TOKYO

食の秋!日本の食文化を学ぶ『精進料理』

調理応用技術マネジメント学科

2026.10.15

長く続いた雨も上がり、気温もぐっと涼しくなってきました。
今週の授業は「精進料理」です!

昨今、ヴィーガンやベジタリアン、グルテンフリーなど、
さまざまな食のスタイルが注目されていますが、
日本には古くから、動物性の食材を使わず、
自然の恵みを大切にする「精進料理」の文化があります。
今回は、そんな精進料理の授業の様子をレポートします!

まずは、精進料理の「精進」という言葉について。
仏教において「精進」とは、
雑念を払い、心身を整え、一心に修行に励むことを意味します。
この教えを背景に、殺生を戒める考え方から生まれたのが精進料理です。
精進料理には、さまざまな大切な考え方があります。

• 命を大切にする:殺生を避け、食材を無駄なく使う。
• 季節を大切にする:旬の食材を取り入れ、自然の恵みに感謝する。
• 素材の味を引き出す:食材それぞれの持ち味を生かし、丁寧に調理する。
• 食べることに感謝する:食材や料理に携わる人々への感謝と敬意を持つ。

これから料理人として活躍していく学生たちにも、料理の技術だけでなく、
こうした精進料理の精神を感じてもらいたいですね。
授業の始まりには、禅の世界を感じるため、1分間目を閉じて瞑想を行いました。
頭の中の雑念を払い、気持ちを落ち着かせてから、いよいよ調理スタートです!




まずは精進料理といえば、定番の胡麻豆腐。
普段の授業では胡麻ペーストを使いますが、
今回は白むき胡麻からペーストをつくるところから始めます。
学校ではミキサーを使いますが、修行僧たちは、すり鉢とすりこ木を使い、
時間をかけて胡麻をすりつぶしています。
料理をつくることそのものも、修行の一つですね。
できあがった胡麻ペーストに葛粉を加え、裏漉ししたら、
火にかけながら30から40分ほど練り上げます。

葛粉を加えて裏漉した後、30分から40分くらい火にかけながら練り上げます。
なめらかな胡麻豆腐をつくるためにはここで手を止めてはいけません。
根気よく練らなければおいしい胡麻豆腐にはならないというわけです。

型に流した後は、普段のように氷水で急冷するのではなく、
今回は常温で粗熱が取れるまで冷まします。
ひと手間を惜しまず、なめらかな舌触りを目指します!

日本の食卓に欠かせない豆腐も、精進料理ではおなじみの食材です。
今回は、豆腐を使って2品を作ります。

1品目は「擬製豆腐(ぎせいどうふ)」。
水切りした豆腐を裏漉しし、山の芋、きくらげ、ゆり根などを混ぜ合わせて成形します。
豆腐をいったん崩し、別の形に作り直すことから、この名前が付いています。

2品目は「豆腐田楽」。
軽く水切りした豆腐に串を打ち、焼き目を付けてから味噌を塗って仕上げます。


同じ豆腐でも、調理法を変えることで異なる味わいや食感を楽しめるのも、料理の面白さですね!
続いては、秋を感じる一品「きのこと菊花のお浸し」です。
こちらは食用の菊。色鮮やかに仕上げるため、酢水で茹でていきます。
使用するきのこは、えのき、舞茸、椎茸、そして松茸の4種類!
それぞれ油で揚げて火を通しますが、松茸は豊かな香りを生かすために焼いて仕上げます。
きのこの種類によって調理法を使い分け、香りや食感を引き出していきます。
秋ならではの食材をふんだんに使った、季節感あふれる一品です。

こちらは、煮しめを炊いている様子です。
精進料理では、だしにも動物性の食材を使いません。
今回は昆布だしを使い、素材の持ち味を生かして調理します。
食材ごとに合わせる調味料を変え、
それぞれの味や食感を大切にしながら、丁寧に炊き上げていきます。

一つひとつの食材に向き合い、手間を惜しまず仕上げることも、
精進料理から学べる大切なことです。


盛り付けにも、秋らしさを感じられる器をふんだんに取り入れました。
目で見ても秋を楽しめるよう、料理そのものだけでなく、
器選びや盛り付けを通して季節感を表現することも、日本料理の大切な技術の一つです。

今回の授業では、胡麻豆腐や擬製豆腐、豆腐田楽、きのこと菊花のお浸し、煮しめなど、
さまざまな精進料理を学びました。

精進料理は、単に動物性の食材を使わない料理というだけではありません。
食材を大切にし、季節を感じ、食べることへの感謝を忘れないという、
日本の食文化に根付いた考え方でもあります。

これから料理人を目指す学生たちにとって、今回の授業が調理技術だけでなく、
食材や料理に向き合う姿勢についても考えるきっかけになればと思います。
これからも授業を通して、さまざまな日本の食文化を学んでいきましょう!

~プロフィール~
辻調理師専門学校 東京
日本料理
柴田 真利

八丁味噌の味噌汁を飲んでいる時が何よりも一番幸せな愛知県出身です。
趣味は美術館巡り!
好きな美術館は「東京都庭園美術館」とパリの「Musée Marmottant Monet」です。