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第3回辻静雄食文化賞 贈賞式より
2012年06月01日

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今年で第3回目となった辻静雄食文化賞。

推薦候補の集計、中間選考を経て、5月7日に最終の選考委員会、5月24日に記者発表・贈賞式を
無事、行うことができました。


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選考委員会は、委員長に石毛直道先生(国立民俗学博物館名誉教授)、委員に、鹿島茂(明治大学
教授)、阿川佐和子(作家)、福田和也(慶應義塾大学教授)、西山嘉樹(文藝春秋・ライツ管理
部部長)各氏、辻芳樹(辻調グループ代表)、八木尚子(辻静雄料理教育研究所所長)です。

本年度、第3回辻静雄食文化賞を受賞された『田口護のスペシャルティコーヒー大全』(田口護・
著 NHK出版・刊)。
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00332692011


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本作品の著者の田口護さんは、珈琲屋バッハのご主人であり日本スペシャルティコーヒー協会会長
も努めていらっしゃいます。 本書は、田口さんの、自家焙煎のコーヒー店を経営されている技術者
であり、世界のコーヒー産地、消費地をフィールドワークされている実践的な研究者としての両面
の成果があらわれた作品と言えます。 選考委員会でも、本書は、科学的視点を加えた技術の理論化
を確立した、と評価されました。

本格的なコーヒー技術書として、またコーヒー文化論としても読むことのできる一冊。 日本独特の
コーヒーの価値観(非常に高度で洗練された飲料として独自の進化を遂げた、とさえ言える)と、
現在の世界のコーヒー市場を席巻しているアメリカ風の新しい価値観(コーヒー産地に対する評価
の見直し、コーヒー評価の世界的な基準の確立など)を融合させたと、選考委員会でも高い評価を
得て、全員一致で賞に決まりました。

最後に、辻調グループでは、田口さんはすでに1990年代からコーヒーの授業に来ていただいたと
いう縁もありましたが、2000年、辻調グループが料理監修を担当した九州・沖縄サミットの首脳
晩餐会で、田口さんがコーヒーを担当されたことは、忘れられない想い出です。まさに、コーヒー
も料理と同じように食文化を支えている、そのことを示された夜でした。

今回、新たに設立した専門技術者賞は、現役の第一線で活躍する食の現場の技術者を顕彰するもの
で、そのために第一線で活躍されているジャーナリスト、メディア人による特別選考チーム編成で
選考していただきました。 選考委員は、門上武司(「あまから手帖」編集顧問)、犬養裕美子(レ
ストランジャーナリスト)、柴田泉(「月刊専門料理」編集長)、君島佐和子(「料理通信」編集
長)、わぐりたかし(放送作家・フードメディアフォーラム主宰)の各氏に加え、当校の山内秀文
(辻静雄料理研究所研究顧問)が参加。

足掛け2年に渡って、調理・製菓の分野を対象に、選考基準、評価基準などの基本的な選定のため
の枠組みを作るところから議論をはじめていただきました。 本年度、新設された専門技術者賞は、
レストラン「ル・マンジュ・トゥー」(東京・新宿区)のオーナーシェフの谷昇さんが獲得されま
した。
http://www.le-mange-tout.com/


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受賞理由としてあげられた「あくまでも、現役の料理人として卓越した技術を発揮し、常に進化す
るトップランナーとして料理業界に新しい地平を切り開き、食文化の向上に寄与している。未来の
料理業界がどうあるべきかの指標となる優れた料理人である」というものでした。 1952年生まれ
の谷さんが、今回の受賞を「功労賞」ではなく、まさに、「現役」の料理人として受賞されたこと
を、選考委員の講評で門上さんが強調されていました。 フランス料理におけると伝統と革新をつね
に自分のなかできちんと取り込み、非常に高いレベルで持続させる。時代の先端に遅れることなく、
しかし流行に流されない確固たる自己のスタイルを持つ。

まさに、第3回辻静雄食文化賞・専門技術者賞にふさわしい方です。

谷さんの受賞のご挨拶からは、料理人として、さまざまな挫折をくぐり抜けながらも、この世界の
トップランナーとして、現役として、いまも厨房に立ち続けていらっしゃる、ゆるぎのない仕事に
対する信念が伝わってきました。

その信念のよりどころのひとつに、辻静雄の本との出会いをあげていらっしゃいました。辻静雄の
初期作品から、じつに丁寧に、深く読んでいらっしゃることに感動しました。 辻静雄の著作を通じ
て、「歴史」を学び、数百年単位の「歴史観」を獲得することで、料理の表層的な流行を追いかけ
たのでは見えて来ない偏見のない、本質を見抜く力を養っていかれたというお話は、これから料理
の世界を極めようとするすべての若い料理人たちにこそ、届けたいメッセージでした。

そして贈賞式のスピーチの最後いは、ご家族、スタッフをねぎらう言葉で結ばれた谷さん。料理人
として、教育者として、人間として、心から尊敬できるお人柄です。


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今回の贈賞式では、第1回、第2回の受賞者の奥村彪生さん、奥田政行さん、岩村暢子さんにもご
出席いただきました。 この賞を受賞していただいた皆様のご活躍が、これからも「本賞」を支え
ていただいていると、強く実感しております。


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さて、来年度に向けて、すでに第4回辻静雄食文化賞の対象期間はスタートしております(第4回
の選考対象は、作品を中心に本年1月から12月までになります)。 辻静雄食文化賞が、日本の食
の文化の多様で豊かな発展に少しでも寄与できるよう、選考委員の皆様のご協力を仰ぎながら、食
文化のより広範囲な分野、仕事に目配せをしていきたいと思います。

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