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料理のチカラプロジェクト

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首脳夕食会の料理紹介/テーマは「サスティナビリティーとガストロノミーの融合」

G20 大阪サミット

2019.07.01

 「サスティナビリティーとガストロノミーの融合」をテーマに、豊かな自然の中で育まれた豊富な日本の食産物に、現代的な調理技法を加えることによって、異文化の中でも受容できるように料理を変換し、世界の賓客にお楽しみいただける「世界基準の日本料理」を提供いたしました。


 様々な国の方に食事を楽しんでいただくため、各人の食文化、嗜好性、アレルギーなどに配慮して、ハラール、ビーガン、グルテンフリーなど 7 通りのコース料理を用意しました。そして、それらに対応するため、調理場には移動調理施設を増設し、調理工程を分けて提供するなど、まさに「多様性への対応」を実現した料理提供となりました。


【1皿目】
~夏の到来~
焼きトウモロコシのフラン

甲殻類のジュレ 紫蘇の葉





過ぎ去った名残りの春を感じていただいた「桜酒」から初夏へ日本の夏祭りでは神社の境内には屋台からの焼きとうもろこしの香りが広がります。その初夏の風景を甘味が増してきたとうもろこしを醤油の焦げた香りで引き立て滑らかなフランにし、エビとホタテとネギの甘味を重ねています。日本を代表するハーブ、紫蘇の花を散らせました。


【2皿目】
~はしり~
鱧と泉州水茄子のお椀






初夏から、季節を先取りした、はしりの盛夏へ夏の日本料理を語る上で欠かせない料理。柔らかい大阪の「泉州水茄子」を骨や繊維の存在を全く感じさせない「骨切り」を施した鱧で柔らかく包み、温かいスープ(出汁)と一緒に提供した料理。古くから料理人を介してのみ食することのできる料理として、京都や大阪など関西地方では盛夏の到来を愉しみにさせる料理の1つ。


~手毬~
自然薯とレンコンの餅と色鮮やかな根菜
蔵囲い熟成利尻昆布と野菜のお出汁のお椀





日本には" 精進料理"という食文化があります。植物性の食材のみ使用した料理です。そこには、"うまみ"を活かした日本人の知恵があります。このお椀のお出汁は、昆布のうまみと干し椎茸のうまみ、更にトマトのうまみも加え、動物性の食材を一切使用せずとも満足感のある味に仕上げました。視覚的にも、遊び道具にも美しさを追求した日本人の伝統文化を思い起こす"手毬"を日本の色鮮やかな根菜類で再現しました。


【3皿目】
~風土~
鮟鱇の香煎揚げ
温野菜 生野菜の胡麻だれ和え





「天ぷら」「串揚げ」は、古くから東京や大阪で外食産業の発展とともに進化した料理の1つです。日本の多様な自然から産み出される多様な食材、季節の移ろいを楽しめる料理です。その揚げるという調理技法を用いて、夏から禁漁時期に入る名残りの食材「あんこう」を味わって頂きます。淡泊で良質な身の「あんこう」に「龍吟オリジナルのたれ」をまとわせて、から揚げにし、その味わいを爽やかな柑橘の香りで引き立てた料理です。


~夏祭り~
賀茂茄子の夏祭り仕立て
味噌と紫蘇の香り





日本人にとっての「祭り」とは、神様(自然)と人間との世界に橋をかける儀式との考え方があります。宗教的な感覚よりも、習慣として神様(自然)の存在を意識することで、人々は安心します。キラキラと艶やかな神輿が街を練り歩く... 「祭り」の風景。夏祭の華やかさをそのままお料理に。この時期にしか採れない賀茂茄子が主役。清々しく香る紫蘇の花が咲きほこります。水菓子のように涼しげに見えるけれど、実は熱々の料理に仕上げました。


【4皿目】
~ 森の風景~

但馬牛の竹炭包み 若笹の香り
二色の麹発酵ソース 太閤ごぼう
十六穀米と舞茸の炊き込みご飯 花山椒の香り




里山から採取した山野草とともに、日本の"里山の風景"を再現し、メインの一皿に仕上げました。生産者によって十分に健康管理された" 但馬牛 "。霜降りの肉の脂が注目されがちですが、肉本来の味を楽しんで頂くために赤身の部分であるランプ肉を選びました。調理法は香ばしい香りとしっとりと赤身の肉に火を入れるために、表面だけを焼き、それを初夏の若い笹の葉で包み、さらに粗塩と小麦粉、竹炭で作った生地で密封してオーブンでゆっくりと熱を伝えます。牛肉に若笹のほのかな青々しい香りと粗塩と竹炭から香ばしく優しい塩味が移っています。視覚的にも楽しんでいただきやすいように、一年以上かけてゆっくりと育てた太閤ごぼうを使い、森の太い木の幹に見立てました。ゴボウの中に舞茸と油揚げの炊き込みご飯を射込み、さらに米麹で発酵させた赤シソ風味と木の芽風味の2種類のソースも添えました。



~ 森の風景~
ビーツの炭火焼き
太閤ごぼうと舞茸の炊き込みご飯とともに





人と森のつながりにおいて重要な炭。その炭でじっくり焼き上げたビーツを主食材に使用。視覚的にも楽しんでいただきやすいように、一年以上かけてゆっくりと育てた太閤ごぼうを使い、森の太い木の幹に見立てました。ゴボウの中に茸と油揚げの炊き込みご飯を射込み、さらに米麹で発酵させた赤シソ風味と木の芽風味の2種類のソースも添えました。



【デザート】
~日本の夏の贈り物~
白桃






日本が世界に誇れる夏の代表的な白桃をメインのデザートに使用。フレッシュな白く美しい白桃を薄くスライスし、ドーム状に組み立て、その美しい姿を再構築します。相性の良い香りとともに白桃を最も堪能できる形で仕上げました。


【茶菓子】
茶菓子~ 最中三種~








抹茶・小豆・白玉

日本のお茶の代表格である抹茶。相性の良い小豆と白玉の日本らしさを感じる組み合わせです。
苺・ニオイコブシ
山でいちばん最初に春の訪れを知らせるのが、このニオイコブシ。現在では、人が食べることをしなくなった森の恵みです。
マンゴー・パイナップル・パッションフルーツ
もっとも夏を感じるトロピカルフルーツを小さな最中に込めました。


首脳夕食会での料理のほか、6 月 28-29 日に行われた会議中のコーヒーブレイクではハイアットリージェンシー大阪と共に、3 種類の和菓子と12 種類の洋菓子を用意しました。特に、和菓子はビーガンにも対応をしており、枯山水を表現したプレートに"日本の伝統菓子"として、紅白や初夏のカエデをイメージした和三盆のうち物と、抹茶と柚子の餡玉を提供しました。