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パティスリー ヴィオレ(Pâtisserie VIOLLET)

フランス校 食べ歩き日記

2018.02.16

筆者にとって、23年前に研修をした懐かしの店 パティスリー ヴィオレ (Pâtisserie VIOLLET)を紹介します。

場所はリヨンの南東20mail、ブールゴアン・ジャリュー(Bourgoin-Jallieu)、
シェフはミッシェル・ヴィオレ(Michel VIOLLET)氏、M.O.F.(*1)をお持ちのパティシエです。

*1 M.O.F.
フランス最優秀職人賞(Meilleur Ouvrier de France)
フランス文化の最も優れた継承者としてふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される賞。襟がトリコロール tricolore(フランス国旗)の白衣は、この賞を受賞した職人だけが着ることができる。

取材をしたのは1月の前半、ちょうどエピファニ(公現祭)(*2)の時期で、ガレット・デ・ロワ(*3)がたくさん店頭に並んでいました。

 

*2 エピファニ Épiphanie(公現祭)
キリストの生誕を祝って東方の3博士がベツレヘムを訪れた日。
パイ生地を使い薄く焼き上げた菓子、ガレット・デ・ロワを食べる習慣がある。

*3 ガレット・デ・ロワ Galette des rois
折り込みパイ生地でアーモンドクリームを包み焼いた菓子。
中に小さな陶器の人形(フェーブ)を入れる。これを引き当てた人に紙で作った王冠をかぶせ、1日王様・女王様として遊ぶ。
地方によっては、パイではなくブリオッシュのようなパン生地でガレット・デ・ロワを作るところもある。

店頭はお菓子のショーケース、チョコレートのショーケースが並び、この時期チョコレートを買い求めるお客様が多く、チョコレートのショーケースは3台!並んでいました。

コンフィズリ confiserie (砂糖菓子)では、パート・ド・フリュイpâte de fruits (フルーツゼリー)、コンフィチュールconfiture (ジャム)、ギモーブguimauve(マシュマロ)など、全て自家製で販売されていた。

シェフにお願いし、ラボ(仕事場)を見学。
シェフと男性の職人が1人、見習い研修生の女性が1人の計3名。
私が研修していた時と同じで、今も変わらず3〜4名のスタッフで製造を行なっているとのこと。

さすがにこの日はガレット、ガレット、ガレット!でした‼
(忙しい日に行ってすみません、でも、これが見たくて行きました)


パイ生地を伸ばし、クリームを置き、広げる


中にフェーブを入れ、上からパイ生地を重ね、表面にレイエ rayer (筋付け)を行う


仕上がったものが山積みに!


オーブンで焼いて、仕上げにシロップを塗り、再度オーブンへ

ちなみにこの大きさ(直径32cm)で8人分。
すごく大きいのに8人分と聞いて、シェフに8人分ですか?と尋ねたら「薄くて軽いから食べやすいだろう、ピザと一緒だよ」と言われてしまいました。

今年は何台、ガレットを作ったのか聞いてみると「もう500台は作ったよ」と話してくれました。

プラリネやフルーツのシロップ漬けなど、素材から自家製にこだわり、作れるものは何でも自分で作る、というこだわりは今も変わりなく、「パティシエとは、こうあるべし!」を体現されている正にM.O.F.にふさわしいシェフ。
筆を使い、食用の色素でケーキの表面に絵を描くことを得意とし、独創的な作品も多く作り出す。


   

シェフ紹介
ミッシェル・ヴィオレ(Michel VIOLLET)
1989年 M.O.F.取得
1991年以降、お菓子の世界大会 クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー(Cup du monde de la pâtisserie)実行委員
1995年 同大会、フランス代表のオブザーバーとしてチームを率い、優勝(世界一)に導いている。
現在は、後進の育成のため、C.A.P.(職業適性証書)実行委員も務め、本校フランス校の外来講師も務めている。

今年(2018年)7月で閉店し、現役を引退する。