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連載コラム Food風土エスパーニャ
ここ数年、世界のグルメたちが注目しているスペインの食事情。進化するヌエバ・コシーナ・エスパニョラ(新スペイン料理)、スペインワインのイメージを一新するボデガ(ワイナリー)、変容するタパス(ピンチョス)と、話題には事欠かない。先頭を切るのは若い世代のニューリーダーたち。しかし、器は変わってもそこにはいつもスペインのエスプリが潜んでいる。いまやフランスやイタリアにまで強い影響を及ぼし始めたスペイン料理、その今を取り上げる。レシピでは、筆者がおすすめするスペインの代表的な家庭料理を紹介。
ピンチョス
串PINCHOに刺されたピンチョス スペイン料理やスペインワイン人気とともに、日本でもブレイクしているピンチョスPINTXOS(またはPINCHOS)。バルBAR(居酒屋)で出されるおつまみのようなものです。「ピンチョス」はバスク地方だけの呼び名で、他ではこういったつまみ類は「タパスTAPAS」と呼ばれています。タパスは、もともとバルでつまみを食べるのに、パンの切れ端にのっけて食べられていたものが、飲み物のグラスの上に蓋をするように置かれたことから、タパ(スペイン語で「蓋」の意味)と名付けられたもの。 一方、ピンチョスの「ピンチョ」は串を意味し、パンの上にのせて串を刺す(串で刺せるものを材料にする)のが特徴です。今回は、前回紹介した3つ星レストラン「アルサック」のある町サン・セバスチャンの、もうひとつの楽しみ、ピンチョスについてお話しましょう。

天井からぶら下がるハモン・セラーノ ピンチョスで有名なサン・セバスチャンの旧市街には、ピンチョス・スクエアとでも表現するのでしょうか、数百メートル四方に100軒近いバルがひしめき合っています。バルの営業時間は昼12時頃から3時頃まで、夜は6時頃から11時くらい。レストランとかなり違います(レストランは昼14時頃から夜は21時頃からお客が入ります)。これはつまり、スペイン人のバルの使い方、バルの位置付けを表しています。バルはあくまでも食事の前に立ち寄るところで、ここでお腹を一杯にすることではないようです。帰宅の途中、食事をする前に小腹を満たすのがバルです。ただ私のようなよそ者のなかには、バルをハシゴしてこれを食事とする人たちも見かけます。


ワイン(チャコーリ)を注ぐ店員  さて、実際にバルに入ってみましょう。一番混みあう夕刻の6時頃に行くと、カウンターの前にはすでに3重ほどの人垣が出来ています。店によっては通りまで客が溢れています。人垣を掻き分けてやっとカウンターの前までたどり着き、いざ注文。しかし、スペイン語がわからない者にはここからが大変です。目の前に並んだピンチョスは指をさして注文できるのですが、黒板に書かれたものは読めないし、しゃべれない。飲み物のほうも、ビールやワインのスペイン語は覚えたものの、ビールは何と100mlからのサイズが選べるのです(ワインも同様)。こうなるとジェスチャーしか手はありません。身振り手振りでやっとの思いで飲み物と食べ物を手にしても、今度は食べる場所が見つかりません。結局店の外の路上で食べることとなりました。

チョリソソーセージのピンチョス 食べ終わると支払いをするわけですが、これがまた難関。再びカウンターまでたどり着き、「いくらですか」と聞くと、「何を食べた?」と聞かれるのです!とりあえず食べたものを指差してみますが、自分でも何を注文したのか定かでなく、飲み物も受け取ったグラスが大か中か小か解らないまま。何とかかんとか支払いを済ませましたが、「これじゃいくらでも食い逃げされるのでは」と要らぬ心配をしてしまいました。

カウンター下に散らばるゴミ  初めて訪れたときは気が付きませんでしたが、あちこち回っているうちに、お店によって得意料理があることがわかりました。看板や店内の黒板に、「スペシャリテはキノコ」などと書いてあります。内臓や、唐辛子などの野菜類を注文してからその場で焼いてくれる店もありました。またキッチンのあるバルと、何処かから出来合いの料理を運んできて並べるだけの店などのスタイルがあることもわかりました。 《流行っているお店ほど床が汚い》。これも何軒か回っているうちに気がついたことです。バルではピンチョスの串や、オリーブの種、紙ナプキンは全てその場の床に捨てるのです。だから、混雑しているお店ほど、床にはあらゆるものが散乱しています。勿論閉店前にはきれいに掃除されます。

うなぎの稚魚  ピンチョスは、肉、野菜、魚介、珍味とあらゆるものを使っています。なかでも、季節にもよりますが、うなぎの稚魚(アンギュラス)、鱈の喉の身(ココチャス)、スペインのソーセージ(チョリゾー)、スペインオムレツ(トルティーヤ)等は必ず食べてみたいものです。ある時、偶然にトルティーヤの出来立てを食べました。普通は適当な大きさに切って大きなお皿の上に並べてあるので、冷たい状態が多いのです。この時はタイミングが良かったのでしょう。新しいものと差し替えているところに出くわしたのです。トルティーヤがあんなにフワフワ、ホクホクで美味しいものとは思いませんでした。

トルティーヤ(スペイン風オムレツ)  食材に関しては、地域的に魚介が多かったり、特産のハムやソーセージが主を占めていたりいろいろですが、ピンチョスは必ずパンの上にのせて食べます。文章だけだとカナッペのようなものだと思われるかもしれませんが、その豪快さと、温かいものが多いこと、そしてパンの大きさが違います。普通の料理のポーションが小さくなり、盛り皿がパンにかわったもの。それがピンチョス。チャコーリ(バスク地方の白ワイン)やセルヴェッサ(ビール)と一緒に食べると、いかにもバスクを感じさせてくれます。

アルサックがお薦めするサン・セバスチャンのピンチョスのお店
Bar Astelena :
Plaza de la Constitucin Tel:943 426275(ピンチョス全般)
Bar Gambara :
C/San Jernimo 21 Tel:943 422575 (海老のピンチョス)
Bar la Via :
C/31 de Agosto 3 Tel:943 427495(子羊とチーズの揚げ物)
La Cuchara de San Telmo :
C/31 de Agosto,28 Trasera Tel:943 420840(新しいピンチョス)
Txepetxa :
C/Pescadera 5 Tel:943 422227 (アンチョヴィー)
Bar Martinez :
C/31 de Agosto 9Tel943 424965 (冷たいピンチョス)
Bar Alo Berri :
C/Bermingham24 Tel:943 290818(ピンチョス全般)
Bar Bergara :
C/General Arteche 8 Tel:943 275026 (鱈のうさぎ仕立て)


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ ピンチョス

辻調グループ校 西洋料理教授
人物 肥田 順
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