No.3 ねぎ

 気温が下がってあったかい食べ物がほしくなる季節です。定番ですが鍋物なんかに目が行きがちな今日この頃。そこで、鍋物には欠かせない「ねぎ」に焦点を当ててみたいと思います。

 最近温暖化を危ぶむ声が大きくなり、京都で国際会議が開催されたりしています。野菜にとっても大きな影響のでる問題で、特に伝統野菜は自然と協調しながら、時には戦いながら受け継がれてきました。それ故のおいしさが現在の人々にアピールされ、注目されています。

 さて、ねぎは葉の部分を利用する葉ねぎと、土を寄せることにより白根を長く作り主にその部分を食する根深ねぎに大別されます。そして、それらは一年を通じて日本のどこかで作られ出回っています。

 ところが、根深ねぎの中に少数派ではありますが白根も葉も利用するタイプのものがあります(下仁田ねぎなど)。また、京都の伝統野菜の中には関西の葉ねぎのルーツともいえる九条ねぎがあります。

 これらのねぎは白根も葉も利用するため、葉が軟らかくなければいけません。その軟らかさと霜は切っても切れない関係なのだそうです。秋に蒔かれたねぎが1年以上の歳月の後、冬の訪れとともに霜に出会い、最後の自然からの洗礼を受けて我々の元に届けられます。

 これだけ自然との関わりの深く長い作物は、ハウスで作られるものとは違い、「旬」を感じさせてくれます。難しいことはともかくとして、霜に2度、3度と出会ったねぎは軟らかさと甘味を増して出荷されるのです。

 話は変わって、ねぎと一言でいっても種類はたくさん。交通機関が発達し、日本が狭くなったとはいっても、この食材には季節感とともに地域性がよく出ます。かつては、おおざっぱに言って西日本は葉ねぎ、東日本は根深ねぎ、とねぎの種類は東と西では異なっていました。

 これは、「土が堅ければ土寄せの作業が大変なので葉ねぎを作る」とか、「雪が深ければその寒さに強い根深ねぎを作る」などの、気候や土壌に適した作物を作るという極々当たり前の理由によるようです。

 たとえば、西日本ではふぐで有名な下関や福岡ではこうとうねぎが、鳥取では冷や奴にかれぎが、京都では九条ねぎがというように葉ねぎが使われてきました。一方東日本では、千住ねぎに代表される根深ねぎ(白ねぎ)が主に白根を中心に食されてきました。また、ちょうど中間に当たる愛知県には、葉も白根も共に利用する越津ねぎがあります。

 最近でこそ西日本でも根深ねぎが、東日本でも小ねぎ(葉ねぎ)の利用が増加しているとはいえ、まだまだ地域性は生きていると言えるのではないでしょうか。