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連載コラム 百人一首と和菓子
「『古典』と『和菓子』だって?もう、いや!」と逃げ出さないでください。想像とおいしさとちょっぴり恋の世界を味わって頂きたいだけですから。百人一首の和歌を読んで私たちなりに解釈し、イメージを膨らませて作ったのがここにご紹介するお菓子です。和菓子の世界には、和歌や物語を元にして想像力を働かせ、作品に表現するという楽しさや遊びがあるのです。このページを通して、日本の良さを見直して頂けたらうれしく思います。
秋のお菓子紅葉の谷
千早振る 神世もきかず 龍田川 から紅に 水くくるとは 在原業平
紅葉の谷
お菓子について
私達の住む日本の自然の景観は、「春の桜 初夏の新緑 秋の紅葉 冬の雪」に代表されるでしょう。
「秋の紅葉」は、山野にある草木が、いっせいに美しさを競うように色彩が豊かで、まさに「錦秋」と言う言葉そのものです。
名所も多く、数えたらきりがありません。例えば、京都の嵐山や東福寺の通天橋から眺められる紅葉は最高です。
歌の中に出てくる「龍田川」も紅葉の名所で、奈良県の北西部生駒山地の東側を南流して大和川に注ぐ川です。近鉄生駒線に「竜田川」という駅があります。近くに神社や古墳そして法隆寺もあり、自然に恵まれた所です。
私も2年間ほど、奈良県の生駒郡に住んでいたことがあり、秋になるとよく自転車で竜田川に「紅葉狩り」に出かけました。
赤く染まる紅葉の姿は、刻々と表情をかえ、素晴しいものがありました。

今回は菓銘を「紅葉の谷(もみじのたに)」と付けました。
紅葉狩りの風景を思い出し、写実的に表現しました。
小倉羊羹の小豆を「石や岩」に見立て、錦玉羹を、ゆるやかに流れる「竜田川」とし、オレンジと黄色に染めた羊羹きんとんは「夕暮れに照り輝く紅葉」を表現しています。
小倉羊羹の小豆の風味を生かし、求肥のもちもちっとするやわらかさをアクセントに仕上げて見ました。

豆辞典
17 在原業平
天長2(825)年〜元慶4(880)年。父方のおじいさんは平城天皇、母方のおじいさんは桓武天皇です。平安朝きっての美男子。学問(漢文)や政治的なことに関してはいま一つだったようですが、和歌の才能は傑出していました。この才能を遺憾なく発揮して、情熱的な和歌をたくさん残しています。特に、恋の歌が上手でした。うわさになった女性も数多く、後の時代には3733人もの人と恋に落ちたという伝説もできたほど。これはかなり疑わしいですが、歌物語といわれる『伊勢物語』が業平の歌を中心としてできていて、いろいろな恋物語がちりばめられていることと、実際に、業平には恋人がたくさんいたということからできた伝説でしょう。
おもしろい恋のエピソードがたくさんあるのですが、ここでは紹介しきれません。気になる方は、どうぞ古典をお読みあそばせ。さまざまな恋の形、駆け引きを垣間見る(こっそりとのぞき見る)ことができます。

さて、和歌の方ですが、これは恋の歌ではありません。
龍田川に散り浮かんだ紅葉の美しさを詠い上げたものです。

さまざまな不思議なできごとがあったという尊い神代の昔にだって聞いたことがない。紅葉が龍田川に散って、その光景が、まるで水を真っ赤に絞り染めにしたようになってしまうなどということは。
「韓紅(からくれなゐ)」とは、紅(くれない)の濃い色、鮮やかな紅色のことです。秋が深まったころの光景でしょう。この歌はもう一通り解釈ができます。「くくる(=絞る)」を「絞り染め」ではなく、「くくる(=潜る)」ととるのです。すると、
さまざまな不思議なできごとがあったという尊い神代の昔にだって聞いたことがない。龍田川が散り浮かんだ紅葉で濃い紅色に染まり、その美しい紅葉をそのままにしておきたいので、川の水が下を潜って流れていくということは。
倒置法になっていますから、2句目で区切って前後を入れ替えて読むと、意味がはっきりしてきます。



このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 紅葉の谷

和菓子職人
人物 今成 宏
辻調の御言持(みことも)ち
人物 重松 麻希
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