CAREER

パティシエにはどんな求人がある?

主な就職先と活躍できる場

「将来はこんな場所で、こんなお菓子をつくってみたい」。そんな夢を叶えるために、パティシエとしての最初の一歩をどこで踏み出すか迷っている人も多いのではないでしょうか。パティシエの活躍の場は多彩で、たくさんの求人が寄せられます。時代を追うごとに多様化する現場のなかから自分にあった就職先を選ぶには、職場ごとの違いを知ることが大切です。この記事では、パティシエの主な就職先と特徴、求人状況について解説します。

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「将来はこんな場所で、こんなお菓子をつくってみたい」。そんな夢を叶えるために、パティシエとしての最初の一歩をどこで踏み出すか迷っている人も多いのではないでしょうか。パティシエの活躍の場は多彩で、たくさんの求人が寄せられます。時代を追うごとに多様化する現場のなかから自分にあった就職先を選ぶには、職場ごとの違いを知ることが大切です。この記事では、パティシエの主な就職先と特徴、求人状況について解説します。

パティシエの活躍の場は製菓店だけにとどまらない

ひと口にパティシエといっても、活躍の場は多岐にわたります。街角の製菓店、ホテルやレストラン、コンビニや食品メーカーとの商品開発など、幅広い選択肢があります。また、近年ではつくったお菓子をインターネットで販売するお店や個人も増えてきました。

このように、製菓の分野は商品の提供の形が多様化しています。より長くパティシエとして活躍するために、自分がどんなパティシエになりたいかをイメージし、自分に合った職場を選びましょう。

パティシエの主な就職先と特徴

パティシエには多様な職場から求人が寄せられます。パティシエの活躍の場としてどんな就職先があるのか、それぞれの特徴や求人状況について、辻製菓専門学校の伊藤快幸先生と瀬戸山知恵美先生、辻調グループキャリアセンター長の金内孔二先生に聞きました。

個人店で働く

個人店などの製菓店はお店によって個性があり、お菓子のつくり方や働き方についての考え方が異なります。製菓店に就職した場合には、複数のお店で修業してから独立にいたるケースが多く見られます。

辻製菓専門学校の卒業生も、多くがこうした個人で営む製菓店に就職しています。たくさんの個人店の中から、どのように就職先のお店を選んでいるのでしょうか。

瀬戸山「お菓子が好きでいろんなお店をよく見に行ったり食べ歩きに行ったりしている学生は、お店のシェフがどんなお店で働いてきたかといった経歴を見たり、コンクールへの出場経験を見たりして就職活動をしています。

入学時からすでに、街角にあって近所の方がお客様として来てくれるような地元に親しまれるお菓子屋さんに行きたいと決めている学生もいますね。

個人店にもいろいろな分野があって、特に最近は販売形態が広がっています。ですから、自分がやりたいこと、好きなことを選んで就職できている人も多いのではないでしょうか。」

ホテルで働く

ホテルではお菓子をつくることに加えて、ホテルという組織の一員としての心構えが求められます。

配属はペストリー部門となり、レストラン、カフェをはじめ大規模な宴会、婚礼、ときには国際的な会議のような大きなイベントでのデザートづくりをおこないます。それだけでなく、物販もおこなうホテルでは製菓店同様にテイクアウト用の菓子も手がけることから、製菓の多彩なスキルが発揮できる場と言えるでしょう。

金内「ホテルには、全世界からお客さんが来ます。各国・世界中の人たちに自分たちのつくったお菓子を食べてもらえること、また結婚式や宴会など色んな催し、用途においてつくったお菓子が提供されるのもホテルならではです。お菓子をつくるにとどまらない幅広い経験ができる職場と言えるでしょう。

これらの経験を8年から10年ほどかけてじっくり学び、ステップアップしていきます。多くの部門があり、たくさんの人と関わることからも、組織の中で自分の能力をいかしたい人に向いています。」

瀬戸山「辻製菓専門学校からホテルに就職する学生は、製菓店やパティスリーをめざす学生とは違った目標を持っていると思います。

たとえば、調理師が調理をする姿が見られたり、会場でのサービスに興味があったり、お菓子だけでなくその周りで起きていることにも興味を持つ人は、ホテルへの就職を考える傾向があるのではないでしょうか。」

また、ホテルはきちんと労務管理がされていることが多く、一般的に働きやすい職場といえるでしょう。

大規模な製菓店で働く

製菓店やホテル・レストランの厨房などではつくったお菓子を直接お客様に提供しますが、パティシエの活躍の場は、こうした舞台に限られません。
より大きなマーケットに向けて均一のおいしさのお菓子を提供するため、大規模な製菓店が有する工場で、お菓子の加工・製造に携わるパティシエもいます。

金内「工場というと機械がつくるイメージがあるかもしれませんが、百貨店など全国展開をおこなう大規模な製菓店では工場を有し、それらの工場では、多くが手作りでお菓子をつくっています。工場というよりもラボ、ファクトリー、アトリエというとイメージしやすいでしょうか。

製造に特化した場所で働くというのが特徴で、その量が一般的な製菓店よりも大量になり、それが全国に配送されていくというのが、違うところです。こういった企業では3~4年は製造に専念。その先にその部門を1つ任される工場長のような立場となり、人をマネジメントする立場も経験、その後商品の提案をしたりといった、年数があがるごとに、いろんな仕事ができるようになるため、長期間同じ職場で仕事をしたい人にとって働きやすい環境と言えます。」

