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日本料理体験記~vol.7 酢だこ

     

Vol.7  酢だこ

「酢の物はコース料理の中でいつ出されるものだったかな?」と考えたことはありませんか?

最初の料理として出されることもあれば、中盤に登場して料理と料理を結ぶ役割を果たすこともあるし、最後に出されるご飯物の前に出されることもあります。

第13、第14課の「酢の物」を学ぶにあたってテキストに目を通したところ、酢の物は必ずしも前菜として出さないといけない、というルールがあるわけではなく、コースの内容や季節によって順番を変えることのできる柔軟な料理だということがわかりました。


お造りや焼き物、揚げ物などが続くコースのなかで少し地味なイメージのある酢の物ですが、健康にいいお酢をたっぷり使っているだけではなく、料理をおいしく演出する任務を担って出番を待っている、「縁の下の力持ち」のような料理だと気づきました。さて今回は生姜酢と黄身酢、両方のお酢の風味を楽しめる「酢だこ」にチャレンジしました。



さて、まずは下準備です。最初に作るのは生姜酢です。
「生姜酢って何?」と思ったのですが、三杯酢に生姜の搾り汁を加えたものでした。しっかり冷ましてから味をみたところ、生姜が効いたすっきりとした味わいでした。


テキストによると、お酢は米などの穀物や果実を乳酸菌で発酵させて作る醸造酢と、醸造酢に氷酢酸を加えたり、氷酢酸に水を加えたりして作る合成酢の2つに分類されます。


日本料理では主に、香り豊かな米酢と煮込みなどに適したさっぱり風味の穀物酢が使われます。

続いて、より独活を作ります。これは第3課の「鯛平作り」でも練習をしました。桂むきした大根を細く切り、丸箸に巻きつけてから水にさらすと、くるくるっとした形になります。料理に合わせて長さを変えたり、人参と大根で紅白のより独活を作るなど、さまざまなアレンジを楽しむことができます。


たこは内臓、目玉、口を取り除きます。その後、塩でもんでぬめりや汚れを取るのですが、第13課では「塩梅」についても学びます。材料全体に塩をたっぷりまぶしつける「まぶし塩」は、水分が多くくせの強い背の青魚の身をしめるのに用いるそうです。


他にも、「振り塩」「立塩」などがあり、前者は直接塩を振りかける方法で、この日本料理技術講座の中でもよく登場します。後者は約3%の濃度の塩水(海水)に材料をつけて塩をまわす方法で、うまみを加えるために昆布を入れることもあるそうです。


この課では、酢だこ以外に「さばの昆布じめ」や「かに酢」も学びます。素材によって変わる塩梅を知るのも勉強になります。



たこの茹で方にもワンポイントあります。
たこの胴を持って足を5秒ほど湯につけてからいったん引き上げ、足先がからまないよう注意しながらお湯に戻すのです。茹でたたこの足はくるくると巻いてしまうもの、と思っていましたが先生の指示どおり足をお湯につけてから茹でていくと、これまでの茹で上がりとは違いました。さらに、フックに吊るして冷ますと、足が少しずつ伸びてきます。

冷ましている間に黄身酢を作ります。

黄身酢というのは、卵黄を使った黄色いなめらかな調味酢です。卵黄、調味料、だし汁を湯煎にかけながら茶せんで練り、とろみがついたら削りがつおを加えます。ガーゼで漉して、冷ませば完成です。



そぎ切り、ぶつ切りにしたたこの上に黄身酢をかけ、生姜酢をたこ全体に注ぎ、より独活を盛りつければ「酢だこ」の完成です。


生姜酢によってさっぱり、そしてすっきりと味のついたたこに黄身酢を絡めることで、まろやかで優しい味わいが口いっぱいに広がります。

用いる素材も合わせる調味酢も幅広く、コース料理の演出も担う「酢の物」をもっと学びたい、と感じさせられました。

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