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調理外来講習 M.Guy LASSAUSAIE (ギィ・ラソゼ氏) / Restaurant Guy LASSAUSAIE(レストラン ギィ・ラソゼ)

フランス校教壇から

2023.07.06

今回、調理外来講師としてお越しいただいたのは、リヨン郊外のChasselay(シャスレー)という町にあるミシュラン1つ星のお店、Restaurant Guy LASSAUSAIEレストラン ギィ・ラソゼでシェフを務めるギィ・ラソゼ氏です。

ラソゼ氏はリヨン出身で「Restaurant la Pyramide レストラン ラ ピラミッド」などの有名店で研鑽を積み、1993年にM.O.F.(フランス優秀職人章)受章されました。またトック・ブランシュ・リヨネーズ(料理人協会リヨン支部)の会長を長らく務められました。現在はシャスレーのお店と、リヨンの街が壮大なパノラマで一望できるフルヴィエールの丘の上にある「Bulle ビュル」というレストランにも携わられています。また日本のレストランとも技術提携をして、フランス国内にとどまらず世界で活躍されているフランス料理界の重鎮の1人です。研修先でもあり現在研修中の研修生も来てくれました。

今回の講習は3品作成していただきました。

Purée de carottes, Jus de carotte réduit citronnelle et gingembre pickles de carottes au vinaigre de citron et Œuf mollet au caviar

まず1品目は人参を様々なバリエーションで構成した料理です。真ん中は人参のピューレ、その上に新鮮な半熟卵、その上にキャビアをのせます。輪切りにスライスした人参のピクルスをラッパ状に巻いて盛り付け、ラッパ状の中に香草から抽出した緑色の香草の油を飾ります。下のソースは人参の果汁にレモングラス、生姜を加えて煮詰め、バター、レモン汁を加えて仕上げています。1皿に3種類の様々な調理法と調味をし、盛り付けも華やかに彩り、目にも美しい料理に仕上げていました。このように同じ食材をいろいろな形に生かすことをフランス料理の調理法でDéclinaison(デクリネゾン)といいます。

Panacotta mozzarelle, tourteau, tomate Roma confite, copeau de Salers et pistou de roquette

2品目はヨーロッパイチョウガニ、モッツアレラチーズとトマトの冷菜料理です。

まずヨーロッパイチョウガニは茹でて身を取り出します。トマトは花びらのように果肉を取り、オリーブオイルにつけてオーブンでコンフィにします。次に牛乳にバジルの香りを移し、モッツアレラチーズ、ゼラチン、生クリームを入れてミキサーにかけ、バジル風味のパンナコッタを作ります。型にトマトのコンフィ、ヨーロッパイチョウガニ、バジルのパンナコッタを入れて冷やし固めます。ソースはルッコラのピストゥで、松の実、チーズやオリーブ油のマイルドさの中にルッコラの辛味がアクセントとなり、緑色がとても鮮やかな仕上がりです。フレッシュのミニトマトやお花が飾られた夏らしい爽やかな1品です。

食材を生かして作るのはもちろんですが、色彩のバランスを見ながら細かな盛りつけのスピードが速く、お客様に良い状態で提供が出来るように日頃から意識されているのが伝わりました。また多くを語らないシェフなので、作業をしている姿を研究生も真剣な眼差しで集中して見ていました。

Suprême de saint-pierre cuit en fleur de courgette Velouté de courgette à la tapenade verte

3品目は的鯛と旬のズッキーニを使った魚料理です。

ズッキーニの花を見たことがありますか?オレンジ色や黄色が鮮やかでとても大きく食用としてよく食べられます。旬のズッキーニの花と実とすべてを使った料理です。まずメインの的鯛にズッキーニの花を巻き、バターで色づけないように焼きます。

次に実の部分は緑色の皮だけをむき、重曹を入れた湯でゆでます。重曹には皮の緑色がくすむ前に繊維を分解して早く柔らかくする効果があります。その皮とグリーンオリーブできれいな緑色のペーストを作ります。
中の白い部分はソースのベースに使います。玉ねぎを炒め、適度な大きさに切ったズッキーニ、白ワイン、鶏のだし汁、生クリームで柔らかくなるまで火を通し、緑色のペーストを加えてミキサーにかけ、綺麗な緑色のソースに仕上げて的鯛と一緒に盛りつけます。最後に香草から抽出した緑色の香草の油を飾ります。

アシスタントをしている研究生もシェフの早い作業についていくことに必死な様子です。その中でも研修生はシェフと一緒に仕事をしているので、息の合う作業が出来ていて研究生もその様子を真剣に見ていました。

研究生からラソゼ氏に "料理を考えるときに大事にしていることは?"という質問があり、2つの答えをいただきました。

l 季節感とソースを考えること。特にソースは温かいのか冷たいのかはっきりさせて作ると目指す方向性が決まりやすい。

l 料理のコースの流れを考えること。最初に食べるアミューズで個性のある調味料は控え、最後の肉料理まで心地よく味覚を楽しませるような味つけを心がけること。

最後に研修生から現場の仕事で大切なことを話していただきました。

まず、お店で提供しているすべての料理を盛りつけまで覚える事。たくさんのメニューと構成があり、名前を覚えるのも大変ですが、担当しているアミューズ料理を提供した後は次のお皿の手伝いをして覚えているそうです。すべての料理を理解していないと手伝いもできないため、徹底して盛りつけの手順などを覚えたと話してくれました。

最後にシェフと研修生とアシスタントを務めた研究生と一緒に