こういった大規模な製菓店では働く人の人数も多く、待遇や福利厚生が充実している点も特徴です。工場などで製造に特化した経験を重ねた先、製菓メーカーとともに、新しい商品を開発するような職業を目指す人もいます。

独立・開業して働く

個人の製菓店やホテル・レストランの厨房で一定期間修業したあと、独立して自らお店を開業したいと考えている人も多いでしょう。

独立開業する場合には、製菓の知識・技能だけでなく、お店を切り盛りする経営能力も必要です。近年では、従来のように実店舗を構えるだけでなく、自宅でお菓子をつくってインターネット販売をするといった新しい販売形態も増えています。時代を経て、独立開業の方法も多様化しています。

瀬戸山「最近では辻製菓専門学校の卒業生のなかにも、お菓子をインターネットで販売している人も一般的になりつつあります。

お店やホテルで長いあいだ修業をしたあと独立開業するという従来の流れだけでなく、小さいながらも自宅でお菓子をつくって販売する。実店舗を構えるという大きな夢を持つ人がいる一方で、目立たなくてもコツコツと自分のやりたいことを叶えている人たちもいます。」

辻調グループのキャリアサポート

辻調グループには、学生がやりがいをもってプロとして働いていくことができるよう、キャリアサポートをおこなうキャリアセンターがもうけられています。キャリアセンター長の金内孔二先生に聞きました。

金内「辻調グループのキャリアセンターでは、就職をゴールにはおいていません。大切なのは、イキイキと働き続けること。就職活動においては、自分で考えて、情報を集め、整理し、納得し、選択できるようになれるサポートをしています。
そのためには知っておくことも重要。就職に向けてのスケジュール、自己分析、将来の目標の考え方。それらをじっくり時間をかけ選択ができるように伝えていきます。壁にぶちあたったら、担任の先生やキャリアセンターに相談ができる、そんな環境づくりをととのえています。将来、キャリアを重ね、レベルアップのための転職を考える場面があるかもしれない。そんなときに、自分で決断ができるようになっている。学校では、長い目で見たときに必要な力を、身につけてもらいたいと思っています。

はじめから、やりたいことが明確な学生はごくわずか。ただつくることが好き、という思いで進学している学生が大半です。どんな職場で働きたい、何がやりたいということは事前に決まっている必要はない。それよりも大事なのは、自分の選択に納得をして進むことができているかです。それができていれば、卒業してからも自分で努力を続けていける。努力することで自分自身が成長できる。ここを大切に、就職のサポートをしています。」

企業から求められるパティシエの人材像

辻製菓専門学校には、さまざまな企業やお店からパティシエの求人が寄せられます。そんな中、辻製菓専門学校で多くの卒業生を送り出してきた伊藤先生は、企業から求められるパティシエの人材像について次のように話します。

伊藤「企業に求められるパティシエの人材像としては、対面でしっかり相手の話が聞けること。そして、相手の意見を取り入れたうえで自分の意見を発信できること。これはとても大切なことだと思います。

チームで仕事をしていくうえではコミュニケーションが取れることが何よりも重要です。自分だけでなく周りの意見を聞いてそれを取り入れ、どう現場を回していくか、みんなで落とし所を考える必要があるのです。

これを独学で身につけるのは難しいですね。コミュニケーション力は人が集まってともに学ぶからこそ身につけられるので、そういった意味で学校で製菓について学ぶことには価値があるのではないでしょうか。」

辻調グループに来ている具体的な求人例

現在、辻調グループの卒業生がオーナーシェフやオーナーパティシエとして開業している店舗は2,800店以上。卒業生たちは日本国内だけでなく、海外にも活躍の場を広げています。

辻調グループでは、就職活動をする学生をキャリアセンターがサポートしており、就職についての相談や合同企業説明会の開催などを行っています。2019年度に行われた辻調グループ対象の合同企業説明会では、下記のような優良企業が参加しました。

2019年度の参加企業実績

リーガロイヤルホテル、ミリアルリゾートホテルズ、京都𠮷兆、プチ・プランス、帝国ホテル、ドンク、T・YOKOGAWA、アニヴェルセル、うかい、シャノワール、かめいあんじゅ、シェラトン都ホテル大阪、阪急阪神ホテルズ、Plan・Do・See、トゥーストゥース、ハイアットリージェンシー大阪、ひらまつ、ホテルグランヴィア京都、CITABRIA、リゾートトラスト、美濃吉、菊の井、キルフェボン、五感、WDI JAPAN、星野リゾート、プリンスホテル、ル・クロ、ザ・リッツカールトン大阪、フォーシーズ(ジョエル・ロブション)、ホテルオークラ、エーデルワイス、資生堂パーラー ほか多数

辻調グループではこれまで、調理・製菓の業界に14万5千人以上の卒業生を送り出してきました。食の世界に幅広いネットワークを持つことから、多くの企業やお店から求人が寄せられます。たくさんの選択肢の中からパティシエとして活躍できる場を見つけられるだけでなく、就職後の転職相談など、卒業後もサポートを受けることができます。

時代の変化に伴って、パティシエの活躍の場は多様化しています。自分が描く理想のパティシエ像に近づくために、どんなキャリアを積み上げていきたいか。そのためにはどの職場を選べばよいか。個人店やレストラン・ホテル、製菓メーカーなどさまざまな求人がある中で自分にあった職場を選ぶには、それぞれの職場の特徴を知ることが大切です。

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