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第3課 パンの製法(2) 発酵種法/第4課 食事パン(2) 発酵種法を使って

通信教育講座受講レポート

宮本さんの受講日記 フードジャーナリスト、料理研究家 宮本さやか製パン技術講座


製パン技術講座を体験中の宮本さやかです。イタリアのトリノに暮らしていますが、辻製菓専門学校にいるかのような中身の濃い授業が受けられること、教材がとてもわかりやすくて楽しく続けられることに惹かれて、数年前に日本料理の講座を履修したことから始まり、次に製菓、今回の製パンと通信にはまっています! フードジャーナリストという仕事をする私にとって、たくさんの料理人や業界のプロの方達を取材する時に、ここで得る専門的な知識はとても役に立ちます。そして在住日本人の奥様方にイタリア料理を、イタリア人に日本料理を教える仕事もしていますが、その時にもここで得た専門知識が頭の中にあることで、自信を持って仕事ができています。

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今回のテーマは...

第3課 パンの製法2 発酵種法


第4課 食事パン2 発酵種法を使って

 第1課、2課のストレート法は、文字通りストレートに全部の材料を混ぜ、発酵させ、焼くだけだった。私のように仕事を持ち、かつお母さんでもある人間でも、「あ! 今日は天気もいいし(あまり関係ない?)、時間もあるから、パンを焼こう!」と朝起きた時点で決めることができる。

 だが第3課ではいきなり発酵種法である。一部の材料を混ぜ合わせこね、12時間以上発酵させて熟成した発酵種を、残りの材料と合わせて生地を完成させる方法だ。前の日に作ったパンの生地の一部を使ってもいいということだが、まだプロになっていない私たちは(いつかなれる日が来るのか?)毎日パンを焼くわけではないので、発酵種を前の日に仕込むことになる。つまり、パンを作るぞ! 第3課をやるぞ! と思ったら吉日、ではなくて、前もって予定を立てて作り始めないといけないのだ。いきあたりばったりに、発酵種を作り始めておいて、翌日は朝から取材で外出だった! なんてことではだめなのである。

製パン しかしDVDを見ていると、先生は「発酵種の発酵時間は12時間と長いですが、寝ている間に生地は勝手に働いてくれます。それで実際の作業(本生地の発酵時間)は短縮できます」とおっしゃる。なーるほど。計画さえたてられれば、あとは寝ている間に大事な発酵作業の一部が片付き、楽ができるというわけだ。怠け者の私にもぴったりである。怠け者でない方にとっても実働時間の短縮ができ、他の仕事や他のパン作りに短縮した時間を当てられて、いいことづくめなのだ。

 というわけで、ある日の夕食後、発酵種の仕込みにとりかかった。フランス粉は前回と同様、硬質小麦8、軟質小麦2の割合で混ぜたものを代用。ドライイーストは普段使っているオーガニックのものを使ったのが、これがなぜだか、40度の水に溶いて20分置いても、ちっともブクブク予備発酵して来ない。うーん、困った。先生の話ではこうならないものは酵母が死んでいる等、状態がよくないものということだが、先週もこのドライイーストでパンは発酵していた(しかし使い方をよく読んでいなかった私は、このドライイーストを水に戻さないままパン生地に直接ミックスしていた!)。もしかしてオーガニックなので、ちょっと普通と様子が違うのだろうか。

 しかたがないので、ぬるま湯に溶けただけのイーストを生地に混ぜ合わせ、作業を進める。60分30度で発酵させた種は、大きなボウルに入れ、ラップで覆って冷蔵庫へ。そして私はおやすみなさい。

 翌朝起きてみると、ヒンヤリと冷えてはいるが、ふっくらと美しく膨らんだ発酵種が冷蔵庫で静かに私を待っていた。朝ご飯を済ませたら、さっそく作業開始である。今回のパンに使用するライ麦もクルミも吸水量が多いので、最初の時点ではかなりベタベタと手につく感じで混ぜなさいとのこと。それが発酵したり、作業するうちに粉が水を吸ってまとまったきれいな生地なるのだそうだ。
なーるほど、私の自家製パンも全粒粉や亜麻の実等を入れた素朴系ナチュラル系パンなのだが、よく水を入れすぎて生地がグニョグニョになってしまうことがある。そんな時、高速にしてグルグル回していると生地が落ち着いて来ることがあるのは、そういうわけだったのね(乱暴なパン作りでごめんなさい、先生!)。

製パン残りの材料と一緒にこね上げ、発酵が終わり、分割作業に入る。100gずつスケッパーで切り分ける作業は、生地のプニョプニョした手触りがとても可愛い♥ 家庭レベルではパン作りが女性に人気なのがわかる気がした。それが一転してプロの仕事となると、朝は早いは、力はいるはで、大変な仕事になってしまうのだが。

 そして難関の「丸め作業」である。第1回目の前回は、丸めすぎてはいけない、でも形が整わないのもいけないと焦っていたのもあるが、先生のようには全然いかず苦労した。先生が手をクルクルクルっと回すとあっという間にきれいに丸まっていくのに、私のはいびつに固まっていた。が、今回は少しましみたいだ。ふむふむ、回を重ねるごとに進歩するなんて、なんて素敵なんだろう! でも左手はやっぱり少しぎこちなく、空滑りすることも多い。そんなに器用さを要求する動きのようではないのに、やっぱり微妙な手首の返しとか回転具合とかの違いが、右手と左手にあるのだろうか。左手だけに一つ持って、ゆっくり回しながら練習してみたりする。そうすると少し感じがつかめたのか、その後は比較的上手く行った。

 製パンプニョプニョとやわらかく丸まった赤ちゃん達は、布の上に並べられておねんね、いや、ベンチタイムである。そして成形。バンバン、と伸ばしてきゅっ、きゅっと折り畳んで行く作業は比較的簡単だ。前回同様クープはきれいに切れないので、そっとそっと丁寧に、何度も切り込みを入れながら、今回はクープを深目に切ってみた。

 我が家のオーブンにはスチームがないので、ボウルに水を張ったものを入れ、焼成作業に入る。家庭用のサイズだから大量に焼くこともできないので、レシピの半量で作った生地を、さらに2回に分けて焼くことに。製パン
1回目を焼いている20分の間に残りの生地の発酵が進みすぎないか気が気ではないのだが、2回分とも焼き上がりはなかなかきれいに、美味しそうに仕上がった。食べてみると柔らかく、ライ麦の香りがよく、とてもおいしい。

 クープの盛り上がりだけが、今回もやっぱり今ひとつ満足がいかない。でも三角形の方は、折り目がクープ代わりだから先生と同じよう(?)に割れ目が盛り上がってなかなかかっこいい仕上がりだ。ナイフで切れ目を入れるクープのほうも、修了までにはなんとかなるようにしたいなあ。まだまだ先は長い、じっくり練習しましょう!

 

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