北欧を代表するシェフによる「北欧料理セミナー」開催レポート
9月3日、北欧大西洋協力機構(Nordisk Atlantsamarbejde, 以下NORA)と共同で、北欧料理セミナーを開催しました。本校ではこれまで「北欧料理」について学ぶ機会がほとんどなく、多くの学生から参加希望の声があがりましたが、今回はハンズオン形式ということで20名に限定して「北欧料理セミナー」を開催。
辻調に来校してくれたシェフはこの3名です。
(左から)
★セバスティアン・ガルシア・ヒメネス氏
メキシコ生まれ、フェロー諸島を拠点に活動。NORAが主催する若手料理人(30歳未満)を対象とした国際料理コンペティション「Arctic Young Chef(AYC)」優勝者。@sebastian.cocina8/
★グッティ・ウィンター氏
フェロー諸島出身。マスターシェフであり、有名なテレビ司会者。北大西洋の伝統料理とその現代的な応用に強い関心を持つ。@gutti_winther
★ヒンリック・カール・エッレルトソン氏
アイスランド出身。マスターシェフであり、著者でもあり、アイスランドを代表する料理学校の教育者。@kokkurinn/
セミナー開始時間より少し早めに集合した学生たちは、実習室に入りたいと切望し、シェフと先生たちが準備している様子を見学し、その所作に興味津々でした。

いよいよ授業開始。
まずはじめに、NORAのディレクター、ハッラ・ノルセー・ポウルセン氏より、北欧について、そしてNORAの活動について説明があり、シェフ3名からは自己紹介などが行われました。

その後は、北欧の伝統的なオープンサンドイッチ「スモーブロー(Smørrebrød)」を、各シェフのオリジナルレシピで紹介してくれました。シェフたちは、北欧の気候や食材の特徴、食材との向き合い方や考え方、北欧ならではの食材の組み合わせなど、惜しみなくレクチャーしてくれました。


シェフからリクエストがあったものの日本で手に入らなかった食材もあり、ニシンをサバで代用したり、急遽、当日に組み合わせを変えたり、、、シェフのアイデアとインスピレーションでスモーブロー3種が完成しました。
★セバスティアン・ガルシア・ヒメネスシェフの「サバの昆布じめ あぶり、サワークリームとスパイスのエスプーマ、赤玉ねぎピクルス きゅうり」
★グッティ・ウィンターシェフの「塩漬けタラとハーブマヨネーズ」
★ヒンリック・カール・エッレルトソンシェフの「ラムフィレとハツ、ルバーブ、キュウリリボン、ブルーベリー添え」
料理が完成したあとは、北欧スタイルでみんなで食事をしました。学生たちは積極的にコミュニケーションを図り、シェフたちとの交流を楽しみました。

授業を終えて、ほとんどの学生が「初めての経験だった!」と、興奮気味に感想を語ってくれました。
●完全にイメージを覆す料理ばかりだった。一番印象に残ったのは、海産物や海苔の風味でマリネしたサバ。じっくり味わうと海辺に行ったとき最初に感じる香りだった。メキシコ、北欧、日本の料理が融合していて、本当に衝撃的だった
●スモーブローという初めて食べる料理の食材の組み合わせ方がすごく面白かった
●その土地の料理へのリスペクト、理解することの大事さを学んだ
●日本のことをちゃんと理解して学んで料理を進化させていくことが、 逆に日本料理を守ることになると強く感じた
●アイスランドの自然環境にびっくりした。食材の保存が生きるのにとても大切だと改めて実感した
●シェフの生い立ちやこれまでの経験を聞くことができてよかった。自分の料理人としての可能性や生き方の参考になった
●知らない料理との出会いに興味が高まった
などなど。
何度もNORAとオンラインミーティングを行い、今回の授業を企画した若林知人先生が、最後に学生たちに向けての総括を。学生たちの心にも響いたようでした。
「日々の見慣れた風景の中にも新しい発見やインスピレーションがあるはず。固定観念に縛られず、いろいろな所に足を運びアンテナを立てて過ごしてほしい。世界は都市部を中心に動いているように見えるが、都市部だけでは成り立っていない。都市部とその周辺地域がバランスよく共存することが大切。このセミナーを通して、人が自然に敬意を払い、自然から必要な分だけ食材をいただくという謙虚な気持ちと感謝の気持ちを忘れてはならないと、改めて学ぶことができた。今回の学びは、将来、世界の料理と交流するときにきっと発揮されるでしょう。」
シェフと直接対話したり、北欧の料理に触れて、かけがえのない時間となりました。


