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料理のチカラプロジェクト

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校長・留学生懇親会

イベント

2015.11.13

昨年より恒例になった「留学生・校長懇親会」が11月6日(金)に調理技術研究所にて実施されました。

今回は11名の参加。韓国の方7名、台湾の方3名、中国の方1名という内訳。
韓国の方のうち1名はアメリカ生まれで国籍もアメリカです。


 


全体的にリラックスした雰囲気の中、まずはそれぞれの自己紹介から始まりました。
(*学生名の表記はすべてアルファベットとする)

KANG JI HUN(韓国:男性)製菓マネジメント学科在籍
 もともと自国での学業を中断し、パン屋に就職。その後来日し、辻製菓に入学。将来は自国に戻り、元のパン屋に再就職し、5~10年後には自分の店を持ちたい。

 


CHOI TAEWOOK(韓国:男性 製菓マネジメント学科在籍)
 福岡県の高校の製菓コースを終了後、製菓に入学。将来は自国で製菓店を持ちたい

LI DAN(中国:女性)製菓本科在籍
 マネジメント学科に進学予定。現在、アルバイトで喫茶店に勤めており将来は自国で「喫茶店」を開きたい。

 




辻校長(以下T):どんなイメージのお店?

 素材にこだわりたい。やはり本物の素材を使いたい。

T:風味的には?

 中国人は日本の風味が好きだと思う。


YEH YU JUNG(台湾:女性)製菓本科在籍
 来年は調理師本科へ進学予定。卒業後は自国へ戻り、パン屋を開きたい。

T:日本のパンの風味は台湾でも大丈夫ですか?

 台湾でも受けると思います。

Lai Li-Ning(台湾:女性)製菓本科在籍
 来年はフランス校へ進学。

T:フランス校はとにかく勉強しないとだめなところ。常にどうやればこの風味になるか?を考える必要がある。常に自分のポテンシャルの倍ぐらいのハードルを設定する必要があるところです。

KIM TAEJUN(韓国 アメリカ国籍:男性)調理本科在籍
アメリカ国籍で、生まれはテキサス州

JANG INYOUNG(韓国:女性)調理本科在籍

来年は調理技術研究所(日本料理)へ進学予定。卒業後は自国にて割烹料理屋を開きたい。

KIM YOUN GYONG(韓国:女性)調理技術研究所日本料理課程在籍
昨年行われた2回の懇親会にも出席。 本物の料理を伝えたいという思いがかわらない。

WANG YU HO(台湾:女性):製菓本科在籍
来年は調理師本科へ進学予定

 

T:授業を受けていて何が一番大変ですか?
 言葉です。

T:言葉って技術を学ぶうえで必要かな? 思うにそんなに言葉に関してそんなに
不安を持つ必要はないと思う。

KIM NAMHYUN(韓国:男性)製菓本科在籍
韓国済州島SUMORUMホテルを経て入学。 「"辻"は思っていたのとちがった・・・はるかによかったです」

T:あーっ、びっくりした!!(笑)

KANG HOSEOK(中国:男性)調理本科
 カナダのヴァンクーバーの大学を卒業後、ソウル中村調理を経て、入学。
日本料理をやりたくて辻に入学。フランス料理はやはりフランスで学ぶべきだと思うのでフランス校へも進学予定。
将来はアメリカで、調理の学校(日本料理)を開校したい。

会話の入口として校長がランダムに質問を投げかけます。その一部を紹介します。

(*学生の発言はランダムです)

T:まず皆さんに訊きたいのは「日本料理ってほんとうに海外で受けるの?」ってことです。

「ヒューストンで人気のある和食店は「割烹」です」

T:日本の風味で提供しているんですか?

「いや、日本の風味そのままは難しいです。基本的に濃い風味を好むのでそのあたりは現地の方々の風味に合わせています」

T:皆さんが日本料理を広めたい理由は?

「一番大きいのは「健康」でしょうか。日本料理は栄養のバランスがいいと思います。それに脂質が少ない」

T:学んでいる日本料理は参考になりますか?

「まだまだ勉強に仕方がわからない」

T:今、皆さんが手にしているレシピはどれぐらい?

(製菓の学生)「40枚ぐらいですが、40枚のレシピは40品ということではないと思っています。40枚のレシピから複数の応用が可能ですから」

T:レシピって「楽譜」ですか?それとも「設計図」?「楽譜」だと思う人?(3名)「設計図」だと思う人?(3名)
他の人は?

「レシピの使い方によると思います。「設計図」にもなれば「楽譜」にもなる」

T:皆さん、遠いところから留学して来られていますが、1年や2年というのはあっという間ですので、私たちは常に何を教えていくかという責任を感じています。
 在学中はできるだけ頭を柔らかくして、何をつかみとっているかがとても大切。まだまだ理解できていないと思う人はどれぐらいいる?

(全員手をあげる)

T:何が理解できないですか?

「先生によって解説が異なることがあって戸惑う」

T:解説がとてもわかりやすくてそのとおり作ると風味はそうでもない、というのと解説はわかりにくいが作った結果の風味は素晴らしいのとどちらがいいですか?

「やはり味が大切です」

T:いろんな先生がいるとは思いますが、最終的にはあなた自身の判断。そこで"考える"必要があると思います。学ぶこと30%、残りの70%は何かというと"考える"ことです。


 「おいしいなぁ」という料理やお菓子に出会ったとき、

なぜおいしいかはわかるけど作れなかったりするでしょ。 それにいざ「現場」に入ったら給料分の仕事内容に関してか教えてくれないですから。


 離職の理由としてよく「人間関係」というのが挙げられるけれど僕はこの理由で離職する人はそもそもこの世界が向いていなかったと思います。
とにかく自分からどんどん訊いていくべきです。そして、自分にとって有効なことのみを吸収すればいいと思う。

 
 味覚の訓練というのはとても大切なこと。だからこそ食べ歩きは重要なんです。ここで大事なことは自分の好みで食べない。「これが好き」「この味が嫌い」というのはプロは言わない。その時口にした「味」を分析し、自分の中に蓄積するという技術を磨くこと。

 技術と技能はちがいます。その違いはわかる?

 技術にはロジックがない。だから反復で身についていく。技能は知識や歴史を含むもの。皆さんは技能を磨いていってほしい。


  

                 

今回の茶話会は初めてということであまり参加者たちからは積極的な意見は出なかったが、校長の発言に真剣に耳を傾け、質問にはできるだけ真摯に答える彼らを見ていると彼らの「学ぼうとする意思」をひしひしと感じることができた。