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辻調理師専門学校

ブログ

「すごい!これって本当に精進料理?」 ~日本料理だけを学ぶ辻調 ブログ18~

日本料理クリエイティブ経営学科

2023.12.05

2021年4月に日本料理本科(1年制)、日本料理クリエイティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の日本料理学科として開校しました。
この2つの学科では日本料理の会席料理を中心に学びます。


今日は日本料理クリエイティブ経営学科2年生の授業、日本食文化概論Ⅱの中で行われる
「精進料理講習」にクローズアップします。
担当いただくのは大阪、千里山と北新地に店を構える「柏屋」統括料理長の髙橋先生です。

柏屋と言えば大阪で超有名な料亭!
ミシュランガイドでは常に三ツ星店としても知られています。
柏屋のHP紹介 https://jp-kashiwaya.com/

普段柏屋では精進料理を提供されることはありません。
リクエストがあれば応じるとのこと。

今回は柏屋が考える精進料理と題して特別に授業をお願いしました。
実は髙橋先生は辻調の卒業生。
母校の頼みならと気持ちよく引き受けていただきました。
では高橋先生よろしくお願いします!


今日の授業は学生も楽しみにしていました。学生の表情が真剣です!


精進料理は基本的には動物性の食材を使いません。
そのためだし汁も昆布は使うけれど鰹節は使いません。

では何を使ってだしを引くのだろうか? 

鰹節をはじめ鶏ガラ、魚のアラなどを使っただし汁をこれまで学生は活用してきました。
「昆布だしは分かるけどあと大豆、干しシイタケなどかな?」そんな感じでわりとイメージはできますね。
では実際に昆布だし、大豆だし、野菜だしを全員味見します。


オッ大豆だしは香ばしい!
昆布だしは知っているけど磯臭くてあまり好きじゃないね!
野菜だしはうまい
何の野菜を使っているのかな?

先生手(パー)教えてください
「トマトをベースに玉葱、えのき、キャベツ、人参です」
「トマトを加えるとグルタミン酸のうま味が利いて美味しいですよ!」
「今日はこれらのだし汁を使って精進料理を作ります。」


まず一品目は「胡麻豆腐!」
精進料理には欠かせない料理のひとつです。
会席料理でも定番料理ですが
柏屋の胡麻豆腐はひと味違いますよ!



胡麻を十分すりつぶして葛粉と水を合わせて、素早く練り続けます。
その間約20分。
その後、四角い容器に流して冷やし固めますがこの段階でかなり固い感じです。


冷やして30分後にはもう一人前ずつに切り分けて器に盛り付けです。

先生手(パー)完全に冷えていますか?
「実は中心部分は少し温かいです。外は固く中は柔らかくわざと食感の違いを出しています。」
新しい胡麻豆腐の食感かもしれない!
「これを煮切り酒と醤油で割った割醤油で食べてもらいます。」
「もちろん精進料理ですから鰹と昆布のだし汁は使いませんよ。」


「次はこの料理ですが、何かわかりますか?」
これひょっとして鰻の蒲焼ですか?

「鰻は動物性なので使いませんよ。」
どうみても鰻、又は焼き魚にしか見えませんが?

「これは『鰻もどき』と言って豆腐生地をベースに鰻の蒲焼に似せた料理なのです。」
へーおもしろそう。作り方を教えてくださ~い。




まずは水切りした豆腐と牛蒡(ごぼう)、湯葉、擦りおろした蓮根、胡麻ペーストをすり鉢で十分すりつぶします!
つぎに海苔の上に生地を薄く塗ります。
これを油できつね色になるまで揚げます。
ホラ!こんな感じ。


仕上げは甘辛いタレを煮詰めて照り焼き風に表面に絡ませれば完成!
オッ鰻のかば焼きだ!


この学生の表情は「初めて見た料理だけど、鰻の蒲焼だ!美味しそう」
と心の中でつぶやいているのでしょう。
しらんけど


では3品目の紹介「人参すり流し」です!
これは大阪名物「串カツ」ですか? 
違います×× 
まずは作り方から説明しよう。


手前から芹を海苔で巻いて揚げたものです。真ん中は椎茸の表面にアラレをつけて揚げました。
一番奥の丸い奴はゆでた菜の花をみじん切りにして葛粉と一緒に丸めて揚げました。
これに串をさして串揚げのようにしています。


実はこれがメインとなる「人参すり流し」です。
人参は蒸して火を通し昆布だし、松の実を合わせてミキサーにかけるとこうなります。
これに3種類の揚げ物をつけて食べます。全て植物性の食材からできていますよ。


ここで学生から質問です。
動物性の食材を使わずコクとうま味を出すにはどのような食材を代用すればいいかを教えてください。
「この人参のすり流しには松の実が入っています。
ナッツには適度な油分があるためこれが隠し味となりコクとうま味をだしています。
その他、クルミなども使えますよ。」


先生手(パー)、次の料理は写真からは想像がつきません?なんですか
「正体は茸茶碗蒸しです。もちろん卵は使っていませんよ」



作り方はまずマッシュルームの下準備方法を2つに分けます。
一つは薄切りにする。もう一つは油で揚げて香ばしさをつける。




次は2つのマッシュルームを鍋に移して火にかけます。
5分も煮れば水分がでてきてマッシュルームも一回り小さくなります。
後は湯葉と一緒にミキサーにかけてペースト状にします。


先生手(パー)、マッシュルームを使う理由は何ですか?他の茸ではいけませんか?
「マッシュルームを使う理由は好みですが私は穏やかな香りが好きです。
それから他の茸より香が強すぎず使いやすいです。椎茸などでも試作しましたが香りが強烈過ぎました。」



ペースト状になったマッシュルームと湯葉を茶碗蒸しの生地として中具はキクラゲのみ。
あくまでも主役は「マッシュルームの生地」ですよ!
湯葉を混ぜる理由はこのあと蒸しますがマッシュルームの接着材的な役割を果たしてくれます。
器に生地を流して、蒸し器で蒸すこと12分で固まりますよ。


蒸し上がった茸茶碗蒸しの上からとろみをつけた野菜だしをかけて完成!
卵を使わない新しい茶碗蒸しですね。これも精進料理!



その後は「煮物椀、吹雪仕立て」「大根、道明寺湯葉包み乳化仕立て」2品の講義が続きました。
髙橋先生!お疲れ様でした。

先生手(パー)、他にも精進料理の授業はありますか? 
ありますよ。
では他の授業も興味があれば覗いてください。

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~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエイティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。