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連載コラム 半歩プロの西洋料理
「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
マイ・ハーブ・ライフ
 初めてハーブというものに出会ったのは、辻調の学生時代のことでした。当時、ハーブといえば乾燥のものばかりで、「何かにおいのする枯葉の砕いたもの」は、好きとか嫌いとかではなく、レシピに書いてあるから使わなければならないというだけのものでした。

 フランス料理を志し、料理人として歩み始めると、実に様々なハーブが身近になっていきました。出し汁や煮込み料理に欠かせないブーケ・ガルニには「ローリエ」、「パセリ」、「タイム」を束ねて使いますし、かわいらしい形と穏やかな香りで料理の仕上げを彩る「セルフィーユ」、甘い香りが魚料理やタルタルソースを引き立てる「エストラゴン」、デザートには「ミント」(…ってガムの種類だと思っていました。本当)など。

 イタリア料理が広まるにつれて爽やかな香りの「バジル」、ピッツァに欠かせない「オレガノ」、個性的な強い香りで肉料理を引き立てる「セージ」、「ローズマリー」など、今ではお馴染みとなったハーブもまだまだプロの世界だけで使われていました。自分で手に取るようになって、高校生のころテープが磨り減るまで聞いた、サイモン&ガーファンクルの『スカボロ・フェア』の一節で歌われているのはこれなんだなと改めて感心したりもしました。

シブレットの花

タイムの花

<辻調グループ フランス校の庭園にて撮影>


 やがて本場フランスでの研修、生活を通してハーブというものが実に様々な使われ方をすることを知ります。まずハーブそのものの香りが非常に強いこと、パセリなどは典型的でしたし、料理には目が丸くなるほど大量に使うのも驚きでした。朝市には料理用のフレッシュハーブやハーブティー用に葉を丸ごと乾燥させたものが並び、スーパーマーケットには様々な種類、あるいはブレンドされたハーブティーのティーバッグが売られています。ハーブは薬局での取り扱いがあることから体に良い成分もあるようですし、多くは香水の原料となっています。日本でも見かけるようになった「香り」を売りにする商品を集めた専門店もありました。そして、今まで知らなかったハーブにもたくさん出会いました。

 突然ですが、「冬」、「ワイルド」、「レモン」に共通する言葉といえば? 答えはタイム。ハーブには同じ名前でも色々な種類があることを知ると共に、まるでレモンのような香りのするものがあることに興味を惹かれました。レモンの香りを持つものを総称して「シトロネル」と言うそうですが、レモンタイムのほかには何があるのか調べてみると、タイ料理などでおなじみとなった「レモングラス」、柑橘を使ったお菓子に使われる「レモンバーム」、そして、病み付きになる「ヴェルヴェーヌ」にたどり着きました。和名を香水木(コウスイボク/クマツヅラ科)というヴェルヴェーヌは非常に香りが強く、消化促進やリラックス効果があるようです。料理に用いられることは一般的でなく、フレッシュ、乾燥共にハーブティーで楽しまれています。

冬を堪え忍ぶレモンタイム

<自宅前にて撮影>


 さて日本に戻りますとヴェルヴェーヌが恋しくてたまりません。乾燥やティーバッグのストックはあるものの、フレッシュの香りが思い出されてなりません。これは自分で栽培するしかないなと思ってはみても、肝心の種や苗がありません。噂話をたよりに遠方まで足を運んだこともありましたが見つかりません。あきらめかけていたころ、世にハーブ&ガーデニングブームという追い風が巻き起こったのでした。レモンバーベナと書かれたそれは、近所の園芸店であっさりと見つかったのです。5cm程のその苗とハーブの土を買い込んでいそいそと帰り、鉢に土を入れ、そっと苗を植え替えてやります。あとはひたすら大きくなるのを待つのみです。

 しかしながら、子供のころ、買ってもらったプラモデルはその日のうちに組み立てないと気が済まず、完成目前に部品が折れると同時に気持ちも折れるという行動を繰り返したこの性格。3鉢のうち1鉢が枯れた時点で少々不安になり、栽培のノウハウなどを調べてみます。「比較的乾燥には強い」→水のやりすぎに注意、「寒さには弱い」→ウルトラセブンと同じ・・・ではなく、冬場は家の中に入れてやる必要があるな、「鉢いっぱいに根が張ったら、大きい鉢に替えてやる」、ふむふむ。

 実は植え替えには苦い経験があります。以前、種から育てたラベンダーが奇跡の成長を遂げました。非常に香りがよく、それをドライフラワーにしたものが我が家の玄関を芳香で満たしていたのですが、植え替えの失敗で枯らしてしまったのです。そんなご主人様の不安をよそに、残りの2鉢はすくすくと成長し、5年目を迎えました。その記念というわけではないのですが、大胆なチャレンジをしてしまいました。鉢の大きさが限界であったという言い訳のもと、昨秋、玄関脇を占拠していたミントを駆逐し、露地植えしたのです。春を感じる日々、枝だけの姿になっているヴェルヴェーヌにむかって、「これは冬枯れだ、冬枯れだ」と言い聞かせています。果たして結果はいかに?

冬枯れ?ヴェルヴェーヌ

<自宅前にて3月中旬撮影>





このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ アサリとトマトのスープ

なにわの電脳調理師
人物 高岡 和也
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