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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M. Jacques MARCON(ジャック・マルコン氏) / Régis et Jacques MARCON(レジス・エ・ジャック・マルコン)

フランス校教壇から

2023.11.24

今日の外来講習は「レジス エ ジャック マルコン」からジャック・マルコン氏にお越しいただきました。

リヨンから車で1時間半ほどのSaint-Bonnet le froid (サン・ボネ・ル・フロワ)という村にあるミシュランガイド三ツ星レストランです。
講習に来ていただいたジャック氏は、現在同店の統括シェフとしてレストランを運営されています。
彼は若き日、レクレール校で研修をしていた事もあり、フランス校にも大変思い入れがあるそうです。また、パリのランブロワジーというレストランでも研修をされていました。
店名にも名前の入っているレジス氏は、ジャック氏のお父様で1995年ボキューズ・ドールの優勝者です。多くのきのこ料理を生み出す事で「きのこの魔術師」とも呼ばれ、その他にもレンズ豆など土地の食材を用いた独自の料理を作られています。2005年に村の中心にあったお店から、少し離れた丘の上に移転し、同年ミシュランガイドで三ツ星を獲得されました。店内の一面のガラス窓から見えるパノラマからは壮大で豊かな自然を楽しむことができます。

今回は現在スタージュ中の研修生と共に来校し、2品作っていただきました。

Ragoût de lentilles vertes aux truffes noires

レンズ豆の煮込みとポルト酒をベースにしたトリュフ風味のソースを使った一品です。
マルコン氏のお店のある地域はレンズ豆が名産品であり、講習に来ていただく度にレンズ豆を使った新しいメニューを披露されます。
レンズ豆を玉ねぎ、タイム、丁子、鶏のだし汁でゆっくりと炊きます。レンズ豆がゆであがれば煮汁を煮詰めて豆を戻し、レンズ豆の一部をつぶしながら混ぜてピュレ状にして濃度をつけます。
豚の背脂を塩漬けにして香草で香りをつけたラルドと呼ばれるもの、人参と根セロリの角切りを炒め、レンズ豆と混ぜます。鶏の卵を割り軽く沸騰したお湯の中でポーチドエッグにします。
研究生が現在研修に出ている学生に教えてもらいながら作成している姿です。後ろでは別の研究生がマルコン氏から別の指導を受けています。

ソースはポルト酒を煮詰め、鶏から作ったジュを加えてさらに煮詰め、最後にトリュフをフォークで細かく砕いたものを加えて仕上げます。
それぞれの調理法は珍しいものではありませんが、それぞれの材料に対して生かすための考え方や調理法など、シェフのエスプリをたっぷりと聞き、学生も興味を持って講習を受けています。

Omble Chevalier Senteurs de genièvre

オンブル・シュヴァリエという鱒科の魚で、フランスでも美味しいとされている淡水魚と、根セロリ、そしてねずの実を使った一品です。
つけ合わせとして根セロリを使って色々な調理を行います。
角切りにした根セロリを塩ゆでにし、干し草で軽く燻製し香りをつけます。
ごく薄切りにした根セロリをさっとゆでて円筒を作ります。その中には根セロリを2mm角に切って食感が残るようにゆでたもの、青りんごを同じ大きさに切り、それをねずの実の粉末を使って和えたものを詰めます。
根セロリの切り端や残った部分は牛乳と生クリームの中で火を通します。その際にうなぎの燻製も一緒に加えて加熱し、香りと味を移します。火が通ればミキサーにかけてピュレを作ります。
シャントレル、セップ茸はそれぞれ火を通します。

一つ目のソースとして、マッシュルーム、玉ねぎ、はちみつ、醤油、レモン汁、シードルビネガーをゆっくりと40分ほど加熱しマッシュルームの水分を十分に出します。
鶏ガラで作ったソースを加えて濃し、最後に香りよく焦がしたバターを混ぜて仕上げます。
醤油を使うのは、セップ茸の香りに醤油のニュアンスを感じるからだそうです。

二つ目のソースは溶かしたバターの中で乾燥したセップ茸をゆっくりとゆでるように香りを移します。卵黄を泡立てながら加熱し、セップ茸の香りを移したバターを混ぜ込み、ソーダサイフォンに入れてガスを注入します。ソース・オランデーズのようなふんわりとした仕上がりになりました。
オンブル・シュヴァリエの身は皮目からゆっくりとフライパンで火を通し、ジューシーさが残った状態にします。
根セロリを様々な調理法で香りや味の多様さを出し、きのこ、オンブル・シュヴァリエと見事に調和した一品です。

講習を受けた研究生に感想を聞いたところ

「料理を作る時の材料の選択にその土地のものをすごく意識しているのだと感じた」

「今度学校からシェフのレストランに食べに行くので、実際に食べてみるのがより楽しみになりました」

「盛りつけの綺麗さもそうですが、一皿に乗せられている調理したものの種類や考え方の多さに驚きました」などの答えをもらいました。

講習終了後にアシスタントを担当した研究生とシェフで揃って記念撮影。