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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M. Nicolas BONNARD (ニコラ・ボナール氏)

フランス校教壇から

2024.01.15

今回の外来講習はパンの特別授業です。2日間にかけてハンズオン実習を行いました。講師は毎年講習に来ていただいているニコラ・ボナール氏です。

ボナール氏はブルゴーニュ地方の製粉会社NICOT MEUNERIE社で、専属のブーランジェリー講師を務められました。その後、リヨンの旧市街にて「L'EPIAISON(レピエゾン)」のオーナーシェフを長らく務められていました。現在はコーディネーターやパンの講習を行い、技術指導に取り組まれています。 今回は6種類のパンの実習とフランスの各地方のパンの紹介をしていただきました。

まず、実習で作成した6種類のパンを紹介します。


BAGUETTE DE TRADITION FRANCAISE バゲット・ドゥ・トラディッション・フランセーズ

日本でもおなじみのフランスの伝統的なバゲット。材料は小麦粉、塩、イースト、水の4種類のみで作られたとてもシンプルなパンです。単純に混ぜるだけではなく、その中にいくつもポイントがあります。まず、焼く前の生地はとてもソフトで取り扱いが難しく成形の際に無駄に触りすぎないことや切り込みを入れる角度など、細かいところまで指導していただきました。2022年にユネスコ無形文化遺産に登録されるほど、フランスの食文化に欠かせないパンです。


BUN'S バンズ

このパンの特徴は牛乳を使うことでシンプルなパンに乳脂肪分が入り、リッチな味わいと柔らかさをプラスすることが出来ます。ノーマルのバンズとイカ墨を練りこんだ黒いバンズを仕上げました。上にはゴマ、ケシの実、かぼちゃの種をつけました。


PAINS AROMATIQUES パン・アロマティック

アロマティックとは「香り・芳香のある」という意味で、中に様々な具材を入れることでバリエーションを出すことができます。今回はレーズン、乾燥イチジク、クルミやヘーゼルナッツを練りこんで焼き上げました。
焼き上がりは小麦の香りと焼けたレーズンやナッツの香りが漂い、食欲をそそるものでした。


PAIN BEAUJOLAIS パン・ボジョレ

学校があるボジョレ地区の赤ワインを使って練り上げたパンです。ワインを使うことで水よりも発酵する速度は遅くなります。今回は冷蔵庫で一晩寝かせて1次発酵させます。中にはノワゼットとリヨン産のサラミを練りこんで焼き上げています。ロースト用の糸を先端に入れて乾燥ソーセージのような見た目にしています。


PAIN MEULE DE PIERRE SUR LEVAIN パン・ムール・ドゥ・ピエール・シュール・ルヴァン

石臼挽きをした小麦粉を使って焼き上げたパンです。このパンの特徴はルヴァンと呼ばれる発酵種を使用することで酸味と旨味をしっかりと感じることが出来ます。冷蔵庫の中で12時間かけて発酵を行います。そのため小麦粉の香りや甘味、ハード系のパンながら中は柔らかく仕上がります。


SEIGLE AUVERGNAT セーグル・オーベルニャ

ライ麦粉を使って焼き上げたパン。小麦粉とは異なる独特な香りと酸味、グルテンを含まないため歯切れの良い食感などが特徴です。綺麗な模様はオーブンで焼いている間に自然とできた焼き目です。

初めて聞くパン用語でもボナール氏の分かりやすいフランス語で戸惑いなく取り組めている様子でした。また、作業中に質問も多くパンに対する理解を深める機会になったと思います。


パン生地の製造手順や生地の発酵に最適な温度の計算の仕方など、理論的な説明はホワイトボードを使って一から丁寧に教えいただきました。
また、地方のパンの紹介も実際の写真や、布巾で分かりやすく成形の仕方も見せていただきました。

焼きたてを切って香りや生地の状態も確認しました。

ボナール氏と研究生の女子たちで一緒に作ったパンを持って記念撮影!

今まで名前も知らなかった多くのパンの種類や作り方を知る機会となりました。
今後の人生で今日学んだことを活かして、自分たちが作りたい料理に合うパンも考えて欲しいと思います。

そして最後に研究生が作った多くのパンと、シェフを囲んで記念撮影をしました。