辻調グループ

コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
辻調グループ 最新情報はこちらから
Column&Recipe
コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
西洋料理TOPへ半歩プロの西洋料理 コラム一覧へ
連載コラム 半歩プロの西洋料理
「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
一挙両得
なぜ、ポトフは一挙両得なのか?それは、一度作ったら二度おいしい料理だからです。ポトフからは2皿の料理ができます。一つは滋味深い味わいのスープ。本場フランスでは、このスープに、煮る時に出た脂を薄く切ったバゲットに塗ってトーストして添えたり、スープだけを単独で提供する場合は、左は普通の塩、右はフランスのフルール・ド・セル浮き実(野菜や麺類など)を添えたりします。もう一つは野菜をつけ合わせた肉料理になります。このゆでた肉には粗塩、マスタード、ピクルス、ソース・レフォール(西洋わさびと生クリームを合わせたソース)などが添えられたりします。
薬味にはフルール・ド・セル(塩の花という意味)という最初に塩田の表面に結晶化する塩が、高値ですがお勧めです。この塩の甘みが肉や野菜の味をぐっと引き立ててくれます。

ポトフの古典的な作り方では、牛肉か、場合によっては家禽(鶏など)が使われますが、フランスの一部の地方では子牛、豚、さらには子羊などを使うことがあり、冬になれば、星付きのレストランでも様々な高級食肉を使った「ポトフ仕立て」の料理をよく見かけます。料理そのものは家庭料理ということもあるせいか、不思議なものですが、ビストロとかブラッスリーではあまり見られません。
フランスでポトフを注文する場合、ひとつ気をつけなければならないことがあります。メニューを見ても、「ポトフpot-au-feu」という名前だけでは探せないかもしれないからです。店によっては、「プティット・マルミットpetite marmite」か、材料を限定した場合は、「ポテpotee」(主に豚肉とキャベツを使用)とか「プ・ロ・ポpoule au pot」(メインが鶏に限定される)などの名前で出ているので注意が必要です。

豚の解体を見守る筆者私自身がポトフにかかせないと思っている材料に、豚肉の加工品(ベーコン、ソーセージなど)があります。あの表面の燻した香りは、スープにアクセントをつけます。あとは牛肉の自家製加工品です。これが今回紹介するポトフの大きなポイントとなります(内容はレシピで確認ください)。このような加工肉の使い方は、フランスで研修していた店で教わりました。その店は先代がシャルキュトゥリ(豚肉加工品店)だったらしく、店の地下にはその工場と保管庫が残っており、今でも年に5〜6回はそこで豚をと畜し、全ての部位を捨てることなくソーセージ、ベーコンなどに加工しており、運のいいことに、私もその場に立ち会えました。作りたてのブーダン・ノワール(豚の血で作ったソーセージ)の味は今でも忘れられません。

話が飛びましたが、これまではフランスのお話。ここからは現実的な話をしていきます。日本で、冬に体が温まり、鍋、とくれば、このポトフに匹敵する料理はやはり「おでん」でしょう。ただ、おでんをまともに作ろうと思ったら結構大変だと思いませんか?まずは出しを引くことから始め、具材は一つ一つを別に下準備し、最後にやっと一つの鍋に全ての材料を合わせて煮るからこそ、あの旨さがかもし出せるのです。今回のポトフの作業量の少なさといったら、このおでんとは比べものになりません。簡単すぎてびっくりされるかもしれません。

なにはともあれ、鍋一つでできるというお手軽さ。しかもキッチンを汚さずに、おいしく、本格的なフランスの味をだせるとあれば、調理人と主婦という2足のわらじをはく私としては、ポトフのある食卓「時には、ちょっとおしゃれな料理を作りたい」と思っている世間の奥様方にぜひお勧めしたい一品です。このお手軽鍋料理にバゲットとチーズ、赤ワインがあれば、寒い夜の演出はばっちりです。
メインとスープができちゃう「一挙両得」。この料理について考えれば考えるほど、手軽で無駄のないあまりの完成度の高さに感心してしまいます。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ ポトフ

気合の入った主婦
人物 瀬口 勤子
このページのTOPへ
 
辻調グループ校 Copyright(C) 2003 TSUJI Group