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辻調理師専門学校 東京

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自然に学び、食でつながる:くいしんぼうラボの実践記 ~春の野草と精進料理が教えてくれたこと~

東京学芸大学×辻調
製菓応用技術マネジメント学科
製菓衛生師本科
調理師本科
調理応用技術マネジメント学科

2025.07.15

辻調東京では、授業で学んだ知識を実践したり、
興味のある分野をさらに深めたりするために、さまざまな学びの場を設けています。
その一つが、東京学芸大学との協同活動「くいしんぼうラボ」です。

「くいしんぼうラボ」は、"くいしんぼう"の視点から、食・農・環境について考える活動です。
たとえば、「畑で食べる」「薪でピザを焼く」「梅干し作り」「ハーブで遊ぶ」など、美味しいものを中心に、
食べること、農作物を育てること、そして環境にやさしく持続可能な社会について、みんなで楽しみながら学んでいます。
今回は、2025年5~6月に実施した2つの活動をご紹介します。

レストラン 春の野草を味わう会
東京学芸大学 環境教育研究センターで長年受け継がれてきた「春の野草を味わう会」に、
学生有志が参加し、野草摘みに挑戦しました。
食品衛生学の授業では有毒植物についても学びますが、実際に野草を摘んで安全に食べるには、
食用と毒草を見分ける「鑑定眼」を養う経験が欠かせません。


東京学芸大学の先生に教わりながら、食用の野草を摘む様子


今回収穫した野草
(左上から順に:桑・よもぎ・山椒・柿の葉・そば・お茶・ユキノシタ・ノビル・ヤブガラシ・タンポポ・菜種など)

摘んだ野草は種類ごとに分け、東京学芸大学の先生に確認していただいた後、
水で丁寧に洗って水分をふき取りました。
そして、日本料理の岡田先生のご指導のもと、衣をつけて天ぷらにして美味しくいただきました。


天ぷらの揚げ方を教わっている様子


サクサクに揚がった天ぷら。とても美味しそう!

東京学芸大学の学生や先生方、留学生も試食に訪れ、春の野草に舌鼓を打ち、会は大盛況となりました。
「日常で見かける雑草が、料理人の手にかかると
こんなに美味しい野草天ぷらになるなんて。目の前の草原が宝の山に見えました」
という声もありました。食を通じて人を笑顔にできる料理人の可能性は、まさに無限ですね!

レストラン 精進料理の体験
小金井にある尼寺「三光院」を訪問し、竹之御所流の精進料理をいただきました。
竹之御所流の特徴は、陶器の器に盛られた出来立ての料理が一品ずつ提供されることです。
玄関では、あじさいの花が私たちを迎えてくれました。
6月の献立の中には『インドのうさぎ』という名前の料理がありました。
これは仏教の説話に基づいたもので、白い豆腐をうさぎに見立てて名付けたそうです。


緑あふれる三光院の境内


玄関を彩るあじさいの花


精進料理をいただく様子。今回は、実家のお寺で僧侶をしている卒業生も加わりました


煮梅。果物としてシンプルに味わってくださいとのこと。器に盛ると、まるで梅の花が咲いたようでした


インドのうさぎ。あじさいは飾りです


木枯らし。茄子の田楽で、楽器の琵琶の名器にちなんで名付けられたそうです


一口吸い物。浮き身は茄子のへたを紅葉型で抜いています。もみじの青葉をイメージして

煮梅は、下に敷かれた醤油と酸味が絶妙に調和し、蒸し暑い時期の体をすっきりと癒してくれる味でした。
インドのうさぎは、あじさいの飾りとともに目を楽しませ、口に入れると豆腐の濃厚な味が広がりました。
また、だしを取った後の昆布は正方形にカットして佃煮に、
茄子の田楽で残ったへたは、一部を紅葉型に抜いて吸い物の浮き身に、
そして残りは「まかない」として皆で美味しくいただいているとのこと。
食材を余すことなく使い切る工夫に、食への敬意と感謝の心が感じられました。
「茄子のへたはどのような味がするのですか?」
という学生の問いに、調理長が特別に素揚げして試食させてくださいました。


茄子のへたの素揚げ

とげやすじがあって食べにくいと思っていた茄子のへたですが、
想像以上に美味しく、食材の見方が変わる貴重な体験となりました。
私たち教員も、学生と一緒に楽しみながら学んでいます。
食を通じて、ワクワクするような体験を一緒にしてみませんか?
今後も教職員一同、全力で取り組んでまいります。どうぞお楽しみに!

~プロフィール~
辻調理師専門学校 東京
専門講義科目グループ
食品の安全と衛生、くいしんぼうラボ 担当
井原啓子

管理栄養士、中学・高等学校教諭免許(家庭)取得
専門は、品質管理、食品科学、家庭科
「辻調理師専門学校」「辻製菓専門学校学校」「エコール 辻 東京」を経て、「辻調理師専門学校 東京」勤務。
趣味:水泳(ほぼ毎日、泳いでいます)。食べることや作ること、食材巡りも大好きです。
大学で野生キノコの研究をしたことがきっかけで、キノコが大好きになりました。
今年も、キクラゲの栽培にもはまっています。もう間もなく収穫できそうです。