ畑。右手前は車道。
  収穫前のブドウ畑(8月中旬)

日当たりの良い斜面を利用したブドウ畑。
右手前は車道。

 

収穫前のブドウ畑
(8月中旬)


◆クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムタ−・アンバウゲビーテ
(Qualitätswein bestimmter Anbaugebiete)
   生産地限定上級ワイン。単にQualitätswein、またはQ.b.A.(クー・ベー・アー)と略称でも呼ばれる。ドイツで一番生産量が多いのはこのクラスに分類されるワインで、必ず指定された13の栽培地域の中の、ひとつの地域内で収穫されたブドウだけを使用して造られる。ラベルには収穫年、指定地域名、公認検査番号、生産者名、Q.b.Aの表示が必ず入れられる。補糖が許されるのはこのクラスまで。

*補糖について
   天候に恵まれずブドウの糖度が充分に上がらなかった時に、果汁の糖度の不足を補い、ワインのアルコール度数を上げるために用いられる。但し、アルコール度数が最低基準に達するための量しか認められていない。


上記の13の特定栽培地域:
アール(Ahr)、バーデン(Baden)、フランケン(Franken)、ヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstraße)、ミッテルライン(Mittelrhein)、モーゼル(Mosel)、ナーエ(Nahe)、プファルツ(Pfalz)、ラインガウ(Rheingau)、ラインヘッセン(Rheinhessen)、ザーレ・ウンストルート(Saale−Unstrut)、ザクセン(Sachsen)、ヴュルテンベルク(Württemberg)

「プファルツ」は1993年までラインプファルツ(Rheinpfalz)、「モーゼル」は2006年までモーゼル=ザール=ルーヴァー(Mosel−Saar-Ruwer)と呼ばれていた。

緑色の部分が指定されたワイン栽培地域

緑色の部分が指定されたワイン栽培地域


◆クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート(Qualitätswein mit Prädikat)
   生産地限定格付上級ワイン。単にPrädikatswein、または略称のQ.m.P.(クー・エム・ペー)とも呼ばれる。13箇所の指定栽培地域を更に細かな区画に分け、そのひと区画から収穫されたブドウのみを使用。ブドウの品種の特性や熟成度、調和、完成度などの点において、厳しい基準の元で検査が行われる。ラベルにはQ.m.P.の表示とプレディカート(肩書き)が明記される。補糖は一切禁止されている。

   収穫時のブドウの糖度によって、更に6段階にグループ分けされている。

カビネット(Kabinett)
   充分に熟したブドウから造られたもの(通常の収穫時期)。良質の軽い口当たりのワイン。食中酒向き。
ヴァイスブルグンダーの表側のラベルに記載された等級はカビネットで、味は辛口。   裏側のラベルに記載されているのは、収穫年、指定地域名、公認検査番号、生産者名など様々な情報。

ヴァイスブルグンダー
(Weißburgunder)の
表側のラベルに記載された等級は
カビネット(Kabinett)で、
味は辛口(Trocken)。

 

裏側のラベルに記載されているのは、
収穫年、指定地域名、公認検査番号、
生産者名など様々な情報。


シュペートレーゼ(Spätlese)
   完熟したブドウを使った遅摘みワイン(カビネットの収穫よりも1週間程度遅め)。食中酒向き。

アウスレーゼ(Auslese)
   完熟したブドウの房を選別し、手摘みして造るワイン。未熟、損傷など質の劣る粒は、収穫時に全て取り除かれる。

ベーレンアウスレーゼ(Beerenauslese)
   過熟、または貴腐菌が付いたブドウの粒を一粒ずつ選りすぐって収穫する。長期貯蔵・熟成が可能である(十年以上)。食後酒向き。

アイスヴァイン(Eiswein)
   ベーレンアウスレーゼと同程度に熟したブドウを、畑の中で氷結(マイナス7度以下)するのを待って摘果し、凍ったまま搾汁して造ったワイン。食後酒向き。
貴重なアイスヴァインは、知人から土産として貰ったものでプファルツ産。   アルコール度数はかなり低めの8%vol.

貴重なアイスヴァインは、知人から
土産として貰ったものでプファルツ産。

 

アルコール度数は
かなり低めの8%vol.


トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)
   超過熟し、貴腐菌が付いた「干しブドウ」状の果粒を一粒ずつ選んで摘む。長期貯蔵・熟成が可能である(数十年の単位)。食後酒向き。

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   2000年から上質辛口ワインの品質等級の標章に「クラシック」と「セレクション」が導入され、ラベルに記載されることになった。ワインの品質(生産地域、葡萄糖度・品種、収穫方法)などについても詳細な規定がある。

「クラッシック(CLASSIC)」
   伝統的で、その地域特有のブドウ品種から造られ、特別に規定されたドイツ全国統一の品質基準を満たした良質の辛口ワイン。しっかりした味わいを持ち、香りに富む。地域名、村名、畑名はラベルに記載されない。

「セレクション(SELECTION)」
   ドイツの最高級辛口ワインの呼称。13の生産地域の指定された単一畑で、指定されたブドウ品種を、収穫量を抑制して、手摘みして醸造される高品質なワインのみが名乗ることを許される。ワインを充分に熟成させるため、収穫年の翌年の9月1日以降に瓶詰することが定められている。ラベルには単一畑名が記載される。


 

コラム担当

Kimiko Kochs
人物 キミコ・コッホス
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