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辻調グループ フランス校

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M.Eric PRAS(エリック・プラ)氏 / MAISON LAMELOISE(メゾン・ラムロワーズ)

フランス校教壇から

2024.01.26


今回の調理外来講習に来ていただいたのは、フランス校から車で約2時間の場所にあるブルゴーニュ地方のCHAGNY(シャニー)という町にあるホテルレストラン「MAISON LAMELOISE(メゾン・ラムロワーズ)」より、Eric PRAS(エリック・プラ)氏にお越しいただきました。

メゾン・ラムロワーズは1926年からミシュランの星を得ており、ピエール、ジャン、ジャック・ラムロワーズの3代に渡り営業を続けてきたレストランです。1979年から2004年まで三ツ星を維持し、2007年に三ツ星に返り咲いてから現在も維持しています。
エリック・プラ氏は15歳から料理の業界に入りました。ロアンヌのメゾン・トロワグロ、ブルゴーニュ地方のベルナール・ロワゾー、サンテチエンヌにあった、ピエール・ガニエールなど、数々の三つ星を持つシェフのレストランで修業を積み、2000年にレジス・マルコンに移り、料理長も経験されました。2004年にはフランスの最高技術職人章であるM.O.F.を授章し、2008年からは現在も勤務されているメゾン・ラムロワーズで総料理長をされています。また、2011年のボキューズ・ドールではフランス代表のオフィシャルコーチも務めるほどの実績あるシェフです。

今回の講習では2品作成していただきました。

Saint-Jacques, crêpe à la farine de sarrasin soufflée de Saint-Jacques Beurre monté au Crémant de Bourgogne & bergamote

1品目はホタテを使った温かい前菜です。
まずメインのホタテは3種類の調理法で仕上げます。
1つ目は表面を澄ましバターでポワレして半生で仕上げます。
2つ目はミキサーでしっかりと混ぜて生クリームと卵白、卵黄を加え、ムースにして詰め物とします。
3つ目はヒモを乾燥させてパウダーにし、飾りに使います。
ムースを詰める生地はそば粉を使ったクレープです。クレープ生地のポイントはすべての材料を混ぜ合わせ、1時間ぐらい常温で材料をなじませませることで、生地に一体感が出て焼きやすくなります。

クレープ生地にホタテのムースを絞り、200℃のオーブンで焼きます。
次につけ合わせです。まず、ほうれん草は焦がしバター、にんにくと一緒にさっと火を通します。ほうれん草の水気を取り刻みます。そこに削ったレモンの皮も入れ、シート状に伸ばして冷凍庫でしっかり固めます。
次にそばの実のスフレ、カラマンシーヴィネガーをキャラメル状まで煮詰めます。
ソースは鍋にブルゴーニュ地方のスパークリングワインと薄切りしたエシャロットを入れて煮詰めます。エシャロットに火が通ったらバターをたっぷり加え、ハンドミキサーで乳化させます。エシャロットを漉して出来上がりです。

Sole, en croûte de Comté | topinambour confit au foin | clémentine acidulée, Sabayon au Vin Jaune

2品目は舌平目を使った魚料理です。
まずメインの舌平目は白色の皮を残して下処理をし、フィレの状態に卸します。
ポイントはえんがわの皮までフィレと一緒になるように捌くことです。中に詰め物をするので離れないように身を包む役割として大事な部分になります。
詰め物は舌平目の骨のフリット、バター、乾燥パン粉、生パン粉をミキサーで細かくしたものを薄く貼りつけます。


ラップで包みスチームオーブン65℃で中心温度43℃まで火を通します。火が通れば、一度氷水でしっかり冷やします。冷えたら衣をつけます。
コーンスターチ、卵白、乾燥パン粉と生パン粉、コンテチーズの3種を合わせた衣をつけ180℃の油でカリっと香ばしく揚げます。
次につけ合わせです。菊芋を2種類の調理法で使います。
1つ目はシャトー剥きにした菊芋を澄ましバターでまわりを香ばしく焼きます。干し草と砕いたコーヒー豆を入れた澄ましバターで中心まで柔らかく火が通る温度帯でコンフィにします。
2つ目はピューレです。玉ねぎ、菊芋を澄ましバターで炒めます。水を加えて蓋をして柔らかくなるまで火を通し、ミキサーでピューレ状にします。
次に、クレマンティーヌのピクルスです。鍋に赤ワイン、アルコール酢、砂糖、香辛料(カルダモン、コリアンダー、花椒、フヌイユ)を入れ煮詰めます。アルコールが飛んだらカルチェにカットしたクレマンティーヌに液体を入れ30分ぐらい漬けます。
次にソースです。シンプルなオランデーズソースの仕上げに黄色ワイン(シャトー・シャロン)を加えることで、ソースにはメリハリが生まれ、さらに香りも華やかに仕上げていました。
甘味、酸味、旨味、香りが一体となる一品になっています。

素材の持ち味を十分に活かしつつ、見た目の美しさにもこだわる。クラシックな料理の良さを保ちながら現代風にアレンジできるのがシェフのスタイルだと感じました。

研究生もシェフの指示を聞きながら次の作業のために何が出来るか予測をしながら動いている様子もあり成長を感じました。

研修生も一緒に来校し、シェフとコミュニケーショを取って作業を進めていました。
シェフからの指示を聞き、必ず確認を取って次の作業に移るという基本的なことが大事です。
この作業もフランス語ができないと流れ良く進まないのでコミュニケーションの大切さを改めて感じました。

最後にアシスタントを務めた研究生と一緒に記念撮影です。