通信教育部ブログ

受講生日記

日本料理 第7課「間接焼き」


 

前回第5課、第6課で焼き物に挑戦した。私の住むイタリアは3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大で2度もロックダウンになったりして、ずっと落ち着かない日々が続いているのだが、気を取り直して続けていきましょう! さて、焼き物の次は煮物? とテキストを見たら、第7課はもう一回焼き物が残っていた(汗) しかし前回「直火焼き」を学んだので、今回は「間接焼き」だ。

間接焼きというのは、火が直接食材に触らないということ。えーと、つまりフライパンとか鉄板焼き?? 
「関節焼きの器具として最も一般的なものはフライパンやオーブンであるが」とテキストの最初に書かれている。なるほど、オーブンもそうなんだね。そして、提供方法に変化をつけるために、様々な加熱方法、例えば一人用の小さな鍋だったり、自然の素材を用いるとある。例えば貝殻、焙烙、陶板、石、溶岩石、木などの植物。この講座は技術だけでなく、プロとして、営業する場合の提供方法なども教えてくれるというわけだ。

うーん、イタリアに住む私、しかも外出規制があってあまりあちこち買い物に行けない身としては、石や溶岩石を探して歩くのは難しそうだ。焙烙などはもともとないし。とりあえず、フライパン料理からやってみる。
  


「鰤照り焼き」

私の住むトリノの魚屋さんでは、鰤は見かけない。和伊辞典で調べてみると「鰤=セリオーラseriola」と出てくる。言葉があるんだから、存在することはするらしいが、仕事上、イタリアのあちこち旅行して食べている私は、遭遇したことはない。あまりメジャーじゃないのかしら? ネット検索して見ると「スズキ目アジ科の海水魚。北西太平洋に生息する」とある。なーんだ、イタリアで売ってないはずである。

だから私はいつも、照り焼きはサーモンでやっている。いつもやっている、というのは、17年前にこの講座で学んで、照り焼きはフライパンでもできるんだ!と感動し、それから私の家の定番メニューの一つになっているからだ。だけどいつもは家族用で適当に作っているので、今日は真面目に作ります。


サーモンの輪切り。前回も書いたように、イタリアでは大型の魚はみんなこんなふうに輪切りにされちゃうのだ。


ウロコもついたままで輪切りにされるから、2センチ程度の幅の輪切りからウロコを引くのは難しく、皮は切り取るしかないので、こんな感じ。魚に対してフライパンが大きすぎたので、タレはフライパンを傾けたり、スプンでかけたりしながら加熱した。その辺りの小技は(笑) 17年前より身についているかもしれない。ちなみにお刺身にしようと思って買っても、やっぱり輪切りだから、どう切っていいのかいつも悩んでしまう。 

  


古いレポートを出して見たら、17年前はカジキマグロでやったんだった。味的にはカジキマグロの方がぶりに近いけれど、脂ののった感じはサーモンの方が近いような? 見た目、上達してますか?  

  
 
魚の仕上がりは、タレにもいい感じで照りが出て、おいしくできたと思う。盛り付けも、写真からは17年前より余裕が感じられるけど、よく見るとタレが付け合わせの蕪の塩麹和えにまで流れてしまっていて、美しくない。ハスは入手できなかったので蕪にしたのだが、やっぱり花レンコンの方が華やぐし、水っぽさが少ないので盛り付けがきれいにできそうだ。プロの先生方のメニュー選定には、そういう細かいところまで厳密に計算されているのだ。

 

「酒盗焼き」

フライパン以外の間接焼きで、今のイタリアの、私の状況でできるものは何かな?と考えながらDVDの講義を見ていると、私の目は「酒盗焼き」に釘付けになった。なんと美味しそうなこと! 香りのいい日本酒と一緒に、自分でちっちと焼きながら食べるところを想像して、よだれが出てきた。 

イタリアには当然酒盗なんてないし、石焼にする石も、その辺で拾ってきた石ではダメだと先生は言っていた。17年前にも同じようなことを考えた私は、先生に「どんな石でもいいのでしょうか?」と質問票を通じて質問したのだ。

ではどうするか?
何かを熱く熱して、その上でジュッと、サッと焼くのであれば、ホットプレートではダメだろうか? 油をひかないで熱くしたところで焼くのだ。もちろん、料亭のような素敵さは全然ないんだけど、味と雰囲気を再現してみたい。

たまたま数日後に、トリノ在住の日本人女友達4人を招いてランチ会の予定だったので、メニューに「なんちゃって酒盗焼き」を加えることにした。

 

アンチョビで作った「なんちゃって酒盗地」。失敗したらアンチョビも、そして私にはより貴重な酒、みりんがもったいないので、レシピの半分の量で作ってみる。アンチョビは液体の中に完全に溶けず、漉したら身がたくさん残ったけど、液体にはしっかり味が出ている。魚の発酵食品の風味が効いて、いい感じ。私ったら、天才かも?笑 

 
 

 

イタリアの塩漬けのアンチョビ。頭を捻って引き取った片口鰯を、骨ごと塩漬けにする。内臓や血も少し残って、それが深い味になっている。オイル漬けと違って油焼けしていない身は生のような食感があるのに、発酵食品の味わいでダブルに美味しいのだ。。 

 

お客さんを呼んでしまったので、焦って写真がおろそかになってしまった。ホタテ、小型のヤリイカ(イタリア語ではカラマリーニcaramariniを買ったのに、材料写真を撮るのを忘れてしまった。写真は酒盗地ならぬアンチョビ地に付け、盛り付けたところ。

 

 
ホットプレートでお客さんがわーっと焼いてしまって、仕上がりはちょっと汚くなってしまった。でも味はとてもおいしい。焦げやすいのが難点かな? 酒盗だったら焦げないのだろうか? 駐在員の奥様もうわー、おいしいと感動してくださった。

色々な食材と道具で、工夫して試すのはとても楽しいなあ(美味しくできなかったら悲しいかもしれないけど)。次はモロッコ風のタジン鍋を使ってほうらく焼きなんてできないだろうか? なんて考えた。

  


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宮本さんのブログ「ピエモンテのしあわせマダミン」  

宮本さんご出演『守りたい、イタリア伝統の美味しさ〜ver.1 発酵生地の神様マウロ・モランディンのパネットーネ』
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