No.2 さけ

 初回からとんでもなくややこしいものを取り上げてしまったと後悔しつつ、能書きを始めます。

「さけ」の仲間は「ます」と呼ばれるものを含めて非常に多く、その種類の多さ故に理解し難い魚です。(白ざけ紅ざけ大西洋さけキングサーモン銀ざけサクラマスイトウイワナアマゴカラフトマスニジマス等々)

 日本では、「さけ」といえば「しろざけ」のことを指します。ところがどっこい、最近は各国からの輸入ものが幅をきかし、特に養殖ものを中心に年中「生」(冷凍や塩漬けしていない)のさけが出回っています。

 さて、「さけ」は秋の季語です。そして、あきあじ(秋味)というしろざけの地方名からもわかるとおり、昔からさけの旬は秋とされています。ただ、産まれ故郷の日本の川に産卵のため戻ってくるしろざけは、ちょっと油断しているうちに産卵準備を着々と進めていきます。この準備が始まってしまうと、身の味がどんどん落ちて行き、とても味の面では旬とは呼べません。

 ですから、国産の「さけ」が北海道で水揚げされたというニュースを見かけたら、「ああ、もう秋だ」とつぶやきながら早めにいただきましょう。水揚げ場所が東北地方へと時間とともに南下していくので、日本の国土が南北に細長いことに感謝しつつしばらくは楽しめます。

ただ、体(皮)の色が銀色から婚姻色へと変化しているものは、産卵準備が進んでいる証拠ですから避けるようにしましょう。

 一方、しろざけには「ときしらず」という呼び名があります。これも地方名ですが、「あきあじ」が産卵の為に生まれ故郷の日本の川に戻ってくるのとは違い、オホーツク沿岸の川で産まれたしろざけが故郷に産卵に戻る途中、日本近海に回遊してくるものを漁獲したものです。そしてその時期は夏(6〜8月)で、中でも8月ごろのものが最も脂がのっておいしいようです。

この「ときしらず」の方が「あきあじ」よりも美味だと評価する人も多いようですので、ご自分で比較して見て下さい。

 それから余談ですが、こわ〜い寄生虫の話です。「アニサキス」という寄生虫がいます。この寄生虫はサバ、カツオ、スケトウダラなどにも寄生しているのですが、これらの魚では主に内臓に寄生します。ところが、サケの仲間では内臓より筋肉の方に多く寄生します。すなわち、生で(刺身で)食べると生きた寄生虫もいっしょに食べたことになります。

 この寄生虫は魚の食べるエサ(エビなど)に起因しますので、養殖のサケにはほとんど見られません。ですので、最近はサーモンの刺身が食されるようになったのです。この辺を理解しないで、養殖ではない天然のサケを刺身で食べたりすると・・・。

 ちなみに、この寄生虫はマイナス20℃以下で12時間置くと死滅します。これを生活の知恵として生かした食べ物が北海道のルイベです。