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辻調グループ フランス校

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Mme Katy Mondon(カティ・モンドン氏)et M.Cyril Dégluaire (シリル・デギュルエール氏) / Comité Interprofessionnel de la Volaille de Bresse (コミテ・アンテルプロフェッショネル・ドゥ・ラ・ヴォライユ・ドゥ・ブレス) ブレス鶏生産者組合

フランス校教壇から

2024.03.08

今回の外来講習は通常の料理講習ではなく食材研究です。講師としてブレス鶏生産者組合からカティ・モンドン氏を招いてフランスが誇る有名な家禽、ブレス鶏について詳しくお話しいただきました。

フランスで生産される食物の品質管理の制度と、ブレス鶏の飼育方法やどのようにブランドを守っているのかの解説がありました。
1935年に「原産地管理呼称」別名A.O.Cと呼ばれる制度が、1992年にA.O.Pと言われる「原産地保護呼称」が整えられました。両制度とも、農産物や加工品の品質、製造方法、偽造から生産者や生産物を守るためにあり、数多くの基準をクリアしなければなりません。
今回研究生たちが学ぶブレス鶏も、1957年にA.O.Cを受け、1996年にA.O.Pを受けました。

ブレス鶏の見た目の特徴は全体の羽毛は白く、足は青く、トサカは真っ赤に色づいています。

次に本物の「ブレス鶏」を証明する3つのしるしの説明がありました。
・足の金具:生産者情報などが記載されている。
・首から掛けられたメダル:色別で鶏の種類がわかる。
・手羽の金具:生産者組合から認められた印と裏には屠殺所の名前。

これらの証明を得るための品質管理として、飼育する施設の設備、飼育期間や食事の種類、肥育のための期間や食事内容までも厳格に決められています。 飼育設備は鶏1羽あたり最低15㎡の牧草地、1㎡あたり最大12羽の飼育ができる鶏舎が必要になります。 生後35日間は土地で作られたシリアルと乳製品を食べ、ケージで育てられます。その後63日間は牧草地で放し飼いにされ、食物のうち1/3を牧草地の中から自分で探して食べる必要があり、この期間で骨格の形成が行われます。 その後脂肪分を蓄えるために種類によって日数は変わりますが最低でも10日間の肥育期間が設けられます。
鶏の種類によって最低限の飼育期間も決められています。
ブレス若鶏は108日、ブレス雌鶏(卵を産んだことがない鶏)は140日、ブレス雄鶏(去勢)は224日、ブレス七面鳥は196日です。
ケージの中だけでなく放牧するなど広大な土地が必要となり、時間、土地の餌も必要となる為、ブレス鶏は高品質であり高価なわけです。
ブレス鶏の価値を高め続けるためにブレスの養鶏家が一堂に会して行われる、品評会についての紹介をしていただきました。 毎年クリスマス前に4つの町で開催されるこのコンクールでは、実際の鶏の成長具合と鶏を布で巻き、包むことで鶏をより良い状態にする加工(ルーラージュ)についても競われます。

品評会の様子

今回、養鶏家のシリル・デギュルエール氏にお越しいただき、実際のルーラージュを見せていただきました。

デギュルエール氏は今までの品評会で15回優勝経験があり、最高の技術を持った生産者の1人です。その素晴らしい技術を目の前で見ることができ、研究生も興味津々で目を光らせていました。

このルーラージュをすると以下の利点が挙げられます。
・ラクビーボールの形に整え均一に見せる
・中の空気を抜き、真空状態にして空気から遮断することで3週間は保存可能
・皮下脂肪が鶏全体に広がり、皮が均一に白くなる

ルーラージュから3日後、布を外すと形が均一に保った状態に仕上がっていました。

審査については、グラン・メゾンのレストランのシェフなども参加されており、フランス校のナレ先生も審査員として参加しています。
今回の授業では、フランスでしか扱う事が出来ない貴重な食材について詳しく学ぶことができました。良い品質を保ちブランドを守り続けることについての生産者の方の熱意がとても伝わる内容でした。 研究生も普段の実習で使っている食材について、より深く知る機会になったと思います。

最後に皆で記念写真を撮りました。