辻調理師専門学校 辻製菓専門学校 通信教育部 ブログ

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製菓受講日記 ⑪ 冷菓

今回のテーマは・・・ 

第17課 冷菓   




簡単そうで奥の深い「クレーム・ランヴェルセ・オ・カラメル」  

前回、「もっと心安らかにお菓子作りを楽しめないものか!」と嘆き、苦しんだ報いは意外とすぐに、やってきた。第17課はオーブンも使わないし、発酵しなくていいし、ふくらまなくていい、冷菓である。ずいぶん気が楽だ。思えばこの「製菓技術講座」も終盤戦。だからといって、全ての技術を習得したかというと全然そんなことはなく、いつまでも先生に手取り足取り教えていただきたい気もするのだが、とにかく一応受講修了に近づき、感無量。

というわけで、冷菓である。ゼラチンの性質、使い方、卵の熱凝固性など化学のお勉強っぽいことはたくさんあって、頭の方はそれなりに疲れるのだが、実習の方は「カスタードプリン」「バヴァロワ」「ムース」という、すでに慣れ親しんだお菓子ばかりなので、復習するような気持ちで、ゆったりと、しあわせに臨むことができる。


しかし、「カスタードプリン」というと家庭の手作り、お母さんのおやつといったイメージがあるが、私が挑むのは「クレーム・ランヴェルセ・オ・カラメル」である。細部にいろいろな技を散りばめながら作る立派なフレンチデザートなので、油断は禁物だ。


まずはカラメルの作り方からして、全然違う。水を加えずに、砂糖だけを、少しずつ溶かして焦がしていくカラメル・セックである。砂糖を温めた鍋に入れても、意外なほどに溶けない。ゆっくりゆっくり溶かしていって、全て溶け、砂糖の粒も見えなくなったと思ったら、あっというまに大きな泡がブクブクブク~っとたち、あっという間に濃いカラメル色に。やばい! これ以上焦がしては苦くなってしまう、ええーっと、どうするんだっけ? そうだ、先生は水を張ったボウルに鍋底を浸けていたっけ、こうすることでこれ以上色が進むのを防ぎますとおっしゃっていたな! と焦りながらも冷静な判断を下した私は、流しに用意しておいたボウルに鍋をジュッ。ホッ、いやいや、まだ安心してはいられない。この熱々のカラメルに水を加えるのだった。はねて火傷したりしないように、先生は粉ふるいなどを上にかぶせ、その上から水を少しずつ入れていた。うーん、お菓子作りは科学の実験のようでもあるが、溶接作業のようでもあるのであった。


火傷をすることなく無事カラメルができたので、つぎは温めた牛乳に、卵と砂糖を混ぜたものをあわせてアパレイユを作る。シンプルな作業の中にも、砂糖が溶けやすい様に、牛乳と卵の両方に半々ずつ分けて入れておく、卵は泡立てないようにまぜるなど、より上質でおいしいプリンを作るためのプロの技が隠されている。


プラスチックのプリン型がないので、アルミのプリン型にカラメルを敷いておいたところへアパレイユを入れたら、おやおや、カラメルが完全に固まっていない部分があったのか、いくつかは、ほんのりと表面にカラメルの色が浮いてきてしまった。そう、完全に固まったかを確認せずにアパレイユを流し込んでしまったのだ。がさつな性格はプリン作りにまで影響するのであった! 


我が家のオーブンでは、テキスト通りの170度12分加熱しても、先生が見せてくださったような「中央部分がフルフルとまだ液体状」とはならず、かなり液体状だったので、さらに10分加熱して、その後余熱でいい状態に仕上がったようだ。残念なのは型が浅かったため、お皿に出したとき、カラメルはせっかく美しく流れ広がったのに、プリン自体が低くて不格好だったことだ。



バヴァロアもムースもふわふわ


ヴァニラ風味のバヴァロワなんて、あまりにオーソドックス過ぎてつまらないなあ、でも、お勉強のため、と作ってみると、おーいしい! こんなシンプルなものがこんなにおいしいなんて、やはりレシピがしっかりしていて丁寧に作られた(作ったのは私だが)からに違いない。ベースになるクレーム・アングレーズの作り方がまず、感動的だ。混ぜながら炊いていくのだが、真ん中あたりを適当にぐるぐる混ぜていればいいというものではない。焦げやすい鍋底の角までとどくようにヘラを動かすこと、そしてなにより液体が全体に、常に動いていることが大事なのだ。先生がおっしゃる通り、加熱していくうちにまず大きな泡が消え、次に小さな泡も消えていった。そしていつもなら適当に、トロミがついたかなーですませるところをきちんと温度を確認する。自然なトロミのついたなめらかで美しいクレーム・アングレーズができあがった。


あとはゼラチンを加えたらすぐにボウルの底に氷水を当てて冷やすこと、泡立てた生クリームは3回ぐらいに分けて加えることなどに気をつければ、あっというまに、素敵なバヴァロアのできあがりである。そうそう、ゼラチンは水で戻してから使い、加熱してはいけないという基本的な使い方は知っていたけれど、40度で溶け出すから戻すときは氷水で、とか、水に戻すことで原材料の動物性たんぱく質の臭みがとれる、なんていう話は初耳で、簡単~、と思いながらも収穫はたっぷり。



同じように「ムース・オ・ショコラ」も、特別難しいテクニックは登場しないが、バターはムースを固めること、味にコクを出すという二つの役割があるとか、卵黄は水分と油分を分離させない乳化剤の役割を果たすとか、いろいろと勉強になった。もちろん仕上がりは上々。ただし小さなグラスに盛りつけたほうは様になったようだが、オレンジと一緒に盛りつけた方は、仕事の粗さが各所でバレバレ。特に写真に撮ってみると、オレンジのむき方が今ひとつきれいでないこと、チョコレートのコポーがうまくカールしていないなどなどがはっきり見える。微に入り細に入り徹底した仕事ができるのがプロ、道はまだまだ遠い。しかしくじけている場合ではない。次の課題はアイスクリームだ。アイスクリーマーを買いに行かなくちゃ!









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