No11. 洋梨

 梨というと二十世紀、豊水、幸水など、日本梨を思い浮かべる方が多いと思います。私などは長十郎を懐かしく思います。日本梨にもたくさんの種類があり、それぞれ甘さ、歯触り、果汁の多さ(みずみずしさ)などを競っています。

 ところで、数年前からだんだんと馴染みがでてきた洋梨(西洋梨)、これを本当にうまく食しておられる方はどれ位いらっしゃるのでしょうか。この洋梨、樹では熟さない為追熟が必要で、食べ頃が非常に難しい果物です。追熟とは、収穫した後一定期間熟成させることをいいます。この追熟がうまくいかないと、せっかくの洋梨もおいしく頂くことができないのです。

 熟成は、洋梨だけでなく肉や魚などさまざまな食物の味に関わる重要事項です。いろんな材料の熟成について考えてみると、ひょっとしたら価値観が変わるかもしれません。

 さて洋梨の話ですが、かつては蜜豆の缶詰の中に入っているあまりおいしいとは言えない(私だけ?)果物。元の姿形なんてあまり気にもしなかったように思います。ところが最近徐々に市民権を得て、スーパーなどでもよく見かけるようになりました。

 ラ・フランスル・レクチエバートレットなどさまざまな品種が作られるようになり、保存技術の向上とともに、夏から春先までと1年の半分以上の期間食べることができるようになりました。

 中でもラ・フランスという名をよく見かけると思います。なにか洋梨の代名詞のようになってきた品種です。いかにも「フランスの果物」というネーミングです。ところがどっこい、このラ・フランス、フランスでは現在作られていないそうなのです。確かに元の木はフランスから来たそうなのですが、日本、特に山形県と相性ピッタリということで現在に至っているようです。

 追熟がうまくいったラ・フランスはその独特の香りといい、緻密な肉質からくる歯触り・舌触りといい、最高です。でも最初に食べた時、運悪くうまく熟成していないものに当たってしまった方の中には、もう二度と食べたくないと思った人もいるかもしれません。というのも、このラ・フランスは見た目で熟れ具合を判断しにくい品種だからです。わかりやすく言えば、柿は熟れれば赤くなり、みかんは黄色くなるのと同様、バートレットやル・レクチエは黄色く色づくのに対して、ラ・フランスは変わらないのです。逆に、色が変わり始めた頃には腐り始めているという扱いにくい果物なのです。

 でも懲りずにもう一度チャレンジしてみてください。最近では産地出荷の時点で追熟がほぼ完了している場合が多いので、ハズレは少なくなって来ています。産地では、約1ヶ月の時間をかけて熟成を行っているそうです。

 フグは当たると怖いけれど、ラ・フランスは当たればうまい。