辻調理師専門学校 別科 通信教育講座

0120-24-1725 平日(月~金) 9:00~17:00

通信教育講座受講レポート

宮本さんの受講日記 フードライター、料理研究家 宮本さやか製菓技術講座

イタリアのトリノから製菓技術講座を受講している宮本さやかです。この通信教育講座を受講しようと思った一番の理由は、以前に受講した日本料理がとても楽しくてファンになってしまい、また別の何かを受講したいと常々思っていたことです。それに加えて職業柄、プロのパティシエにインタビューすることもあり、そんなとき、こちらにも知識があるほうが取材しやすいということ。イタリアで日本人駐在員の奥様方対象にイタリア料理のお料理教室を開催していますが、そのレシピ作成にも役立つだろうと思ったこと。そしてなによりおいしいお菓子を自分で作って食べたかったことです!みなさんも一緒にがんばりましょう!

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今回のテーマは…

第6課 練り込みパイ生地

第7課 練り込みパイ生地を用いた菓子

練り込みパイ生地とは?

 第6課、第7課は「練り込みパイ生地」。「パイ」と聞くと、素人の頭にはつい、ミルフィーユなどの層が膨らんでサクサクした生地が思い浮かぶ。でもそれは次回お勉強する折り込みパイ生地のことであって、今回は材料をすべて混ぜ合わせて作る「練り込みパイ」だ。
はて、練り込みとは? と一瞬考えてしまうが、お菓子用語でもよく耳にするパート・ブリゼ、そしてパート・シュクレ、パート・サブレと聞けば、ああ、一般的にはタルト生地とかビスケット生地なんて呼ばれるああいうやつだな、と想像がつく。
 さて、DVDで3つの生地の作り方を勉強する。ほとんど同じ材料を使うのに、バターの温度、混ぜ方、水の有無などで、生地の焼きあがり、食感がずいぶん違うのには驚かされる。冷たいカチカチのバターに小麦粉を混ぜ込みながら、ポロポロのそぼろ状にしたものに水を加え、まとめたパート・ブリゼは断面に少し層ができ、サクサクとした口当たり。
一方、室温で柔らかくしたバターに砂糖、卵、薄力粉を加えたパート・シュクレはビスケットのように、もろく口溶けがいい。そしてパート・サブレ。冷たいバターと粉を混ぜていってサラサラと砂のようにしていく過程は、ちょっとパート・ブリゼに似ているけれど、水を加えないので焼きあがった感じはモロッと口の中で壊れる感じ。
 さて、6課で生地の基本を学んだら7課で実践、つまり生地を一つ選び、その生地に適した実際のお菓子を仕上げるという作業に入る。うーん、どれにしよう、どれもおいしそうだなあ。いやいや、ケーキ屋さんで選んでいるんじゃないんだよ! そうだった、困難に挑戦する女・宮本は、グルテンが形成されると焼きあがった生地が硬くなったり舌触りが悪くなるというのに、あえて水を加えグルテン発生の危険を冒しているパート・ブリゼにとても惹かれるのであった。課題の「タルト・オ・ポワール」もとてもおいしそうだしね?

計画的にお菓子作り

イメージ:練り込みパイ生地 今回は落ち着いて、プロのパティシエのように計画的にお菓子作りを進めよう。まず第一日目、朝、生地を作る。我が家にはフードプロセッサーがないのだが、氷を砕いたり、ナッツを砕いたりするモードがあるミキサーを持っているので、それで代用しようと思う。テキストには手で作る方法も書いてあるのだが、機械でやった方がバターも柔らかくならず、失敗が少なそうな気がするからだ。カチカチに固いバターを小さく切って粉と共にミキサーに投入。すぐにバターと粉がいい感じでポソポソに混ざり合い始める。しかし、フードプロセッサーのように容器の中が広くない(細長い)ため、どうも全体的によく混ざらない。5分くらいの間、回しては止め、止めては回し、バターの塊をみつけてはカッターが当たりやすいように移動させたりしてようやく混ざり合った感じ。しかしミキサーから取り出してみると、おや、先生のとはちょっと様子が違う。先生のはポソポソしていてまとめるのが大変そうだったが、私のはちょうどいい固さで、全体がしっとりしていてあっという間にまとまった。バターが少し溶けてしまったのだろうか? やっぱりミキサーは失敗だったのだろうか? できあがりにどんな影響が?? と心配になる。だけど指で押してみると、先生のと同じように指の跡は元に戻らない。よし、グルテンはできていないぞ! 
 できあがった生地はあらかじめ2つに分け、丸くまとめておくことにする。先生のように、素早く美しく生地を伸ばせない分、なるべくいじり回す時間を減らそうという工夫のつもり。半分に分けた一つは今すぐには使わないので冷凍庫へ。

シリコンに完敗

イメージ:練り込みパイ生地を用いた菓子 午後には洋ナシのシロップ煮を作り、さて翌日。前もって買っておいたシリコンのタルト型に、しっかり休ませた生地を薄く伸ばしてフォンセ(敷き込む)し、空焼き後オーブンから取り出そうとしたら、パリっと割れてしまうというアクシデントが。シリコンの型は底面がフニャフニャしているので、ちょっと触っただけで生地が壊れてしまったのだ。ガーン!
 しかし、この失敗は単にシリコンだけのせいではない。失敗の原因の数々は ①製菓道具専門店のおにいさんに強引にシリコンの型を勧められ、ついそれにのってしまったこと。先生がDVDで使用されているセルクルとトゥルティエールもあったのに、前回フィナンシェの時に使ったシリコン型の使いよさに感動していた私は、つい「こっちは(セルクル)はもう古いよ、これからはみんなシリコン。これならなんにでも使えるから」という店員の声に惑わされてしまったのだ。古いなんて言われて惑わされず、私は素人仕様ではなくてプロのお菓子を作るのだからこれ、と断固たる態度を取るべきだったのだ。イメージ:練り込みパイ生地を用いた菓子
②原因の二つ目は、テキストの分量は20センチの型2台分なのに、売りつけられた型は22センチ。家へ帰ってきて愕然としたのだが「ま、いっか。ちょっと頑張って薄く伸ばせば大丈夫だろう」と思ってしまった私の性格は、そう、何度もここで書いているがお菓子向きでない、ずさんな性格なのである。「ま、いっか」とか「だろう」という言葉は製菓の世界では禁句ということを、失敗の度に肝に銘じているはずなのに…。極薄に伸ばしてしまった分、生地は脆くなった、だから簡単に壊れてしまった、というわけだ。

でも、とにかく作る

イメージ:練り込みパイ生地を用いた菓子 気を取り直し、冷凍にまわしておいた生地でもう一度挑戦する。型はもともと持っている底が抜けるトルタ型。周りに波型の模様がついているので、先生のお手本通り、フォンセの際に指で周りに飾りをつけることができなくて残念だが仕方がない。イメージ:練り込みパイ生地を用いた菓子
きれいに生地を型にフォンセでき、慎重に休ませ空焼きしたので焼き縮むこともなく、綺麗に焼きあがった。ただ、型の高さが足りなかったのか、アパレイユ(中身)が全部型に入らず半分ぐらい余ってしまった。なぜ? 洋ナシもテキストでは半割りのもの5切れを使うことになっているが、4切れしか入らない。イタリアの洋ナシは巨大なの?
 いろいろと事件が起きて、ドキドキした今回の練り込みパイだったが、仕上がりはなかなか美しく、そしておいしくできあがった。様々な教訓を胸に、来月もまたがんばります!

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